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Day1 

俺は妹が大好きだ。

もちろん妹と言っても()()()()()である。

元々一人っ子だった俺は妹という存在に何か不思議な魅力を漠然と感じていた。

兄という存在に憧れがあったのかもしれない。

だが、それ以上言葉にできないほど二次元の妹キャラはかわいいのだ。


可愛く、愛おしく、しかし、たまに鬱陶しい。

こんなにかまったり、守ってあげたくなる生き物がこの世に存在するだろうか。

いや、妹しか存在しないだろう。


そして俺は物心ついたときから……はさすがに少し話を盛りすぎたが、アニメや漫画を見るようになってからすぐに妹キャラにのめり込んでいった。

妹がヒロインとして登場する漫画やラノベ、ゲームは大体買い漁ったし、妹は主人公と結ばれる事例が幼なじみよりも少ないため、主人公と結ばれる世界線を見るために薄い本も買ったりしていた。

あ、薄い本と言ってもちゃんと全年齢向けのやつだから安心してほしい。


しかし、そんな俺にも転機が訪れた。

なんと本物の妹ができたのである。

今までシングルマザーで俺を育ててくれた母親が3年前に今の父さんと再婚したことによって新しい家族ができたのだ。


まさか本当に俺に妹ができてしまうとは……

これは神様からの贈り物なのか試練なのか、世の中不思議である。


だが、さすがにそんな俺でも二次元と三次元の区別はついている。

妹は()()()()()()()()いいのだ。

俺の探し求める究極の妹は現実には存在しない。


もちろん現実の妹も好きだ。

しかし、これは『萌え』や『尊い』とはかけ離れた、保護者としての感情である。

実際に兄になってわかった事なのだが、妹を妹キャラのように『推し』とは見れないのである。

兄という存在に憧れていた思いが強いのだ。


妹から頼られたい。

尊敬されたい。

仲良くなりたい。

そんな完璧な兄になりたい。


だから俺は真凜にとって精一杯いい兄でありたいと思って行動している。









拓真(たくま)って本当に妹好きだよな」


教室でいつものように妹もののライトノベルを読んでいた俺は本を閉じて顔を上げると、小学校からの親友の前野一也(まえのかずや)がやれやれと言った顔で見下ろしていた。


「妹はいいぞ、一也」


「お前はホント昔から変わんねえな」


「好きなものは好きなんだからしょうが無いだろ」


「でもお前実際に妹いるじゃんか。何かそう言うの気にならないの?」


そう、俺には1つ年下の妹がいる。

正確には妹が()()()


「気になるも何も、現実と二次元を一緒にするなよ。俺が好きなのはあくまで二次元の妹だから真凜が好きなわけじゃないぞ」


「そうはいってもなぁ……俺は姉ちゃんいるから姉ものあんま得意じゃないぞ……」


「何?意識しちゃってんの?」


「マジでやめろきもちわりぃ」


まあ、一也の言ってることはわかるし、言いたいこともわかる。

母親と同じ名前のAV女優や風俗嬢だと興奮できないという話もどこかで聞いたことがある気がするし、一也と同じように姉や妹がいるとそのようなジャンルが苦手になる人は多いだろう。

だが、二次元は二次元、現実は現実。全く別である。


「一也、お前二次元に現実の事情持ち込むなんて人生損してるぞ。二次元は何でもありだから二次元なんだよ。二次元の場合、妹は家族であって同棲しているヒロインでもある、そんな存在なんだよ。しかも兄弟だからそれ以上に関係にはなかなかなれないし、もどかしくもあり、尊い展開が続く……そう! まさにラブコメのいいところを凝縮したのが妹キャラという概念なんだよ!」


「早口すぎてキモい」


「すまん、熱くなりすぎたわ」


つい妹の話になると熱くなったしまうのが俺の悪い癖だ。


「じゃあ、一也にわかりやすく説明しよう。例えばだ、お前は幼なじみキャラが好きだろ」


「ああ」


「家が隣で毎朝起しに来てくれて、一緒に登校してくれる。そんな幼なじみキャラが好きだろ」


「ああ」


「……そんな幼なじみが現実にいると思うか?」


「……確かに」


「幼なじみも二次元だからこそ成り立っtいってぇ!?」


俺は突然後ろから誰かに丸められた教科書で頭を叩かれた。


「確かにじゃないわよ。ほら、ここにいるじゃない素敵な幼なじみが」


振り返ると俺と一也の()()()である佐々木優奈(ささきゆうな)が立っていた。

優奈も一也と同様に小学校からの仲である。そのため、真凜のこともよく知っている。


「俺、拓真の言ってたこと今理解したわ……幼なじみって二次元だからいいってこtいってぇ!! 暴力反対」


「正当な理由でしょ」


なんかワーキャー始まったが、これがいつもの俺の日常である。


「まあ、何でもいいけどさ、拓真は真凜ちゃんにも妹好きだって言ってるの?」


「いや、真凜には引かれたくないし、下心あるとか思われたくないから趣味は隠してるけど」


「それならいいけど、あんまり甘やかしすぎたり、絶対妹好きだって言ったりしたらダメだからね。……多分あの子本気で……」


「わかってるって」


そう言う優奈の顔は何故か複雑そうだった。

少しでも先が気になる、面白いと思っていただけたら是非、感想、ブクマ、評価、レビュー等よろしくおねがいします!より一層やる気が出ます!

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