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8話:大事な枕

「はい、到着」


「確かに歩いて行ける距離だけど、しんどかったよっ」


コンビニを出てから大体30分くらい歩いて我が家に到着。

部屋に入ったとたんにユウは座り込んでしまった。


「大丈夫か?」


「だいじょぶじゃなぁい!」


玄関に座り込んで足をマッサージしながら俺を睨んでくる。

角度的に色々見えちゃうんですけど、見てていいのかな。


「とりあえず、風呂入るか?」


「もちろんっ。先入っていいの?」


なんか、目がキラキラしてる。


「構わないけど、お湯溜めるの時間かかるからシャワーでいいだろ」


「ん〜・・・いいよ。今日はシャワーで我慢しとく」


バスタオルを渡して風呂へご案内。ってもワンルームだから案内するほど広くない。

ユウはコンビニの袋からクレンジングやらなにやら、色々取り出して脱衣所に入って行った。


「それじゃごゆっくり〜」


扉越しに声をかけて部屋に戻る。

安いアパートだけあって壁が薄い。

部屋に居ても風呂場からのシャワーの音と、途切れ途切れにユウの鼻歌が聞こえて来る。

あんだけ歌ってもまだ歌うのか。本当に好きなんだな。

特に何をするでも無くボーっと天井を見つめる。

正直言ってこの後どうするか悩み中。あ、あんなトコにシミが。

しないとは言ったが、当然したいに決まってるし。もしかしたら向こうもその気になってるかも知れないし。

でも最近は同じ部屋に泊まっても、何もしない男が女には人気らしいし。どうしたもんか。

う〜ん、と悩んでると扉の開く音が聞こえた。


「早くね?」


脱衣所から出てきたユウに声をかける。

たぶん10分やそこらしか入ってなかったはず。


「待たせるのもあれだし、ちょっと急いでみたよ」


「そっか、サンキュー!・・・ってか、スッピンも可愛いじゃん」


化粧を落としたユウは、かなり幼い顔立ちをしていた。

ほっぺたはプニプニで柔らかそうで、全体的に整ったキレイな顔。

むしろギャルメイクをしてない方が男ウケは良さそう。


「でしょ?良く言われる」


「あぁ、そうですか。っと、んじゃ俺も行ってくる」


「ハーイ、ごゆっくり〜」


早めに会話を切り上げて脱衣所へ向かう。

たぶん下着は着けてるんだろうけど、バスタオル一枚で居るユウを目の前に理性を保ってられる自信がなかった。

熱めのシャワーを頭から浴びて悩みを吹き飛ばしてみる。

風呂くらいは何も考えずに入りたいしな。

なんて言いながらも、目を瞑るとバスタオルのユウが出てくるわけで。

結局は悶々としたまま風呂出ちゃったし、いつも以上に念入りに体を洗ってしまった。


「おかえり〜」


ユウの声は聞こえるが、姿が見えない。

と言っても隠れる場所なんてないからすぐに見つけた。


「人様のベッドでナニやってんすか」


「ナニって、寝てるだけだよ?」


布団から顔半分だけ出してこちらを見つめてくる。


「入らないの?」


「って言っても、ご覧のとおり下着オンリーなんすけど」


「別にいいじゃん、おいでよ」


顔の横に手を出してオイデオイデと手招きする。

まぁいっかぁ、お邪魔しまーす。と布団の中に入る。


「なぁ、今チラッと見えたんだけど。下着だけだったりしねぇ?」


「見えたんじゃなくて見たかったんでしょぉ?ジンのえっちぃ」


いや普通に見えたんですけどね。

つうかどうせワザと見たって思われるならガッツリ見れば良かった。


「本音が出てますよオニーサン」


また口に出していたらしい。

こりゃ本気で気を付けないと色々と危ないかもしれない。

ジト目でこっちを見てくるユウと目が合った。と思ったら布団の中に潜ってしまった。

そりゃガッツリ見れば〜なんて言われたら警戒するよな。

大人しく背中向けて寝るか。と反対側に向こうとした時。


「いいよ」


「・・・・は?」


「見ても、いいよ?」


布団で顔を隠しながら恥ずかしそうに許可をくれた。

警戒してたんじゃなくて、恥ずかしがってただけか?


「えーっと、じゃあ見る」


許可を貰ったので、堂々と言い切って布団のなかへ。

薄手の布団で良かった。潜っても結構明るくて良く見える。

ユウの下着は白とピンクの上下お揃いのヤツ。

っていうかやっぱり、胸大きいな。


「なぁ、ユウって何カップ?」


布団から顔を出して質問してみた。


「ブラのホックのとこに書いてあるよ」


自分で確認したら?的な感じで布団を軽くめくる。

っていうか、どうせめくるなら潜って見る必要なかったじゃん。

ユウを横から抱き締める形で背中に手を伸ばす。

ブラのホックに手をかけて、そのまま外した。


「ちょっと、外していいなんて言ってないよ?」


ブラがズレ落ちないように、胸の部分を手で抑えて俺を睨む。

睨まれても気にせずブラを外す。


「やっぱ、先にユウを食ってからにするわ」


「・・・・しないって言ったのに、ウソツキ」


俺を見つめたままウソツキを連呼する。


「嘘つくの得意っすから」


これ以上ウソツキ呼ばわりされないように口を塞ぐ。

最初は優しく、次第に強く深く。

ユウは最初から、抵抗せずにキスを受け入れてくれた。


「抵抗しないんだ?」


俺の質問には答えずに、ユウから唇を合わせて来た。

今度は最初から激しく、お互いが満足するまで離れる事はなかった。


「ゴム・・・・持ってるよね?」


「あぁ、あるから大丈夫」


きっと、持ってる事をわかってて敢えて質問したんだろうな。

ちゃんと着けてシテって事だろ。

キスをしながらゴムを着け、ユウの体を優しく愛撫していく。

既に受け入れる準備が出来てたみたいだ。

もう一度優しくキスをして抱き締める。


「ユウ、愛してるよ」


その夜俺達は、キスより深く繋がった。



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この日初めて、腕が痺れても腕枕を止める事はなかった。

俺の腕の中に居る、この子の言葉を聞いてから。

「好きだよ」と。

今まで何度も聞いて来た定番の台詞。


きっと、この日から俺の人生は狂い始めたんだ。



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