5話:折り紙
「暇なんだけど?」
「と言われましても」
現在の時刻は四時過ぎ。
カズヤの奇行のせいで予定より早く起きてしまった。
教室には俺とカズヤしか残ってない。
さっきまで日直がなんかやってたけど、用事が済んだのかサッサと帰って行った。
「おい。なんかネタでもやれよ」
「と言われましても・・・イタイ!もう蹴らないで!?」
「お前が人様の机をぶっ倒したのがいけないんだろが!」
奴の腹へ再度蹴りを入れる。
「ちょ、もうヤメテ!痣出来てるから!」
まじで暇だ。
コイツと居ても面白くないし、なんか楽しいもんでもないかな。
「何してんの?」
「いや、なんか暇潰せそうなもんないかなぁってさ」
適当に返事しながらカバンを漁る。
「おっ、いいもん発見」
「何々?」
いいもんを机に広げる。
「・・・折り紙?」
「イエース!」
俺が机に広げたのは色とりどりの折り紙。
学校に来る途中で買っといたのをスッカリ忘れてた。
「お前にも一枚だけやるよ」
「折り紙かぁ。何折るの?」
「まずは定番のツルだな。すげーうまいよ俺」
こう見えて手先は器用な方だ。
折り紙は最初が肝心だからな、最初の時点でキレイに折れてれば仕上がりもキレイになるんだ。
「なーなー。ツルってどやって折るんだっけ?」
まずはここを半分に折って、と。
「なー。教えてって」
次はココで折り目をつけて、後ちょっと。
「なー・・・イタイ!!」
「よし。出来た!って何してんの?」
カズヤが床にうずくまって泣いてる。
「きもいな」
「・・・・・」
あれ、反応ないし。
「きもいなきもいなきもい」
「き、聞こえてます・・・」
元気そうで安心した。
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「そろそろ行くわ」
なんだかんだで熱中してしまった。
「これどうすんの?」
机の上に並べられた動物やら何やらを指差しながら訊いてくる。
「あー、任せるわ」
「任せるって言われても」
「んじゃ」
「ちょ、おい!」
変な汗をかきながら引き止めてくる変態を無視してコンビニへ向かった。