2話:明るい日常
「うっす!」
でかい声が聞こえると同時に後頭部に痛みが走る。
「おいカズヤ!いい加減叩くのやめろっての。ハゲるわ!!」
「わりぃわりぃ!ハゲとけ。」
満面の笑みで隣に座るアホ。
一度ボコボコにしてやらないと分からないんだなきっと。
「怖いからヤメテ!?」
「勝手に心を読むなよ」
「いや普通に喋ってたし!」
顔が結構マジだ。
「悪いね。次からは聞こえないようにするよ」
「もう考えないで!?」
あ、顔が青くなってきた。
「つうか、朝からテンション高いな」
「おめーが怖いこと言うからだろ!僕は静かな朝を望んでいるんだよ?」
にやけ顔がむかつくな。
やっぱり一度シメて
「だからヤメテ!?ってこのクダリ二回もいらんわ!」
「朝からテンション高いな」
「もう何も言うまい」
これがカズヤの最後の言葉になると、この時は誰も気付いていなかった。
・・・あ、机ごとちょっと離れた。
心なしか震えてる気がする。風邪か?
「おら。授業始めるぞ!席につけ。」
教師がこんなに口悪くていいんだろうか?
いや、いいはずがない!
ここは一つ抗議をしてやろうじゃないか。
「ねぇねぇ、ミキティ!なんでそんなにくち」
最後まで言い切ったなら俺は今頃保健室で寝ていただろう。
そう確信が持てるほどの殺意を放っていらっしゃる。
「ミキ先生!なんでそんなに美しいんですか!」
「きもちわりぃな。黙って寝てろ」
ひどくないですか?
せっかく言い直したのにあの言いよう。
おまけに今から授業なのに黙って寝てろって・・・。
言われなくても寝てやる!
「カズ!なんでそんなに位置がずれてるんだ?元の場所に戻れ」
今にも泣き出しそうなくらいに、涙目になってるカズヤが近くに戻ってきた。
ごめんなカズヤ。後でキャラメルあげるから元気出せ。
「おやすみ、ミキティ」
聞こえないように呟いて夢の世界に旅立った。