1話:薄暗い朝
「まっじでさみぃ!!」
人って、無意味な発言多いよな。
特に暑いとか寒いとか。言わなくてもミンナ分かってるのに口に出す。
ついでに一人の時でもな。
今はちょうど太陽が顔を出し始めた頃。
真っ暗って程じゃないけど、街灯がない場所だと夜と言える位に暗い。
軽くダジャレを混ぜてみても暗い心は全然明るくならない。
ついでに言えば周囲も真っ暗。
昼間は子供連れの母親が仲間とお喋りに興じる公園。この時間じゃ周りの木のせいで真っ暗。
そんな暗い公園で汚いベンチに座ったまま空を観察中。
正直言って面白くない。中途半端な明るさのせいで星すら見えないし。
ネズミ色の折り紙のような空。
なにも映すことのない灰色の空を見上げて一人考え込む。
ネズミ色の折り紙って、ネズミを折る以外に何に使えるのかな。
朝になったら折り紙を買いに行って色々折ろう。そんな風に一日の予定を決めながら、完全に夜が明けるのを待っていた。
いくら春って言ってもまだまだ寒い。
もう四月半ばなんだから、暖かくなってもいいのになぁ。
コーヒーでも飲んで暖まろう。
公園の入り口近くにある自販機に向かう。
ポケットから小銭を取り出し、適当に自販機のボタンを押す。
「おぉ・・・あったけぇ」
持ってるだけでも十分に暖かい。
チビチビ飲みつつ元のベンチへ。
そして、もう一度空を見上げる。
朝がもうすぐそこまで来ていた。
・・・・・俺の大嫌いな朝が。