6話 開発
私たちは来る日も来る日も自分たちの生活が豊かになるよう、頭を捻り、体を動かし、情報を集めていた。エリーとリーナの2人が制作を担当し、残りのミア、ヴィーナ、ソーニャと私の4人で今後の制作マップを作っていた。エリーとリーナは、私たちに必要な物を作ってくれている。技術的に可能な物は全てできているんじゃないだろうか。
当初買った私たちの土地はだいたい東京ドーム30個分。それでも多いと思うのだが、近くの土地が売りに出た瞬間に買い足していった結果、100個分にまで増えていた。およそ東京ディズニーランドの10倍。
もはや家の敷地というより、町くらいの大きさになっていた。完成予想図がどんどん広大になり、敷地を守るためにエリーとリーナが作っていた自律ロボットを配備し、防衛ラインまで作ってしまった。私たちはそろそろ反逆者と思われても仕方ない気がする。まだ自律ロボットなんて世に出回ってないぞ。AIの精度も完璧だし。一番私の娘の中で恐ろしいのはリーナかもしれない。
ここは元々工場だったので道路も港もあったことが幸いし、少ない人数ながら少しずつ町(?)が整備されてきた。
プラントビルの設計図もシステムも既に完成していたが、建設系はミアとロボット数台しか手が回せず、あまり進んでいなかった。発電所も同様だ。
その代わりに、エリーとリーナによるロボットやドローンの開発はかなり進んだ。製作に足りない機械を購入し、海岸から輸送した荷物の運搬や敷地の移動に使う自動運転車を作ったり、自動掃除ロボットを作ったりしたので広大な敷地ではあるがある程度過ごしやすくなってきた。
「でもさすがにそろそろ人を増やしたいね。管理が大変だ」
自律監視ロボットが巡回しているとはいえ、やはり敷地全てをこの人数で把握するのは難しい。ミアと今後の課題について話をしていた。
「でも、さすがに私たちのやってることを部外者に教えるのはかなりリスキーですよね」
「そうなんだよなぁ」
「奴隷、あるいはクローンか」
「クローンって、まだSFの段階なんじゃないんですか?」
「いや、もう実験はかなり進んでるから、詳しい人がいれば作れないことはないと思うよ」
「そうなんですか。ある程度遺伝子を調整して、強力な人手を得ることができれば、建設だけでなく防衛にも使えますね」
「ただ、一応人間だし、貴重な資源だ。失いたくない資産だよ」
「イリヤ、だんだん考え方が人間らしくなってきましたね」
「そうか?」
「とりあえず、来週の人工衛星打ち上げを無事に終わらせましょうか」
そうだった。ついにロケットを飛ばしちゃうんだった我が娘たちは。