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29話 訪問





「ついに水道まで止まったらしいです。ほんと、どうなってるんでしょう?」


 岡田から、水道局からも道庁に問い合わせがあったと報告を受けた。


「電気はまだわかる。いや、太陽光パネルの購入履歴もなかったから全然わからないんだけど、それより水道はもっとわからない」


「それに加えてなんと、計測ではその土地の配管には水がまったく通らなくなっているそうで……。堰き止められたんじゃないか、って水道局は騒いでいます。ただ、土地が海側だったため、迂回ができることは救いだと」


「水を堰き止めるくらいはやってしまいそうだよな、あそこなら。いやいや、どんな家族なんだよ」


 だんだんと感覚が鈍り始めているな。

 とはいえ、あれだけ巨大な土地を買ったからには理由があるはず。私は純粋に興味が出た。


「よし、アポイントを取ろう!」


「私も行きます!」



 岡田が電力の買取の件で、と電話をしたら、すんなりと面会希望が通った。


「普通にOKでてびっくりしてるんですけど」


「それは俺も一緒だ」



 その日の午後、車を走らせて前回と同じゲートまで向かうと、

「こんにちは」

 若い少女がゲートで出迎えてくれた。


岡田は

(電話の子とは声が違います)

と教えてくれた。ということは別の姉妹か?


「突然の訪問申し訳ない。今日はよろしく頼む」


 私たちは挨拶し、彼女が姉妹の長女ヴィーナだと把握した。



 通されたのはゲートに併設された会議室だった。


「ここは?」


「来客用に作った会議スペースです。今日はここでなんでもお話しますので、よろしくお願いします」


「え、と、親御さんは?」


「基本的には私が対応をします」


「そ、そうですか。よろしくお願いします」


 たかだか15.6の少女にも関わらず、この落ち着きようには驚く。同じくらいの歳の私の娘とは全く違う。


「では、電気の買い取りを希望されたということですが?」


「そうです。発電の目処が立ったので、電力使用を停止し、電力売却を希望しました」


「ちなみに年間どれくらいの発電量ですか」


「1000GWhです」


「「は?」」


「1000Gわっ」


「それはわかりました。なぜそれだけの電力が余っているのですか?」


 1000GWhなど、さすがに多すぎる。


「発電所ができたからです」


「それはどんな?」


 原子力発電所じゃないといいが、そんなわけないだろう。


「地熱発電所です」


 いやいやいやいや、それもどうなんだ。

 開発コストが高すぎて日本では普及していないあの地熱発電所を抱える家族。いや、ヤバすぎる。


「話は変わりますが、こんな大きい土地、なにに使っているんですか?」


 電力量が意味わからんほど大きいし、これは部長であっても私一人で抱え切れる問題ではない。地熱発電所があることもまた問題なのだが。

 なので、話の方向転換をした。決して興味ではない。


「まだ全部は使い切れていません。近隣の土地を地主さんから買ったら、『ここも全部買ってくれんか?安くするぞ』って言われて。そうするうちに、他の地主さんからも売却希望があって、買ってあげたんです。北海道の土地はいまや中国人にしか人気はない。でも、北方領土とかで海外との確執が大きく、日本人にしか売りたくない、ってことで売ってくれたんです。まあ、私たち日本人もアイヌの方からすれば『外来種』なんでしょうけど」


「なるほど。たしかに北海道民はそういう人多いですからね」


「管理はどうしているんですか? 草刈りとかも大変じゃ?」


「ロボットに任せています。いわば、草刈版ルンバですね」


 そんなロボットあったっけ?


「そんなロボットありましたっけ?」


 おぉ、ナイス岡田。


「いえ、自作です。侵入者がいないかの警護も兼ねています」


「自作!?」


 いや、まあ、地熱発電所つくっちゃうくらいだからな。それくらいあっても驚かん。


「ちなみに、発電所見せていただくことは可能ですか?」


「コア部分以外は構いませんよ」


 なんとヴィーナちゃんは快く了承してくれた。発電量日本一の地熱発電所。どんな感じなんだろうか。


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