1話 現界
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この作品は、『創造主と半年間の勉強ライフ〜半年間創造主の下で勉強したらチートになりました』の連載版です。時系列ではこの短編が先になりますが、本作のみでも理解は可能です。
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「いやー、なんかさすがに飽きてきたんだけど、地球で面白いことないの?」
足を地面に投げ出して座りながらミアにそう尋ねる。
「ないですねー、最近暇ですね、ほんとに」
こちらは「エステ」なるものを別の天使から受けながら答える。
すると外に待機していた天使がノックをして入ってきた。
「イリヤさま、ミアさま、日本国のアカネさまが来ておりますがいかがしますか?」
アカネは日本国の天皇家に連なる神。彼女は人間からアマテラスと呼ばれているが、神々の位相ではアカネと呼ばれている。人間に呼ばれる名前と同じように呼ばれるのは気が休まらない神が多く、別の名前を持つ者が多い。ちなみに私は人間からヤハウェと呼ばれているが、ここではロシア語で使われているイリヤという名前を名乗っている。
「通せ」
ちょうど暇を持て余していたのでラッキーだ。会うのは久々だしな。
「承知いたしました」
「久しぶりですわね、イリヤ」
さすが日本の巫女。東洋の美しさと白さを兼ね備えた、とても美しい女性だ。ミアもかなり美しいが、それとは違う美しさを持っている。まあ神はみんな美しいのだが。
「あぁ、久しぶりだな。今日は突然どうした?」
「用がなくては来ていけませんの?」
うふふ、とお淑やかに手を口に当てながら笑うアカネ。これはミアには似合わない仕草だな。
「冗談はさておき。最近地球を見ていますの?」
「見てるよ。でもつまんないんだよなー、石油とかウチのテリトリーからはぜんぜん出てこないし。戦争もないし。日本はどうだ?」
本当に何もなくて暇だったので、正直にそう答えた。
「日本は他のアジア諸国が発展してきまして、覇権争いに必死ですの。しかも、先の大戦で敗戦したせいで中国にだんだん負けそうなんですわ。それだけでなく国内政治も雲行き怪しくなり始めて……」
「そうだよな、日本はほぼ単一民族の国家だし、今も王朝はアカネの子孫だもんな。私みたいに複数国家だとそんなのどーでも良くなるんだけど」
「それで、そろそろいつものようにテコ入れしようかなと思ったのですが、天皇家の力はほとんど失われていることに気づきまして、どうしようもできなかったんですの。だからどうしたらいいか聞こうと思って会いにきたんですのよ」
「なるほどなー、ミアはどう思う?」
どうしたら、という質問は答えにくいから苦手だ。だからミアに振ってみたのだが。
「イリヤさま、日本に行きましょう!」
唐突に元気になったミア。目が輝いている。
「日本はいろいろ面白いものが多いとか! 暇つぶしには最適ですよ!」
「ミアは行ったことあるのか?」
「ないですけど、日本は面白いところと下位天使の者たちが言っていました。アニメやゲームなどのサブカルや、サムライニンジャなどたくさん面白いものがあるとかないとか!」
すごい食いつきようだな、そんなにいいところなのか。
「まあサムライはもういませんし、ニンジャもかなり現実のものとは違いますけど……。アニメはゲームはたくさんありますわ。中にはゲームで美少女育てたりするものも……」
「美少女を育てる?」
それは聞いたことがない。
「人間の女の子を育てるゲームだと聞いています」
「ゲームで人間を育てる、か。今と変わらない気もするけど、なんか面白そうだな。よし、観光がてら行ってみるか!」
「それでこそイリヤさまです! いきましょう!」
そうして日本行きが決まったのだが。
「あれ、神って現界できないんじゃなかったっけ?」
そう、天使は人間界と天界を行き来できるが、神はできない。
「大丈夫ですの! 人間の入れ物に魂を入れる技術が日本に誕生したんですわ」
マジかよ、日本すげーな。
「人間なんてイリヤの能力に比べたら何億分の1くらいですけど、できるだけ限界値に近づけるので10日もしたら違和感はなくなるはずですの。睡眠とか疲労とか人間由来のものもあるから、より人間を体験できると思いますの」
「人間体験か、暇つぶしにはいいな。さてミアも準備いいか?」
「バッチリです! いきましょう!」
「じゃあ、転送頼むわアカネ」
「わかりましたの。ほんと、決断早いんですのね」
「どうせ私がその話に乗ると思って準備してきたんだろうに。あ、私の権限渡すから私のいない間は管理頼むなー」
「え、あ、ちょっ、」
「「いってきまーす!!!」」
「聞いてないってーーーーーー!」
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