なんかわからないからいろいろ聞いた
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皆様に楽しんで読んで貰えるように頑張りますヾ(o´∀`o)ノ
皆が離れると、リックお兄ちゃんが満面の笑みで私に言った。
「僕ね僕ね、ずっと一番下だったから妹か弟が欲しかったんだ。僕のことはリックお兄ちゃんって呼んでね」
「リックお兄ちゃん」
「俺も俺も!兄ちゃんって!」
「グレイ兄ちゃん」
お兄ちゃん二人とお姉ちゃんが出来たのかー。一人っ子で兄弟欲しかったから嬉しいなぁ。自分より年下の子をお兄ちゃんって呼ぶのに変な感じがしない。本当に見た目と一緒に心も幼くなったんだろう。
「そうだ、あんたそろそろ仕事だろ」
「ああ、もうそんな時間か。行ってくるよ」
「いってらっしゃい。リア、下の掃除やっといとくれ。私は買い物に行ってくるよ」
「はーい。いってらっしゃい」
「「いってらっしゃーい」」
リアお姉ちゃんは掃除、お母さんは買い物、グレッグお父さんは今から仕事のようで、皆荷物を持って下に降りていった。騎士のお仕事だから街の巡回とか大きい建物の警備とか?後で聞こう。
私がお母さん達が降りていった方を見ていると、グレイ兄ちゃんとリックお兄ちゃんが私に改めて声を掛けてきた。
「さて、母さん達も店の準備に行ったし……何する?」
どうやら今はすることがないようで、暇らしい。それならば、ここについての話を聞こう。
「あ、あのね。私知らないこといっぱいだから、たくさん教えてほしいことがあるの」
「おー。兄ちゃん達に何でも聞いてくれ。まぁ、難しいことはわかんねぇけど……」
「じゃあ難しいことは僕が代わりに答えるよ」
「なんだよー。俺がバカみたいに言うなよ」
「あははは。……あ、早速だけどね、ここってお店なの?」
「あ、そのことね。そうだよ。母さんが酒場をやってるんだ」
この家は4階建てで、1階は酒場、2階は客室、3階は居間やキッチンで4階が家族の個室らしい。大きいな。
お父さんが騎士でお母さんは酒場をやってる共働きか。
そりゃあ暇になるわ。
「そっかー。お父さんのお仕事、騎士ってなにするの?」
「えっとなー、街の周りの魔物倒したり、街に悪い人とかがいないように見回ったりするんだってよ。かっけぇよなぁ」
「父さん副隊長とかなんかだから普段は王都でお仕事してるんだ。でも、僕と兄さんが学校の長期休みだからこの時期だけここの警備に当たってるんだって。隊長さんがお父さんが家族と過ごせるようにしてくれてるみたい」
兄さん達がいろいろと説明してくれた。ここはマディアスという国の王都から大分離れたルドルクという街らしい。騎士は普段は王都で事務やお城の警護をするものだが、子供が長期休みになると家族がいる街の警護に当たらせてくれるらしい。その副隊長って大分偉くない?お父さんすごいな。
「お兄ちゃん達は学校行ってるの?」
「そうだよ。姉さんはもう卒業したけど、アカリも10歳になったら行くんだよ」
「今はお休み?」
「あぁ、普段はずっと王都の学校で勉強して、王都の寮で暮らすんだ。えっと1年が13の月でひと月が25日。13の月から2の月までの冬の間はお休みなんだ。今は1の月の12日だからあとひと月とちょっとで学校に行くんだ」
「でもここから王都まで遠いから2の月の10日には出発しないといけないんだよ」
「この国は広いからなぁー」
1年は13月でひと月が25日か。これはもとの世界と違うから間違えないようにしないと。ここの子供達は親と離れて遠い王都まで学校に行っているのか。ホームシック大変だろうなぁ。
学校って何を学ぶのだろう。
やっぱ魔法とか普通に学べるのかな。そもそも視界の端にちょこっと見えただけで、まだ魔法がちゃんとあるとか知らないんだよな。
「学校って何お勉強するの?魔法も教えてくれるの?」
「古代文字とか歴史とか数学とかいろいろかなあ。あ、剣も教えてくれるぞ。魔法は教えて貰いたいやつだけかなー。選べるんだ。ほら、7歳から使えるから親に教えて貰うやつがほとんどなんだ」
「魔法みたい!みせて!」
魔法はやっぱりあった!興奮しながらグレイ兄ちゃんに頼むと兄ちゃんは自分の手のひらに水を出した。
水が浮いてる!!
「え!すごいすごい!!いいなー!すごい!」
「ぼ、僕もできるもん」
リックお兄ちゃんが人差し指を回すと私の髪がふわっと風になびいた。風をおこしたのかな?これまたすごい!
私が騒いでいるとお兄ちゃん達はへへっと照れくさそうに頭をかいた。
「これくらいなら、7歳になったらすぐにできるぞ」
「なんで7歳から?」
「えーーっと……なんでだっけ?」
「兄さん……。7歳になるまではね、まだ魔法を使うための体が出来てないんだ。だから、7歳になってからじゃないと魔法を使っちゃ駄目っていう決まりがあるんだよ。だから、アカリだと……アカリって何歳?」
「えっとねぇ……たぶん5歳だと思うけど……うーん……わかんない。」
「まぁ、あと2年くらいしたら魔法使えるようになるよ。」
「うー…」
あと2年も待たないといけないのか。まぁ、それくらいがちょうどいいのかな。まだここの事少ししかわかってないし、勢いで決めた事だけど家族にも慣れないといけないしね。
「他に聞きたいことないか?」
「うーん……今のところはもう思いつかないかな」
「そっかー」
丁度、私達がこれからどうしようか悩んでいる間にお母さんが帰ってきたみたいで、下から私を呼ぶ声がした。
もう帰ってきたのか。3人で1階に降りていく。
そこは、グレイ兄ちゃん達が言っていたようにテーブルと椅子がたくさんあるファンタジー世界の酒場のような場所だった。
カウンター席からは直接厨房が見える。
ここからお酒を手渡しをしたりするのだろうか。
客は誰もいない静な場所なのに、なんだかとてもわくわくした。
「急いで服を買ってきたんだよ。おいでアカリ」
お母さんは扉の近くのテーブルに大きな袋を置いて、私を手招きした。
素直にそちらへ行くと、袋から幼児が着るような可愛いワンピースを取り出した。
「はい、これ。あと何枚か同じようなサイズの物を買ってきたんだ。今の格好はあまり良くないからね」
今の私はボロボロのシャツにズボンを着ている。建物の中だからあまり寒さを感じなかったけど、冬と全く合っていない服だ。シャツもところどころ汚れていて破れている。どうしてこんな服を着てるんだろう。
「1度着て貰おうかと思ったけど先に風呂に入った方がいいね。グレイ、アカリを風呂に入れてきてくれないか」
えっあのグレイ兄ちゃんは兄ちゃんなので男の子なんだけどできればお姉ちゃんの方がいいのだけれど確かに幼児だし妹だし兄ちゃんにとってはどうでもいいかもしれないけれど私の心は15歳だし中3だし中1の後輩の男の子と風呂に入る気分だしそもそも会って一日も経ってないしあのあの……。
「はーい。風呂は2階にあるんだ」
兄ちゃんはお母さんから私の服を受け取り、私の手をひいて2階にあがる。
えっ本当にこのまま入るの?
階段の近くの扉を開けると、中は脱衣所になってた。
私がぼけっと考えている間に兄ちゃんは私の服を横に置いて、自分の服の袖をまくった。
「自分で脱げるか?」
いや、脱げますけど、もちろん脱げますけども脱ぎたくないです。
私が脱がずにいると「兄ちゃんが手伝ってやるよ。はいバンザーイ」と服を脱がされる。
…いや、あの……………ええい!女は度胸だ!!
あとは自分で出来ると言って下は一人で脱いだ。寒い。恥ずかしくない、女は度胸女は度胸。
「よーし中入れー」
中はそこまで広くはないが、幼児と子供が入っても狭くならないほどの大きさだった。
気の桶が置いてあり、そこに座るように言われたので大人しく座る。
「目閉じとけよー」
言われた通りに目をギュッと閉じると、兄ちゃんの「それっ」という声と共に頭からお湯を被る。
温かい。
石鹸らしきもので頭を洗われる。目をつぶっているからわからないけど多分石鹸だろう。
そのまま体も洗われる。だいぶくすぐったい。
爪先まで洗い終わるとまたお湯がかけられて、今度は石鹸を洗い流す。
されるがままになっている。
「終わったぞ。アカリって金色か茶色かどうかいまいちわからない色してたけど、土とか洗い流したらしっかり金髪なんだな。ちょっと暗め?茶色め?な色してるけど」
肩までしかない濡れた自分の髪をちょっと前に持ってくると前見たときよりも色が明るくなっていた。
私はこの色好きだわ。綺麗な色とは言えないし、私の顔に合ってないけど。
お風呂から出ると、兄ちゃんの魔法で一気に髪も体も乾かしてくれた。
タオルいらずはいいなあ。便利。
新しい服は自分で着る。
白い長袖ワンピースの上に黄色の上着。ワンピースには花の刺繍がたくさんされている。可愛い。
「おー。可愛くなったな」
そうじゃろ?可愛ええやろ?
新しい妹の可愛さを見せつけるように兄ちゃんの目の前でくるくると回る。スカートがひらひらしてて可愛い。満足した私は回るのを止める。
「んじゃあ戻るか」
「あーい」
お母さんのところに戻るとお母さんとお姉ちゃんが褒めてくれた。
「まあ可愛くなったねえ!将来は美人さんになるよ!」
「可愛い!」
「えへへーありがと」
そんなに褒めたら調子のるよ?
「ああ、そうだギルドに行かなくちゃいけないね。グレイ、連れてって年齢調べてやってくれ」
「はーい」
「僕も行くー」
今度はグレイ兄ちゃんとリックお兄ちゃんと3人でギルドに行くようだ。
どうして年齢を知るのにギルドなのかな?
まあ、後で聞けばいいか。
お母さんとリアお姉ちゃんに手を振って、私達は家を出た。