なんかわからんけど家族になった
空白多めで短めです
え、でもうちの子って。
私は後でアメリアさんに警察に連絡してもらって、しばらくしたらお母さんと電話が繋がって、車かなんかで家に帰れるし、ただの迷子だし、なんともないし。
ちょっと、ちょっとだけ若返っちゃったし、髪の色とかも変わったけど、なんともないし。
アメリアさんとこの子になったら帰るのを諦めちゃうってことで。
ここで暮らしていくってことで。
でもでもでも……。
本当は、本当は、少しだけわかってた。
突然変わった容姿。
見ず知らずの場所。
外国人なのに伝わる言葉。
視界の端に見えた突然手の中に現れる水。
近代的な物が何一つ無いこの場所で。
私は知っている。
ゲームでこのような設定のものを見たことがある。
私は知っている。
私はここが元のいた世界と違うかもしれないファンタジーな異世界だと。あんな非科学的な現象見たことない。
私は知っている。
もう、
家には帰れないと。
「アカリ。」
アメリアさんに呼ばれたけれど、どうしよう。
ここで暮らす?
でも、でも。
突然、アメリアさんが抱きしめてくれた。
「ごめんね。泣かせようと思って言ったんじゃないんだよ。ただ、あんたにとってはここの方が幸せかもしれないと思ってね。」
いつの間にか泣いていた。
泣き虫か私は。
「いつまでも悩んでくれていいんだよ。」
いつまでもかあ。
私は今、悩んでるのかな。
帰れないとわかってて。
ここはゲームみたいなファンタジーな魔法のようなものが使える異世界。
優しい姉弟。
優しいアメリアさんとグレッグさん。
暖かい家庭。
あれ、悩んでるのかな。
いいところしか浮かばないぞ。
お母さんとお父さんには会いたいけれど、会っても「私向こうで暮らすから!」って言いそう。お父さんもお母さんもいつもの私の勢いだと思って「いってらっしゃい」って言ってくれそう。
あれ、なんだ。
悩んでないじゃないか。
もう答えは決まってるじゃないか。
「あの。」
「なんだい?」
アメリアさんの胸から顔を離す。
皆、こっちを見て優しく皆微笑んでくれている。
ああ、ここで暮らすのか。
「一緒に、いたいです。ここの子に、なりたいです。」
とても驚いた顔をしていた。
それがちょっとおかしくて、笑ってしまう。
つられて皆も笑った。
「ああ、今日からあんたはうちの子だよ!」
アメリアさんがまたギュッと抱きしめてくれた。両親が優しくなかったわけじゃない。でも、いいなぁこれ。
一緒になってリアお姉ちゃんも抱きしめてくれた。
グレイもリックもこちらに飛びこんでくる。
こけそうになって、また皆で笑った。
こっちの世界の家族も暖かい。