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なんかわからんけど皆いい人

目が覚めたらまたまた暖かい布団の中だった。目が覚めたらって泣いているうちに疲れて眠ってしまったのかな。体は幼いからなー、仕方ないとはいえ恥ずかしい。どれくらい寝ていたのだろう。今何時だ?


というか今度は誰もいないのか。アメリアさん?とか他の人達はどこにいるのだろう。

周りを見るとここは個室らしく、ベッド、木の机と椅子、クローゼットのようなものとおそらく廊下に続いているであろう扉。コンセントとか無いなぁ。ありそうなのに。外国とか思ってたけどもしかしたら違うのかも。それに昨日はよく考えられなかったけど皆日本語上手に喋ってたし。日本に外国人が集まる場所みたいなのあったっけ?

っていうか現代社会でこんな近代的な物が何一つ置いていないとかあるの?

うーん……。


まぁ、とりあえず人を探さないとね。その人に話を聞いたらいいし


ベッドから降りて扉を開ける。顔だけ出して廊下を見ると細い廊下と扉が数個。廊下の先には階段があった。ここは2階のようだ。

ゆっくりと階段を降りていくと男の人と女の人の声が聞こえてきた。女の人の方はアメリアさんかな?


「…やっぱ…どこぞの貴族様が捨てた子なのかね。」

「あの歳で敬語が使えるのだし、そうなんだろうなぁ。ちゃんとした年齢はわからんが三歳くらいじゃないか?それに服はボロボロで、汚れてはいたけど真っ白な傷ひとつ無い体。」

「あぁ。今、あの子には親はいないのとほぼ同じなのかい……貴族ってのはなにを考えてるかわからないねぇ……。本当に恐ろしいよ。」



絶対私の事じゃん。

えっ聞かなかった方がよかったのかな。それに2人とも私のことをどこぞの貴族がなんらかの事情で捨てた子供になってる。

というか貴族とか知らんて…平民には縁の無い話だし。ここは貴族ということて話を合わせた方がいいのかな?


「あら、誰か階段に……。あぁ、アカリ起きたのかい。ボーッとしてないでこっちにおいでよ。」


あ、固まって考えている間に見つかってしまった。

いや、見つかってしまったってやましいことは何一つないけどね。


「あーい」


階段を完全に降りると大きなテーブルと椅子、奥にキッチンがあって、さっきの部屋より生活感があった。

さっきの部屋は2階だと思っていたけどまだ下に続く階段がある。3階建てかな?


椅子にはこれまたマッチョなおじさんが座っていて、隣には高校生くらいのお姉さん、中学生くらいの男の子、小学生くらいの男の子が座っている。家族かな。声は二人の分しか聞こえなかったけど子供達もいたんだ。

皆外国人顔で服装はどこか古い。

汚いとかボロボロという意味で古いのではなく、なんというか時代が古い。


階段の前でキョロキョロと辺りを見回していると、お姉さんが椅子から降りてこちらにやってきた。


「あら、この子がお母さんが言ってた子?綺麗な髪をしているのね。お名前は?」


かがんで私と目線を合わせてくれる。顔を改めて見ると美人さんだ!眩しい!

ちょっと後ずさりをしてしまう。


「あ、あかりです」

「アカリね。私はリアよ。リアお姉ちゃんって呼んでね。」

「リアお姉ちゃん……」


ニコニコしながら話してくれる。

もの凄くいい人だ……初対面で会ってから数分もたってないけどいい人ってわかる。

強引に来るなかに幼い子に向ける優しさがもの凄く伝わってくる。

私、このお姉さん好き。


「まあ、立ったままもあれだし座りな。ちょっと難しい話もするけど我慢しておくれよ。」

「あーい」


リアお姉ちゃんの隣に誰も座ってない椅子があるのでそこに座ろうとする。

ってか椅子高いな。

これは座ると言うより登るじゃない?


「よっと。」


お父さんらしき人がわざわざ抱っこで座らせてくれた。


「ありがとーございます。」

 

ちゃんとお礼は言わないとね。


「アカリお腹空いて無いかい?」

「少しだけ空いてます。」

「少しだけか……チーズは好きかい?」

「チーズ!すきです!」


チーズは大好物さ!

休みの日は財布を握りしめていろいろなスーパーにチーズを買いに行った。それを食べながらゲームは幸せな一時だった。

休みの度にやってたけども。


「それならパンの上にチーズをのっけたのでいいかな。ちょっとまってな。」

「あーい」


チーズ、チーズ。

迷子になって初めてのご飯がチーズとは運がいいなぁ。

脚をリズム良くバタバタする。気付いたらお姉ちゃん達皆に見られてた。チーズにはしゃいでいるところをずっと見られていたのか……。


「アカリもチーズ好きなのか?俺も好き!一緒だな!」


中学年くらいの男の子がこっちを見てニカッと笑った。

えへへ。チーズ仲間。


「こら、ちゃんと自己紹介しなさい。」

「あ、俺グレイ!13歳」


なんと、前の姿の同じ年齢くらいかと思っていたらもう少し下だったか。


「僕はリック。10歳だよ。よろしくね。僕もチーズ好きだよ。一緒。」


こちらは大人しそうな男の子だなあ。ニヘッと優しく笑う。可愛い。


「私はグレッグだよ。騎士をしている。この子達のお父さんだ。」


騎士かー。だからムキムキなのか。


「アカリです。えっとえっと……チーズ好きです!」


私も自己紹介しようとしたけど言えることがなかった。悲しい。


「はい、出来たよ。お食べ。」


ちょうど自己紹介が終わったところでアメリアさんがお皿にのったパンを出してくれた。

フランスパンを切ったようなパンにはトロトロのチーズがのっている。まるで宝石のような輝き。


「いただきます。」


熱そう。おそるおそるかじってみる。

 

「……おいしい」

 

チーズうまー。これはシンプルにチーズの味が楽しめる。うまー。語彙力も溶けるぐらいにチーズがトロットロ!絶妙!


にっこにこで食べ終わるって顔を上げると、皆が私を見ているのに気がついた。

あらやだ恥ずかしい。

  



「あんたさぁ。」




アメリアさんがこちらを見ながら口を開いた。




「うちの子にならないかい?」




え?


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