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パラベル!  作者: 甘味
4/5

第四話:自分の幸せ

パラレルワールドを移動して2日が経った。

昇は仕事があると言って何処かに行った。

明日は遊園地に行く予定。


ピリリッ♪


メールだ。遊園地に一緒にいった友達からだ。


―明日は遊園地だからね!

―時間は8時厳守!遅れたら・・・ふふ・・・


前に送られてきた内容と同じ。


昇は言っていた。

「普通に前と同じ行動をとることを忘れないでください。

不必要なことをすると、運命が大きく悪転するかもしれませんので。」と。


だから私は明日8時に遅れていかなければならない。

散々怒られるのは分かっているのに。

遅れた罰ゲームがジェットコースターだったんだし。


私は前と同じようにメールを返す。


―了解★!

―絶対遅れないよ!!


絶対遅れるんだけどもね。


「あ、遅れないとその場で死ぬみたいなので気をつけてくださいね?」


昇の声。

もう、驚けなくなってしまった。


「遅れないだけで?」


「それが、遅れずに集合場所に行くと、

あなたの頭上に飛行機の小さな破片が物凄いスピードで落ちてきて、

ちょうどど真ん中を貫いて死にます。」


どれだけ運が悪いんだ私は・・・。


「あと、7時50分までにこの家を出ないと無差別強盗殺人で死にます。」


「逆に私すごくない?」


「はい、相当強いです。幸の気が。

美紀さんは幸の気が普通の人の10倍はあるのですよ?これも手違いで。」


「へぇ・・・。」

「・・・ま、不幸の気も普通の100倍あるのですが。

ちなみに幸の気に手違いが生じていなければ、

生まれて30秒で死ぬ予定でした。

ま、ここまで生きてたのも奇跡なんですよね。」


そういって昇は笑った。

いや、笑えないって!


「ほら、そろそろ寝たらいかがですか?」


あ、本当だ、もう10時を過ぎている。

特にやることもないし寝ようか。


「あんたはどうするの?」

「寝顔を観察・・いや、テレビでも見ています。」


「や、帰れよ。」

「そういわずに・・・ぶっちゃけ今日は帰るところがないです。」


「何でだよ。天国にでも行きなよ。」

「天国に行くと通行料取られるので嫌です。どうせここにまた来なきゃいけないのに。」


通行料って・・・そんなのあるんだ。


「じゃあ、分かったよ。適当に見てていいよ。」


「ありがとうございます。お詫びに一緒に寝ます。」


「サラッと今何か変なこと言わなかった?」

「気のせいです。」


・・・やっぱりダメだコイツは。


「おやすみ。」

「はい。」


あぁ、明日が終われば、またこういう風に普通に眠れるのかな?

死と直面したりしない。

普通に暮らす。例えちょっと不幸だっていい。

ただ普通に友達と話して、ただ笑っていられるのなら、

私はそれでいい。


明日が終わったら、もう昇には帰ってもらおう。

別に宝くじを当てなくてもいい、大統領にならなくってもいい、

もちろん世界征服なんてしなくてもいい。


ただ、普通に暮らせればそれが私にとっての幸せなんだ。

幸せは相対的、そんなこと言っていたけれどもそれは違った。


ものは思いよう。

人によって、ものを食べることに幸せを感じることができる人もいれば、

今日を生きることそのものに幸せを感じる人もいる。


私は・・・今まで通りが一番幸せだから。



そんなことを考えながら私は眠りについた。


次回、最終回となります。

非常に短い小説でしたが、

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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