表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラベル!  作者: 甘味
2/5

第二話:自分の幸せ、他人の幸せ

幸せって・・・どういうことを言うのだろう・・・。


私だったらこう答えるかも。


「私みたいじゃない人は幸せだよ。」と。


世の中には私なんかよりよっぽど不幸に見舞われている人も

いるんだろう。


友達と遊園地に来る、

そんなこと、絶対にできないほど不幸せな人が。


・・・でも、そんなの私には関係ない。


世界は広い。

そんなこと言うけど、私にとっての世界はとてつもなく狭い。

せいぜい私の住む国、地方、町。

それ以外の場所でどんなことが起きたって実感なんて沸かない。


何かの本で読んだ。

幸せとは相対的なもので、不幸せと比べることで初めて幸せと呼ばれる、と。


もし私の町で、一日一食しか食べられないひとがいるならば、

それはこの町の中なら相当な不幸と見られるだろう。

例え一日一食すらない人が他の国にいたとしても、

あくまで同情の目は身近な、自分の世界の中の人間にしか向けられないんだ。



私にとっての不幸だってそう、

まぁ、さすがに、ジェットコースターで投げ飛ばされて死ぬって言ったら、

それは相当な不幸だけど、

私の普段の不運は私の世界の外で相対的に見れば、

どうでもいいことなのかもしれない。


でも私ははっきり言える。

自分が住んでいるこの世界では私は不幸なんだと。



「・・・あなたの考えはよく分かります。」


今だ空中で私の目の前にいる黒スーツの男は、急に口を開いた。



ってか・・・え?



「あなたの考えは当たっていますよ。

確かに私どもの中では、その国、その地方で細かく幸不幸の水準を分け、

それに見合った不幸の気、幸の気を分配しています。」



「いや、何で私が考えてること分かってるの?」



そっちのほうが気になる。



「天使は、人間の脳なら考えてることのほとんどは解読できるのですよ。

言ってませんでしたか?」



「いや、聞いてないって・・・。ってか、あんたが天使ってのがもっと初耳だよ?!

あんたが天使って・・・ありえない・・・」


私は笑いながら言った。

だって天使って言ったら、白い法衣に身を包んで、輪ついてて・・・

そういうイメージしか持ち合わせていないもの。


「天使だって、時代に合わせて格好を変えるものなのです。」


「いや、でも信じられないよ・・・だって、あんたパッと見サラリーマンだもん!」


「サラリーマン?!そんな低級職と一緒にしないでください!!

天使になれるのは超エリーーートのみ!

私はその中でも選りすぐりの天使長なのですよ?

ほ、ほら、名刺もあります!」


そういって男は慣れた手つきで、私に名刺を差し出した。



「天界神命局・・・天使部現世課長、目付 昇。へぇ・・・」


「ほら、ホントでしょう?!」


いや、課長じゃん、サラリーマンじゃん・・・

そう思ったが、面倒になりそうなので突っ込まないで置いた。



「まぁ、天使でもないとこんな芸当できないよね。普通に考えれば。」



「そうです!で、私のようなエッリーーートにのみ許可されているのが、

パラレルワールドの移動ってことです!」



昇とやらは自信満々に言った。



「さぁ、話を元に戻しますよ!チャンスは三回です!どうします?」



「どうしますって・・・このいつまでも空中にいる状況をどうにかしたいんだけど・・・。」



「そんなの簡単!・・・でもないんですよねぇ〜・・・。」




「え?何で?ジェットコースターに乗らなければいいんじゃないの?」



「それができないのです。あなたの友人は押しが強いようで、

遊園地に入った時点で既にあなたは友人に引っ張られてでもジェットコースターに乗る運命だったのです。」


「じゃあ・・・どうすればいいの?」



「話は2ヶ月前まで遡りますがいいですか?」


「そんなに?!何で?!」


「運命とは、全然関係ないところで決まるのです。

桜の木を勝手に切ったから大統領になったり、双子に生まれたから芸能人になったり。」


二つともだいぶ違う気がするんだけど・・・。



「あ、でも、ありました。他に回避方法が。

3日前の世界にありますね、でも、無傷では済まないんですが・・・。」



「3日前?へぇ・・・無傷じゃないって、どういうこと?」


「全治4日です。まぁ、切り傷くらい・・・で済むはずです。」



はずってのが気になるけど・・・まぁ、いいか。



「じゃあ、それにする、で、どうすればいいの?」



「まず3日前の世界に行きましょう。

少し・・・気分が悪くなるかも知れませんが、・・・我慢してください。」




パン・・・パン・・・


昇がゆっくりと手を叩く。


目の前の景色がぐにゃりと歪み、

機械音のような音が私の脳に直接響いた。


おぇ・・・気持ちわるぅ・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ