ホットドッグ
ポップコーンも売り切れ、開演時間を少し過ぎてしまったので
集まってくれたお客さんに声をかける。
「お集まりいただき有難う御座います! 本日はこちらをご覧になってください!」
俺の言葉にお客さんは首を傾げる。
「この上の板を見ていればいいのか?」
集まった中の一人が上を指差したので、俺は無言で頷いた。
「それでは本日も楽しんで行ってください! ポップコーンとは違い、飲み物は十分に用意しております。 ご購入の際はお気軽に声をおかけください!」
そう言うと、俺はリモコンを持って再生ボタンを押した。
外から聞こえる驚愕の声を満足げに聞き
キッチンカーの中に設置してある、休憩用の長椅子で寝転がって漫画を読み始めた。
三冊ほど読み終わった頃に、カウンターから声が掛かったので起き上がって移動する。
「どちらになさいますか?」
コーラとアイスティーの二つしかないので、この質問だけで済むのだ。
「コーラ!」
元気に返事が返ってきた。
俺は子供が嫌いだが、行儀の良い子はむしろ好きといって良い。
元の世界では、子供に関わると碌な目に遭わなかったのだ。
だが、こちらの世界では違う。
子供は純粋で、遊ぶことに精一杯だが
家の手伝いをすることが普通なのだ。
そのため、本当によく出来た子が多い。
勿論、クソガキと言いたくなる子供も居るが
元の世界よりも、大分穏やかに対応できるようになった。
「どうぞ、後ろはお父さんかな? 一緒に飲むんだよ?」
優しく微笑みながら、父親と思わしき人の分をサービスした。
「ありがとう!」
お礼を言って走って戻っていく。
そして元の位置に戻ると、二人でこちらに手を振ってくれた。
いいなあ、こういうの。
その後も何人か飲み物を買いに来て、公演の時間も終わりに近付いた。
四話目になると、オープニングを口ずさむ子まで現れ始めた。
なかなか好評の様だ。
正面に見えるパン屋さんからは背筋が冷えそうな視線が飛んできているが
それは仕方がない。
気にしてはいけないのだ!
エンディングも終わったところで、お客さんに声をかける。
「ご静聴ありがとうございました! 次回はお昼に開演となりますが、こちらの続きを放映します。 お時間の都合がつきましたら、是非ご来場ください!」
決して静かに観てはいなかったが、盛り上がってくれたので良いだろう。
人が散ってからキッチンカーの窓を閉めて、つまめる物を考える。
お昼ということも考えて、軽く食べられるもの
ホットドッグなんかいいかもしれない。
キッチンカーの内装を変えて、七輪を並べていく。
お昼まではあと二時間程度なので、すぐに火を熾しても大丈夫だろう。
既に切れ目の入ったコッペパンを大量に購入し、流しに水を張ってレタスを千切ってつけておく。
ソーセージをコッペパンと同じ数だけ購入したら、ケチャップとマスタードを大きめの壷に詰め替える。
これで準備完了だ!




