どつぼ
この四人組から教えてもらった事を手帳に纏めて、情報をくれた恩返しとして銀貨を四枚置いて席を立つ。
「ありがとうございます、助かりました。 情報料ということで、よかったら酒でも飲んでください」
銀貨が一枚あれば、飲み代だけならば一週間はもつだろう。
ポカーンとしている四人に、置いていく理由を伝えてギルドを出た。
今回の調査で分かったことは、幾つかあるのだが
大きな物としては、暴力的な表現を少なめにすること。
ここを抑えておけば、ある程度の話は問題なさそうだ。
紙芝居を続けるにしても、次回の話しを考えておかなければならない。
日を跨いでの開催をしていくので、数日後に話の続きを持っていく形にする。
一週間で話が切り替わるのであれば、その間に話を覚えることも可能だ。
人によっては聞き飽きてしまうだろうが、それを言い出すとキリがないのでこの辺りで決めてしまおう。
今回の「開拓者レオナルド」は、今後の展開に気をつけながら公開していくつもりだが
それでもやはり終わりが来ることもある。
常に新しいものを作っていくのは、俺には不可能である。
だからこそ、漫画雑誌を買うのだ。
「主殿…、話がそのままでござる…」
「言うな!」
ポチに手伝わせ、せっせと画用紙に絵を描いていく。
どうせ世界が違うのだ、利用できるものは利用させてもらおう。
漫画の中でも、目的を持って成長していくものを選んでいる。
少年向けだけでなく、少女向けのものまでも購入していく。
「主殿…部屋が狭いでござる…」
「そうだな、後で食べてくれ」
クロックローチのポチならば、チリも残さず食べてくれるはずだ。
女の子向けの方は、恋愛ものが多いようだ。
この世界には小説すら存在しないようなので、絵本の様なものは大体売れると思う。
娯楽に飢えているのだ。
そんな女の子達が楽しみなことといえば、色恋沙汰のあれこれなのだ。
口頭で伝える以外に、他者に伝える方法がないこともあり
噂はあっという間に広がっていく。
それは、子供達だけに留まらない。
親にも伝わり、親も一緒に楽しみにくるのだ。
そして、とどめが最後の甘いお菓子だ。
これで客をひきつけて次回も来て貰う。
これが続けば、多少失敗したとしても困ることはない。
ここで振り出しに戻るが、話のバリエーションが少ない。
たとえ雑誌を購入して、そのまま公演したとしてもだ
絵も見えない状態で、俺は文字を読み上げていかなければならない。
全てでなくとも、ミスを減らすためには暗記しておく必要があるのだ。
だが、暗記をしようにも時間が足りない。
考えても考えても、最良の結果が出てこないので
どつぼにはまる前に寝ることにした。




