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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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開拓者レオナルド

ゴーン、ゴーンとお昼を知らせる鐘の音で目が覚める。


どうやら寝すぎてしまったようだ。


だが、早く起きたところでどうせやることなどないのだから構わない。


「よし、ポチ。 いこうか」


「はい! 主殿、子供たちが寄って来るといいですね!」


浦島太郎の紙芝居で子供達の気を引こうと思ったのだが


ここまでの生活で亀を見たことがないことに気付いてしまった。


その為、昨夜せっせと改変作業をしたのだ。


その結果、うだつのあがらないギルド員が紆余曲折を経て出世するだけの話になってしまった。


だが、その内容は上出来といってもいいだろう。


子供も大人も楽しめれば尚いいのだが、そこは感じ方の違いもあると思うので期待だけしておこう。


「さあ、寄ってらっしゃい! 紙芝居が始まるよー! 今日のお話は、開拓者レオナルドだ!」


開拓者レオナルドとは、この紙芝居の主人公となる中年男性のことである。


進行としては、約一時間ほどで終わる内容だ。


実は、この内容の中には一つだけ現実に起こり得ることが書いてある。


それは、偉業を成して才能を授かること。


いかにも子供たちが好きそうな内容だと思ったのだ。


案の定、紙芝居は子供に限らず大人にも喜ばれた。


駄菓子の量り売りも、自分で袋に詰めて購入することが新鮮だと


子供達には大人気だ。


しかし、大人たちにとってはいくらになるのかとハラハラしっぱなしで心臓に悪そうだ。


そんな大人たちだったが、子供たちが親の元へ戻ると表情が変わる。


この世界では大変高価な甘い菓子だったからだ。


それが銅貨一枚で小袋いっぱいに詰められているのだから驚くのも無理はない。


俺にとっても客にとってもプラスになるのだから、これは素晴らしい商売だ。


まだ三分の一も売っていないが、既に収支はプラス域に入っている。


ずっと駄菓子を売っていれば儲かるかもしれないが、ここに用意してある分以上は仕入れないつもりだ。


というのは、何かトラブルが起きて仕入先を聞かれた際に困るからというだけの話なのだが…。


以前に妙な貴族に絡まれたことを警戒し、ちょっとした予防線を張ったのだ。


すぐに破られてしまうような予防線だが、無いよりはマシということで。


陽が沈み始めたところで、ギルドへと歩き出す。


今日の紙芝居は評判だった。


だが、親としての内心はどうだったのかが気になるのだ。


俺はキツネのお面をしていたので、顔は割れていないはずだ。


「あの、すみません。 ちょっといいですか?」


ギルドで酒盛りをしていた四人組に声をかけた。


男女二名ずつの開拓パーティー…。


この四人に声をかけたのは、紙芝居を子連れで見に来ていたのを覚えていたからだ。


「俺は見逃してしまったのですが、紙芝居とやらはどんな物でしたか?」


四人は饒舌に語ってくれた。


流れるようなストーリー展開と、ハラハラドキドキのバトルシーン。


そして何より


日々の生活の中で偶然手に入れた力を悪用しなかった点が一番評価が高かった。


力を持つと悪用する人間は沢山いる。


しかし、それを悪用せずに人々の為に使ったことが一番心に沁みたのだとか。






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