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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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量り売り

しばらくの間、青年と釣りをしていたのだが


青年は用事があると言って帰ってしまった。


「久しぶりにのんびりしたな」


「はい! リフレッシュでござる!」


釣った魚は宿へと持ち帰り、今晩の料理に使われることとなった。


「さて、と…。 ポチ、新しい売り物を考えようか」


「新しい売り物でござるか?」


「ああ、新しい売り物だ」


未だ途上ではあるが、元々の武具装飾品の他に食文化までもが発展してきたのだ。


食べ物を売るのにも、いずれ限界は来る。


なので、ここで先に手札を増やしておかなければならないのだ。


この街は子供が多い、子供をターゲットに大人も一緒に遊べるもの。


そこかしこに埋められた電柱も、網の目のように張った電線もないこの異世界。


やはり、少し昔の玩具が良いだろう。


携帯ゲームは出せば売れるだろうが、やはり異世界の文化を破壊する形になりそうだ。


「よし、暫くは紙芝居と駄菓子でいこうか」


紙芝居の傍らで、竹トンボと剣玉を売る。


定番といえば定番だが、紙芝居を見に来てくれた子供に限り水飴を配ることにしよう。


となると、次は紙芝居の内容だ。


王子様もお姫様もいるこの世界では、下手な話を持ち込むと問題になるかもしれない。


ならば、王子様もお姫様も出てこない話は…。


やはり、これもド定番の太郎シリーズだろうか。


しかし、こちらも問題がある。


この街には、鬼人と言う人種が住んでいるのだ。


それ以外にも、鳥人・猫人・熊人なども住んでいる。


残っているのは浦島太郎だけなのだ。


暴力的な要素も少ないので、浦島太郎が一番なのかもしれないが…。


後はそうだな…、適当な漫画を購入して考えていこう。


「よし、ポチ。 決まったぞ」


「おお、次の商売が楽しみでござる!」


ばれても構わないのだが、今回はお面をしての商売となる。


これは、いずれ売り出す予定の品だ。


先に子供たちが興味を持ってくれれば、後々購入してくれるのではないかという期待がこもっている。


次に決めるべきは、駄菓子の価格設定だ。


元の世界とこちらの世界では、貨幣の価値が違うのだ。


こちらの世界では銅貨からしかないが、その銅貨一枚が元の世界での百円に値する。


つまり、数十円単位の買い物は存在しないのだ。


纏め売りという形でもいいが、忙しなく動き回るのは避けたい。


今はのんびりしたい時期なのだ。


何かいい方法は…。


と、しばし考えをめぐらして思いつく。


そうか、量り売りだ!


金平糖や、小さい飴・ゼリービーンズなどを種類別に箱へいれ


それを規定の袋に入れてもらい、重さで値段を決める。


お客さんの顔を見て売る、それが出来る一番の販売形式だと思った。

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