ゴカイ
建国祭から数日経つが、夜の露店は中々に人気が出ていた。
帝都には珍しく美味しい食べ物が並ぶ店として
そして不特定の場所に現れるため、それを探すのが楽しいとの声も出ている。
夜中に街を徘徊する人が増えたおかげで、夜間の犯罪も激減したと喜ばれたりもしている。
人の目が増えた結果、下手に手を出しても捕まるのは目に見えているのだから当然だ。
しかし人が多く歩くようになれば、当然ライバルが出てくる。
帝都の食は美味しくない。
だが、ここ数日で味に変化が出てきたと噂されている。
俺が呼び水となり、多くの露店がズラリと並んだ。
昼間と同等の、あるいはそれ以上の活気が出てきたのだ。
仕事終わりに酒場に行くのが唯一の娯楽だった帝都に、仕事終わりに露店を眺めながら食を楽しむ文化が生まれた。
狙ってやっていたわけではないのだが、これはこれでいいものだと思う。
互いに切磋琢磨し、味に変化を与えていく。
これこそが食の発展の第一歩だと、納得するしている。
しかし、同時に問題も発生する。
建国祭と同様に、出展する場所を決めるのが大変なのだ。
俺の店の偽者まで現れ、ひっそりとした場所に店を構える輩も増えた。
それを見て、急に熱が冷めてしまい
この街での露店販売はやめようと思った。
常連さんには挨拶を済ませ、しばらく数えていなかった稼いだお金を数えていく。
全て銅貨の支払いなので、銅貨のみが沢山あるのだ。
銅貨だけの枚数で、金貨に換算して三百二十五枚分もあった。
ジャラジャラしていても重いだけなので、ギルドに向かい両替をしてもらった。
何をしよう。
急にやることがなくなってしまったため、空いた時間に何をしようか悩んでしまう。
「ポチ、暇だ」
「暇ですね…。 散歩でもいくでござるか?」
「そうするか…」
適当に街をぶらぶらするが、目新しい物はなく
結局は宿に戻ってゴロゴロするだけだった。
「ポチ、釣りに行こう」
「釣りでござるか?」
「ああ、魚を釣ろう!」
帝都は近くに海があるため、漁は盛んに行われている。
釣りをしている人は見かけないが、銛を持って船の上から投げ込んでいる人は多く見かける。
取寄せで適当な釣具を購入し、海上の空間を固定して足場にする。
比較的浅いところなので、海中で出会った化け物の様な魚はいない。
餌はゴカイを取寄せて使うのだが
うん、きもちわるい。
うねうねしているゴカイをプチンと千切り、針につけて海に放り込んだ。
食べ応えのありそうな魚が寄ってきたので、観察していると
背後から声がかけられた。




