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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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建国祭

結局、縁日から離れてしまったが


これはこれで良いものだ。


歩いている人は匂いに誘われて、家路を急ぐ足を止めて覗いて行く。


決して忙しいわけではないが、お客さんとの些細な会話を楽しむ余裕が生まれた。


しばらくは出展場所を変え、こうしてこっそりと販売する形をとっていこう。


「あいよ! 塩おまち!」


既に暗くなって静かな街並みに、俺とお客さんの声だけが響いていた。


仕事の愚痴を聞いたりしている内に、すっかり朝日が顔を出す時間になっていた。


「おっと、いけねぇ…。 ゆっくりしすぎちまったぜ」


「だな、今日は午後からにしようぜ。 一眠りしないと身体がもたないからな!」


「あはは、身体に気をつけて頑張ってくださいよ。 また明日にでもどこかで開いてるんで探してみてください」


「ああ、またくるよ!」


お客さんと別れ、俺も片づけをして宿へと帰った。


「ポチ、今回の露店は楽しかったな。 目まぐるしいお客さんの注文に振り回されることなく、お客さんの顔を見て商売するんだ。 やっぱりこれが楽しいよ」


「そうでござるな! 主殿の顔つきも、昨夜より良いでござるよ!」


それは何よりだ。


「さ、夜に向けて少し寝ようかね」


陽が天辺から少しだけ傾いた頃に目が覚めた。


思っていたよりも寝ていなかったことに、少しだけ驚いたが


それよりも外から聞こえる音楽に驚いてしまった。


詳細を聞くために食堂へと向かっている途中、宿の従業員に声を掛けられた。


「あら、お目覚めですか? 今日は建国祭ですからね、騒々しいでしょう」


と、笑いながら伝えられた。


祭り


そう、祭りでだ!


「ポチ、急げ! 祭りだぞ!」


市場調査も含め、今日の出展場所を考えるのに軽く散歩をしようとしていたタイミングで


まさかの建国際というビッグイベント!


これを逃す手はないと、ポチを連れて露店巡りへと繰り出した。


祭りの熱に浮かされ、数時間は楽しんだ頃だろうか。


今夜は一日中寝ないで楽しむのが通例となっており


建国祭の翌日は、国民が皆休日となることを偶然耳にしてしまった。


「ポチ、これはまずいぞ…。 販売時間を変えてすぐに問題発生だ!」


既に陽は落ちたというのに、辺りは焚き火で明るいままだ。


これではこっそり露店を出したところでばれてしまうではないか!


「ポチ! 人通りが少なくてそこそこ広い場所を探すぞ! 急げ!」


「はいでござる!」


とは言ったものの、祭りと言うだけあってあっちもこっちも明かりだらけ。


場所探しに走っていったポチとも合流したが、やはり結果は同じだ。


どこかに良い場所があればいいのだが…


あ!


「ポチ! あったぞ! あそこならきっと許可が下りるはずだ! いくぞ!」


こうして慌しく目的地へと向かうのだった。


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