余り物
「おい、ポチ。 どうするよ、引き返すか?」
「その方が良さそうでござる。 もしも拙者達が家宝壊しの犯人だと知れたら…」
「ああ、面倒事に巻き込まれるな! よし、帰るか!」
折角来たが、また今度にしよう。
あの馬鹿娘がいない時に!!
進んでいた方向から、綺麗に回れ右をして何事も無いかのように歩き出す。
「あー!!! パパ! アイツだよ! アイツが剣を壊したの!!」
うん、知ってた。
「あー! 誰かと思ったら丸腰の元帥を切り捨てた卑怯女だ!!!」
「何!? 元帥殿を切り捨てただと? では、あの死体は…。 猶予を与える余地も無い! 独房へ連れて行け!」
独房で済ませるんだ。
見つかって、話しかけられてしまったら逃げるわけにもいかず
男爵に屋敷へと案内された。
「ふむ、その様な事があったのですか。 これは少し調べてみる必要がありそうですな…」
元帥の悪事に心当たりがあるのか、男爵は少し考えた後に
後ろに控えていた人へと何かを伝えた。
「娘さんは独房でいいのですか?」
俺は気になっていたので、ここで聞いてみた。
「ええ、頭を冷やして考え直してくれると有り難いのですがね…」
ん??
「ああ、いえ。 そうではなくてですね、独房程度で罪が償われるのですか? と」
「ああ、そういうことですか。 本当ならば…ですが、打ち首にされても文句は言われないでしょうね…」
ああ、やっぱり。
「あんなのでも娘は可愛い…と?」
「ええ、今回は上手く助けられましたが…。 次は無いでしょうね」
ふーん、ちゃんと考えてはいるんだ。
「ま、この話はここで終わりにしましょう」
「はあ。 この話は…ですか…」
「ええ、なんでも美味しい食べ物をお求めだとか。 今回は、美味しい食べ物を売りに来たのですよ」
「おお! そちらのお客様でしたか! 是非買わせてください!」
凄い!
さっきまでの鋭い目つきが消えている!
「ええ、買い取っていただく前にご説明しなければいけないことがあるので少し待ってくださいね」
「ふむ。 説明とな?」
「はい、実は男爵様にお売りする食べ物はあまり物なのです」
「なんだと!? あまり物なぞを食わせようというのか!!」
「まあまあ、落ち着いてください。 あまり物といっても在庫が多いだけで不良品ではありませんし、衛生的にも問題はありません」
「むむ? しかし、美味いのだろう? 何故余るのだ?」
「当然の質問ですね、その説明をさせていただきますと…」
ざっくりとだが、皮が女性に人気で他が売れなくなってしまったことを伝えると
定価で焼く前の状態の物を買い取ってくれるそうだ。
とりあえず、今後も処分に困ったら此処へこればいいと言われたので
取引としては上場だったのかもしれない。




