グワァ
武器を無くし、尚もお互いを罵りあいながら
その箸休めと言わんばかりに、俺を罵倒してくる。
その場で罵り合っていればいいものを、俺がギルドを目指して歩いている後ろをついてくるのだ。
おかげで俺は、大衆の目線に晒され続けている。
「いい加減消えろ」
後方を歩く二人は、それぞれ違う意味でついて来ているようだが
面倒なことに変わりはない。
「貴様の首を刎ねるまでは帰らぬわ!」
「我が家の家宝を弁償してもらうまで帰らないわ!」
「俺を挟んで剣かをするほうが悪い。 どうせ今までだって何人も巻き込んで傷をつけてきたのだろう。 そんな汚れきった剣が家宝とはな、よほど残念な家柄なんだな」
少女は心当たりがあるのか、その目を薄く濡らしていた。
「そこの笑ってるお前もだ。 極刑? 首を刎ねる? やれるものならやってみろ。 その代わり、手を出したら最後だ。 警告なしに首を刎ねてやるから覚悟しとけ」
ポチが頑張っちゃうぞ!
二人とも罵り合いはやめた様だが、やはり後ろをついてくる。
「何?」
俺が振り向いて、不機嫌オーラ前回で聞くと
二人は肩を小さく跳ね上げた。
「家宝…返して…グスッ」
「逃亡用の馬車が逃げて行ってしまったのでな…その、護衛を…」
それぞれ勝手な事を言っているが、家宝の方は復元できる。
「はあ、残骸を渡せ」
少女に壊れた剣を出させ、それを受け取って時間を巻き戻す。
「えっ!」
足りない部分があるはずなのだが、それを無視して歯こぼれ一つしていない剣がそこにあった。
「ほら、とっとと帰れ」
剣を放り投げ、少女に渡した。
「あ…ありがとう」
「壊したのは俺のペットだからな、早く帰れ」
しかし、ここで俺の予想していなかった事態が起きる。
「グラートル元帥! 覚悟!!!」
「グワァ!!」
少女が元帥の後ろから、背中を斬りつけたのだ。
先程まで、あんなに仲良く罵り合っていたくせに躊躇なく斬りつけやがった。
「貴方もよ! 直してくれたとはいえ、よくも家の家宝を壊してくれたわね! 死になさい!!」
なにこのバイオレンス少女!
しかし、少女の動きが止まった。
困惑する少女と、少女の背後からゆっくりと忍び寄るポチ。
「俺を殺そうとしたんだ、折角直してやったけど家宝は二度と戻らないな」
「嘘! やめてよ!! パパに怒られちゃうじゃない!」
「ポチ」
「はい! 殿!!」
「やっちゃえ」
「はい! 殿!!!」
そんなやり取りの後、少女の持っていた剣が砕けた。
「さ、いくか」
少女と斬りつけられた元帥とやらは、見晴らしのいい露店で見世物になっていてもらおう。
勿論、ぴったりと固定されているので暫くはこのままだ。




