バット
村を出てから一時間ほど、ポチの案内で隣の村に辿り着いた。
「案外近かったな」
「主、ここは盗賊達の拠点になっているそうですぞ!」
は?
「誰だお前、この村の者じゃないな? この村を見つけて、生きて帰れると思うなよ。 おい! テメーら!」
「おい、ポチ…」
「は…はいでござる…」
「お前、後でお仕置きな」
「いやでござるううううう!!!!!!」
重要な報告が後になったのだ、当然だ。
詰めが甘かったな。
まるで分裂したポチの様にワラワラと出てくる盗賊を倒していくと
漸く頭の使える盗賊が現れた。
「おい、コイツらを取り返しに来たんだろ? コイツらを殺されたくなかったら大人しくしやがれ!」
ま、そうなるよな。
だが、俺からしたら見ず知らずの他人なわけだ。
「好きにすればいいだろう、俺はそんな奴ら知らん」
「お…お前、酷い奴だな!」
「お前等が現況でしょ。 ま、殺させはしないんだけどね」
すでに盗賊の腕はロック済みである。
「ポチ、生肉は好きか?」
「す…好きでござる…」
「よし、食っちまえ」
「嫌でござる!」
「お仕置き」
「食べるでござる!!!」
本当に食べようとしたところで、待ったをかける。
ポチに食べられる恐怖で、盗賊は気絶してしまったのだ。
随分と気の弱い盗賊だ。
「大丈夫か? 他に捕まってる人がいたら案内してくれ」
ポチに穴を掘らせ、盗賊の身体だけを埋めるように指示を出し
人質になっていた被害者に案内を促す。
大きな小屋の中には、数十人の痩せた人が詰められていた。
話を聞いていくと、まだ一人も売り出されることはなく揃っているそうだ。
「それはよかった。 これから被害者の皆さんを村に連れて行くので、外に集まってください」
麻の紐で手足を縛られていたので、一仕事終えてスッキリ顔のポチに噛み切らせる。
「まず皆さんにお聞きします。 この盗賊達に怨みのある人はいますか?」
この質問には全員が手を上げる。
「ま、予想通りってとこか。 では、どうぞやっちゃってください」
取寄せで木製のバットを数本購入すると、被害者に手渡していく。
「ああ、そうだ。 一人五発まででお願いしますね」
無論、生かしておく必要はないのだが
やられたらやり返せ、目には目を歯には歯をの精神だ。
餓死で滅亡に向かっていた村からの報復として、盗賊達は埋まったまま餓死してもらおう。
これが残酷な選択かどうかは、正直なところ俺にはわからない。
まだ殴り足らなそうな被害者を宥め、空間を繋いで村に流していく。
「村長、ただいま戻りました。 さらわれた人達は全員無事だそうですよ」
「ありがとうございますじゃ…。 本当に、何から何まで…」
あとはこの村の経過を見て、大丈夫そうなら旅に出よう。




