盗賊
倉庫に缶詰を大量に出したのだが、この村は俺の想像以上に儲かっていたらしい。
利益の出る賞味の金額を頂いたのだが、それでも資金の半分にも満たなかった。
「村長さん、まだ何か欲しいものはありますか? 資金に余裕があるようなので、欲しいものが手持ちにあればお譲りしますよ」
廃れかけた村に対して、この様な話を持っていくべきではないのだろうが…。
「それでしたら、作物の種か苗を頂けませぬか? 見ての通り畑の作物も弱弱しく、新たに植える種も苗もないのですじゃ」
んー、これは困ったな…。
今の痩せた畑で、下手な作物を育てさせるのもまずいだろうし…。
ん、待てよ?
「村長さん、畑の肥料は何を使っていますか?」
「肥料…ですか? 森から土を持ってきて混ぜていますが…」
腐葉土を使っているのか…。
しかし、それでこの現状はどういうことだろう。
「失礼ですが、この村は何かあったのですか? 腐葉土…いや、森の土を使ってこの現状は納得しかねます」
大した知識はないが、それでもここまで酷い状況にはならないはずだ。
「はあ、実はですな…」
村長さんから話を聞いたのだが、なかなかに胸糞悪い話だった。
数ヶ月前、盗賊団を名乗る男達が村を襲ったという。
若い男は皆殺され、若い女は皆さらわれてしまった。
早い話が人間狩りである。
結果として、森から土を持ってくることが出来る体力のある人間が居なくなってしまったのだ。
なんとか、日持ちのする作物を隠しておいた地下倉庫が見つからなかったため
ここまで生き延びることは出来たのだが、一週間ほど前から雨が降らず
汲み置きしていた水も、あと少しで無くなりそうだった。
この村、本気でやばいんじゃないか?
「村長、水は要りますか? すぐに飲める綺麗な水も取り扱っていますよ」
「おお、それは助かります! 川も枯れてしまったので後がなかったのですじゃ…」
まずは水からだな。
「すみません、ある程度水を配ったら少し上流の方を見てきます」
「上流を…ですか? しかし、川は干上がって…」
「まあ、気にしないでください」
十数件の家を周り、各家に水と食料を配り歩いた。
そして今、俺とポチは上流を目指して干上がった川辺を歩いている。
「主殿、この川の上流から人の匂いがするでござる」
やはり人為的なものだったか。
「よう、ここから先は通さねえぞ。 俺達のテリトリーだからな」
ポチの話を聞いていたら、そんな言葉が投げつけられた。
「そんなことは知らん。 大方、お前達が水を塞き止めているんだろう? 痛い目にあいたくなければ早くやめることだ」
「はっは。 ばっかじゃねーの! お前みたいなひょろい奴が俺に勝てるとでも? 笑わせてくれるじゃねーか!!」




