クロックローチ
キモいしグロい!!
なんなのコイツ!!!
「変換っと」
「主殿おおおおお!?」
ああ、何て恐ろしい才能なんだ…。
ぴかぴかと光に包まれていく蟲人間。
どうしたらあんな生物が生まれてしまうのか。
「主殿! ここから出してはくださらぬか!」
少し目を放した隙に、変換は終わっていたようだ。
「犬?」
「わん♪ じゃなくて! 拙者はクロックローチでござる!」
どうみてもマルチーズでござる…。
「まあ、その姿なら出してもいいか…。 で? なんで俺が主になるんだ?」
「我々クロックローチは、元々人前に姿を現したりはしないのです。 しかし我々のコロニーを見つけたあの男は、我々のコロニーを破壊して洗脳してきたのです! そして我々は、どんな命令にも逆らえずに罪のない人々を…。 屈辱でござる…」
へー、使役の才能って洗脳するんだ。
「だからこそ! 我々をお救いくださった貴方様を主と認めたのです! だから! だからどうか、我々を使役してはくださらぬか!」
「我々って、お前一匹だけじゃん」
「むむ! ならばご覧いただきましょう! これが主様から授かった我等の新たなる力!! はぁー!!!」
マルチーズはピカピカと輝きだすと、ポップコーンが爆ぜるかのように飛び散った。
「「「「どうでござるか! 主殿!」」」」
つまり先程まで話していたのは、極小のマルチーズが統合された姿だったわけか。
「まあ、いいけどさ。 お前って強いの?」
「当然でござる! 我等クロックローチは生物の中でもトップを争うほどに強いでござる! 特にこの顎は強靭で、金属だって食物になるのです!」
カチカチと歯を鳴らすが、見た目は待てを喰らったマルチーズである。
「なんかパッとしないな。 他にないの?」
「一応ありますが…、爪に毒腺があるくらいで大した事じゃないでござる…」
しょんぼりと座り込むマルチーズだが、ほっとくと勝手についてくるだろうし認めてやるか。
「まあ、いいぞ。 その代わりしっかり働けよ?」
「任せて欲しいでござる! 我等は分裂しても強さは変わらないので安心して使役して欲しいでござる!」
「へいへい、期待しないでおくさ」
「むー! 主殿ひどいでござる!!」
旅の仲間ができたのは、悪いことではないと思いたい。
「さて、どこか人の住む場所にいきたいのだが…。 お前わかるか?」
「勿論わかります! ご案内するでござる!」
自転車の籠にマルチーズを載せて、新大陸での旅がはじまった。
「ところで主殿」
「ん? なんだ?」
「名付けをして欲しいでござる! 勇ましく格好のよい名をくだされ!」
「よし、ポチだ」
「ポチ! なんと甘美な響き…。 主殿、ありがとうございます!」
「お…おう、それでいいんだな」
こうして自転車はカラカラと進んでいくのだった。




