準備
「おはようございます! 今日もいい天気ですね」
元気よく挨拶をしてくれたのは、孤児の少年である。
未だに名前は聞いていないが、それでも通じるので不便はない。
「ああ、おはよう。 今日も元気だな」
「はい! お兄さんのおかげです!」
「そうか…。 しかし、俺がいなくなったらどうするんだ?」
「それも解決しました! お兄さんが僕達に積極的に関わってくれるようになって、僕達もお手伝い程度なら問題なくこなせるということが周知できたのが大きいですね。 孤児の中には、窃盗に手を出す子も少なくはありません。 でも、僕の兄妹達はその働きを露店の主人方に認めてもらえたのです。 今までのただ貰っていただけの生活ではなく、正当な対価として負い目もなく頂けるものへと変わったのです。 僕達だけでは、どうしようもなかったことなのですが…。 本当にありがとうございました」
どこで息継ぎをしているのか不思議なくらいに長い言葉をペラペラと…。
「いいんだよ、自己満足だからさ。 俺は二日後に海を渡ろうと思う。 だから、次に会えるのはいつかわからないんだ。 すまんな」
「海って…。 人が踏み入ることが出来ない場所ですよ!? 大丈夫なんですか?」
「まあな、とっておきの魔法があるんだ。 船で行ったら魔物に食われちまうだろ?」
「ええ、資源の探索に出た船は二℃と戻って来ないと言われているくらいです」
そんなにやばいのか…。
しかし別大陸ともなれば、当然通貨も変わるはずだ。
襲ってくる魔物は、全て空間に捕獲してしまおう。
「すみません、お待たせしました」
今後のことを話していると、アローネさんがやってきた。
「こちらの準備はできてますよ、いきましょうか」
はい、と頷くアローネさんの後ろについて王宮に向かった。
前回通りの流れで、買い手側に値段を決めてもらって売りつける。
とても楽なのだが、いつまでもこのままというわけにもいかない。
いずれは慣れる時がくるのだろうか…。
「ああ、そうだ。 皆さん、俺は明日から海に向かいます。 女神様に教えてもらったんです。 海の向こうにも、こことは違う大陸があることを」
「しかし、海には魔物が…。 いや、君なら大丈夫か。 気が向いたら戻ってくるといい。 我々王族は皆、君の帰りを待っているぞ! そして、旅で見てきたことを是非教えてほしい」
「はい、待っていてください。 一度行った場所であれば、俺の魔法ですぐに戻ってくることも出来ますから。 そうしたら、また露店で会いましょう」
これは置き土産です、と伝え
幾つか購入したボールペンを手渡した。
どうせすぐ会うのに、わざわざ高いのをあげたくないもんね。




