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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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綿飴

それから、予備の服や靴などを購入していると


丁度お昼近くになったので、お昼ごはんを用意した。


お暑い日差しが照りつけてくる中、俺が選んだのは冷やし中華だ。


さっぱりした食べ物は、やはり夏に限ると思うのだ。


甘い錦糸卵が疲れを取り、胡瓜が体を冷やしてくれる。


ほんのり甘酸っぱいタレの味によっていくらでも食べられそうだ。


さくっと食べ終わり、移動を再開っと。


「今日は何を売るんですか?」


「今日は綿飴だ! 甘くてふわふわで美味しいぞ! 少年達の分も作ってやるからな!」


孤児達は、俺の店の手伝いを積極的にしてくれている。


俺が街を出るのも、そう遠くはないだろう。


だが、その後の少年達は大丈夫なのだろうか。


やはり、親しくなった人に会えなくなるのは寂しい。


「マーシャさん、どう思います?」


「また急に来たな、何かあったのかい?」


「ええ、俺が街を出た後の孤児達は大丈夫なのかと心配で…」


「なんだ、そんなことか」


「そんなことって…」


「君は気にしなくていいことだよ。 彼らは既に、私の友でもあるのだ。 一緒に働いた仲間だからな。 そんな彼らをだ、私が放置するとでも思うのかい?」


なるほど、それなら安心だ。


「ま、君のおかげなんだけどね」


どういうことだ?


「彼らを目にすることがあっても、仲良くなろうとすることはなかった。 それは、彼らが危険な存在ではないかと危惧していたからだ。 中には、露店の品物を盗んで行く孤児もいるんだよ」


ふむ


いつもの少年達以外の孤児は、まだ見たことがないからな…。


話しているうちに、ザラメが溶けて白く細い綿飴が機材の中に浮き始めた。


「おっと、巻かなくちゃ」


割り箸を割り、くるくると巻き取っていく。


ほどほどの大きさになったところで、それをマーシャさんに渡した。


よし、次は孤児達の分だ!


「どうです? 甘くて美味しいでしょう」


「ああ、これは美味しいな。 ただ、少しべとべとするけどね」


それは仕方がない!


だって、砂糖だし!!


孤児達にも綿飴が行き渡り、お店を開店させる。


「お待たせしました、前へどうぞ」


お客さんの列を捌いていくのだが、手が疲れる!!


お客さんが沢山いるので、その分だけ作らなければいけない。


巻き取る作業は楽しいのだが、作っても作っても終わりが見えないのは辛い。


次に綿飴を販売するときは、何かと一緒に売ることにしよう。


お客さんに作らせる形で…。


「そういえば、あれから貴族の人が騒ぐことってないですね。 いいことではありますが、ルカリスの様な貴族って多いんですか?」


「あー、少ない…とは言えないかな。 しかし、私が横で商売しているのだから心配は要らないぞ。 紛いなりにも貴族だからな、私の顔を知っている者も多いのだ」


それもそうか。


今日も穏やかに一日が過ぎて行く。


この世界に来て、社会の忙しなさから脱却できた。


案外、仲良くなった人達と


ゆっくりと過ぎていくこの時が、一番の幸せなのではないのだろうか。


さあ、今日も閉店だ。


「宿に帰りましょうか」

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