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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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蜂蜜

昨夜は楽しかった。


楽しかったのだが、思いの外食材が多く余ってしまった。


まあ、いずれ使う機会もあるだろう。


それよりもだ、先日の貴族の奥様方への恐怖が残ってしまっていることが問題だ。


今日の販売する予定の物は、蜂蜜だ!


勿論、ただの蜂蜜ではない。


蜂蜜に果物を漬けて作ったシロップだ。


陳列予定の物はこちら


リンゴシロップ・バナナシロップ・イチゴシロップの三つだ。


こちらの世界でも、蜂蜜はかけたり溶かしたりして使うものと聞いたので


それならば、一手間加えられた蜂蜜ならばどうかと思ったのだ。


先日の販売のせいか、今日も屋台を追いかけてくる執事さん。


なにやら鳥を使い、どこかに連絡をしているようなので


少し楽をさせてあげようと思う。


「今日は在庫が沢山あるので、使用人の方へも販売しますよ。 どうぞ、お並びください」


すぐに並ばれた。


「こちらの蜂蜜は、少々手を加えてあります。 紅茶に溶かしたり、パンケーキにかけても美味しいですよ」


と、ここで


俺の宣伝に対して質問が飛んできた。


「失礼、パンケーキとはどのような物でしょうか…」


おうふ…。


「ケーキの一種だと思ってください。 ふんわりと焼いたスポンジのような…うーん、説明が難しいな。 一度食べてもらえばわかります。 しかし、こちらは非売品なのでお売りできません」


手がいっぱいあれば売れるんだけどね…。


それからというもの、質問の嵐が俺にぶつけられるようになった。


どうすればふんわり焼けるのか、ケーキとは何かの二つが主に飛んできた質問だ。


これは売れるかもしれないぞ。


「ってことがあったんですよ。 マーシャさんはケーキを食べたことはありますか?」


「いや、聞いたことがないな。 少年の話を聞く限りだと、砂糖とやらを使うようだが…。 そもそも、砂糖というものを聞いたことがないのだよ」


ケーキどころか材料の問題でしたか…。


「よければ食べてみますか? ショートケーキという定番の物なんですが…」


「たべるよ!」


即答だった。


いや、うん…しってたけども。


「食べ終わったら感想くださいね」


「まかせてよ!」


お客さんの視線が、マーシャさんのショートケーキに集中するが


俺は何も見ていない!!


「お次のお客様、こちらへどうぞ!」


「君、あの食べ物…」


「ご注文をどうぞ!!」


「いや、あの食べも…」


「ご注文をどうぞ!!!」


「あ、ああ…。 それでは…」


ふう、危なかった。


次からは、しっかり営業が終わってからにしよう。


へたに売ってしまうと、私も私もと迫られるのが目に見えているのだ。


少々気が緩んでいたとはいえ、迂闊だった。

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