ウワナー
いくつか解ったことがある、まずはこの都市の名前だ。
巨大な大陸の東部にある、この都市の名前はウワナー。
川を中心に栄えているとのことだ。
酪農が盛んで、大陸の半分以上の食料は
ここ、ウワナーで生産されている。
ちなみに、外海での塩作りはされておらず
ここでは岩塩から塩を補充している。
そして、通貨だ。
こちらでは、たった三つの硬貨が通貨となっている。
銅貨
銀貨 = 銅貨20枚
金貨 = 銀貨20枚
以上が目安となる平均的な交換レートだが、都市によっては税が入るため
少し割高になることもあるそうだ。
そして、異世界といえば不思議エネルギーの魔法
こちらも存在はするらしい。
しかし、魔法の才を生まれ持つ者は少なく
都市にあるいくつかの町に、平均で一人いるかいないかというのが現実なのだとか。
その才の有無を確認するためには、神殿でおひねりを投げるのが条件だ。
募金でもお布施でもない。
おひねりである。
白い紙で硬貨を包んで捻ったアレである。
なんでも神父の下に、女神様から信託がくだったのだとか。
その神父は、凄くインチキくさいが
自分に魔法の才があるかもしれないと、少しだけ期待してしまう。
本には、おひねりの折り方もしっかりと記載されていたため
この小屋の管理をしているハリスさんに、包み紙がどこで取り扱われているのか聞いてみた。
「ハリスさん、この紙ってどこで手に入りますか?」
「おや? 洗礼をお受けになるのですね!」
「ええ、女神様にお聞きしたいこともあるので運がよければ聞いてみようかと思いまして」
本当に運がよければ会えるというのだから、もしも会えるのなら聞いておきたい。
元の世界へは戻れるのかどうかを。
あまり期待しているわけではないが、この世界での身の振り方も考えなければいけないため
できるだけ、この話は終わらせておきたい。
「よかった、今日は開いてました! あちらの雑貨屋さんで購入できますよ!」
ハリスさんが、雑貨屋さんが開いてることを確認して戻ってきた。
「わざわざありがとうございます。 それでは行ってきますね。 また機会があったらお会いしましょう!」
ハリスさんと挨拶を交わし、足早に家から出る。
雑貨屋さんは、目と鼻の先
それこそ、ハリスさんの管理小屋のお隣さんだった。
既に戸は開いていて、中には怪しい液体がいくつか見えている。
「すみません、こちらで買い取りはしていますか?」
売るものは決まっている。
というよりもひとつしかない。
煙草がなくなって、不要になったライターだ。