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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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屋台

困ったな、なかなか上手くいかない。


現在、森の中で理想の屋台を作るために奮闘しているのだが


これがなかなか難しい。


DIYなどやったこともないし、建築の技術だって持ち合わせてはいない。


そこで思いついた。


木材と木材をくっつけて


接触している面を両方の木材の半分ほどまで魔法で切り取る。


そこに、切り取った木材をくっつけた物と同じ大きさにした木材をはめ込む。


そうすれば、苦もなく組み立てることができる。


しかし、耐久度には難がありそうなので


その点だけは、今後の課題ということにしよう。


まだ提供する料理を考えていないので、屋台はおでんやさんを見本にして作られている。


内部までは知らないが、カウンターに椅子付だ。


車輪がないので、改良の余地は十二分にあるのだが


それは、お金が貯まってからということで。


旅の準備でだいぶ使ったので、現在の所持金は銀貨が17枚だ。


よし、やってみるか。


取寄せを使うと、様々な項目が出てきた。


食品や武器・防具等といった物にカテゴライズされているのだ。


それだけでなく、親切に内部での検索機能付だ。


最初に買ったものは、屋台の見た目に合わせたもの。


つまり、業務用のおでん鍋!


銀貨にして4枚だったが、安いのか高いのかわからない。


購入したての、ピカピカのおでん鍋を屋台にセットした。


次は火だ。


電気は通っていないので、ガスで対処するしかない。


ここで有効なのは、カセットコンロだ。


一つ、銀貨一枚のカセットコンロを三つ購入。


もちろん、専用のガスボンベ付の物だ。


それらを、はめ込んだおでん鍋のしたにできた空間に置いていく。


これで、屋台としてはひとまず完成だ。


続いて、だいこん・はんぺん・湯でたまご・こんにゃく・牛筋を購入し


おでんの出汁で満たしたおでん鍋にいれた。


クツクツと音を立て、徐々に沸騰していくのを観察していくと


熱されて強烈になったおでんの香りにつられてしまう。


一時間ほど鍋を温めて火を消すと、具の方も良い感じに温まっていた。


さて、試食だ!


おたまと穴あきのおたまを購入し、同じく購入した深めの紙皿にのせていく。


あー、染みる。


一月にも満たないのに、とても懐かしい気分だ。


急に転移したり、もう帰れないって言われたり…本当に色々あったなあ。


これからも、これまで以上の面倒ごとが待っているかもしれない。


だけど、まだまだがんばれるさ。


「ご馳走…さまでした」


森の空気で冷えた体に染みたおでん。


左目から流れる涙を拭かず、俺は呟いた。



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