取寄せ
「落ち着いたかい?」
暫くの沈黙の後、女神様の声が響いた。
「ああ、ありがとう。 こっちで頑張って生きて見るよ」
「そっか、生きようとしてくれるだけで嬉しいよ」
ピークを食べている時よりも、もっともっと綺麗に笑顔を作る女神様に声が出なかった。
「それじゃ、ご褒美でもあげようかな」
「ご褒美?」
何だろう?
「あげる、といっても君が元から持っている物なんだけどね」
「どういうこと?」
「ふふ、いい感じに砕けてきたね。 あげる物はね、才能だよ」
才放の儀式はしっかり受けた筈だが…。
「気になるかい? 私も手を抜いていたわけではないよ。 この世界にはね、街を救うような偉業をとげた者には世界から祝福があるんだ。 君は魔物を倒してくれたでしょ?」
「確かに…。 正確には、まだ捕獲してるけそな。 で、祝福って?」
「そう、新しく才能を貰えるんだよ! 君にとっては喉から手が出るほど欲しい物だと思うよ。 お米、食べたいでしょ?」
「それって…。 まさか!? 白米が食べられるのか!?」
高寸気味に、ぐいっと女神様に近寄る。
「ちょっと! 近い…、近いってば!」
「あ、ごめん」
落ち着いてから儀式をし、新しい才能を貰った。
「君の二つ目の才能はね、取寄せっていうんだ」
「取寄せ? それで白米が食べられるんだな? 取寄せってことは調味料も?」
一度に聞きすぎたかと思ったが、問題ないようですぐに答えてくれた。
「当然! だけど、お金と交換だから注意してね。 いっそのこと、行商でもしてみたらどうだい?」
行商か。
「あちらの世界は時間に追われる忙しない世界だったからな。 旅のついでに行商もいいかもしれないな」
うんうんと頷く女神様に、俺の今後の方針も決まった。
「この世界は広いよ。 この大陸だけじゃない、海の向こうにだって国はあるんだ。 色々まわって見てごらん」
ちょっとまて!!
「海の向こうに国があるって? この大陸の外は海しかないんじゃ…」
「そうだね。 この大陸ではそういうことになってる。 まだ未発見なのさ、こういうの好きでしょ?」
ああ、大好きだ!
「食べ物の移動販売をしながらの旅なんかよさそうだ。 そのためには屋台も作らないとな!」
「そうそう! その意気だ! さあ、そろそろ行きなさい。 僕もちょっと調べものがあるからね!」
「ああ! 本当にありがとう! それと、気になってたんだけどさ…」
そして、俺は去り際にこう言った。
女神様、一人称が僕と私で混ざってるよ…。




