光る魚
「お二人はどうしてこんな所へ? 中央大陸の騎士ってことは何か用事があって来たのでしょう?」
ここはまだ東大陸だ、中央大陸の騎士が用事も無くうろつく事など考えられない。
先程の戦闘をみているので、盗賊の退治ということも考えられるが
下手に喋って襤褸を出すなんてことになったら目も当てられない。
「ええ、実は…」
盗賊に襲われたのは偶然だったようだ。
ここに来た目的は、狼の討伐だった。
俺が倒した十二頭だけでなく、もっと沢山いるそうで
先発として応援にでたのがこの二人だそうだ。
ふむふむ、と納得していると
今度は、アローネさんから質問をしてきた。
「一つ、どうしても聞いておきたい事があるのですが…」
なんだろう?
「ええ、答えられる質問ならば答えますよ」
さあ、こい!
「では…。 コイツはこれでも、そこそこの腕の騎士です。 貴方は彼に襲われたと仰りましたが、どうやって彼の剣を凌いだのでしょうか。 お互いが無傷ということは何かあるのでしょう?」
そっちか、有耶無耶にできたと思ったけどダメそうだ。
「教えてもいいです。 ですが、他言無用でお願いしますね。 あまり手の内を晒したくないので」
晒したところで、どうこう出来る魔法ではないと思うが
それでも、用心のために出来る事はしておきたい。
「わかった、約束しよう。 お前もいいな、黙っていられないと思うなら下がっていろ」
スンリはアローネさんの後ろに下がった。
「説明するより、見てもらいましょう」
収納空間から狼の頭をひとつ出し、アローネさんに見せた。
「これは、いったいどうなって…」
「魔法ですよ。 見えない倉庫を常に持ち歩いていると思ってください。 それと、ここをノックしてみてください」
コンコンと、固定化した空間を叩かせた。
「なるほど、この不思議な力で防いだと」
「ええ。 勿論、攻撃にだってまわることができます。 この狼の首を見てください」
「綺麗な切り口ですね」
「そうでしょう、狼の胴と頭を違う空間で切り取ったのですから」
あ、あれがいたか。
「丁度いいです、実演してみましょうか」
考え込んでいるアローネさんにそう言うと、夜中に捕獲した光る魚の頭だけど空間から出した。
「動物の素材はわかるのですが、魚は首を落としても大丈夫ですかね?」
「なんてものを出しているんだ! この化け物は、この化け物は!!!」
え、魚じゃないの…。
「す、すみません」
光る魚を収納すると、ようやく落ち着いたアローネさんが話してくれた。
「あの光る魚は、魚であって魚じゃない。 所謂、魔物というやつだ。 稀に海から上ってくることがあるらしいが、その際の街への被害は毎回酷いことになる。 そして散々暴れたら海に帰っていくんだ」
マジかよ。




