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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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弓錐式火起こし器

謎の光る巨大魚を収納し、ついでに川の水も大量に収納しておいた。


中央へ向かう途中に、村か街でもあればいいのだが。





はあ、遠いなあ。


いくら自転車で移動が楽だからといっても、体力を使う以上は疲れるのだ。


この川を渡ると、その先に森がある。


東大陸のウワナーが管理する森ではなく、中央大陸の都市スィールが管理する森だ。


東大陸と、中央大陸では環境が違うため別の生物が多く生息しているという。


少し楽しみではあるが、ここで先程のおっさんのように


俺に対して、無理に何かを強いるようならば


中央大陸も離れようと思う。


最終目標は南大陸だ。


南大陸には都市がなく、そこは魔獣と呼ばれる生物の生息地となっている。


危険な魔獣が多いせいか、立ち入る者は多くない。


しかし魔獣の肉は美味であり、毛皮も丈夫で人気がある。


一攫千金を夢見て、そこに骨を埋めた者も少なくは無い。


今までの街には居なかったが、この世界には貴族や国王なんて身分も存在する。


しかし、そのほとんどが中央大陸に住んでいるので会う機会はそうそう無いと信じたい。


さて、今日はこの川辺で野営だな。


肉を食べたいけど捌けないし、森で採ってきたキノコを食べるのも怖いので


本日の食事は干し肉と水、それにピークだ。


空間を固定した器に水を出し、そこに干し肉を入れて柔らかくする。


即席で作った弓錐式の火起こし器は上手く機能しなかったが


原理は覚えているので、朝まで試行錯誤してようやく使えるものができた。


せっかく作ったので、火を起こし


いい具合に火が大きくなったところで石を投げ入れた。


しばらく待ち、火に砂をかけて消し


火が消えたのを確認してから石に水をかけて洗う。


かけた水が蒸発するのを確認してから、石の上にふやかした干し肉を置いた。


ジュウジュウと音を立て、色が変わっていく肉がおいしそうだ。


焦げないように、木の枝で返して両面を焼く。


ああ、ようやくだ。


ようやく、この世界にきて文明的な食事をした気がする。


肉汁はあまり出なかったが、それでも柔らかくておいしい。


干し肉をふやかすのに使った水は、別の空間へ保存した。


動物を解体する技術も、どこかで身につけないとな。


生きること自体がサバイバルのような世界なのだから、自分でやれることはやっていかないと。


結局、休憩は取れなかったが


後々の生活が楽になる行動だと自分に言い聞かせ、その場を後にした。


キイン カアン 


と、金属がぶつかり合う音が聞こえる。


面倒事の匂いがするが、気になるので木の陰からこっそり観察を始めた。

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