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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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森の中

行くのは勿論、街の外だ。


狼の討伐をしようと思ったのだが、ここで問題が出てくる。


開けた場所ならば見通しもよく、簡単に魔法で仕留められるが


問題となる狼は、森の中なのだ。


不意をつかれたら、俺の貧弱な身体ではすぐにやられてしまうだろう。


何か無いだろうか。


身の安全を確保し、尚且つ相手を無防備にする方法…


「あっ」


難しいことは無かった。


自分の移動時間だけを早めれば、それだけで十分じゃないか。


移動時間が早まれば、自然と敵の動きは鈍くなる。


敵が視認してから攻撃するまでの間に、こちらは倒すことができるのだ。


心配事が無いわけじゃない。


時間が止まるわけではなく、自分の時間を進めるということは


それだけ、自分の寿命に近付いていくということなのだ。


それがこちらの世界でどうなっているかなど、知る術は一つしかない。


女神様に聞くこと、ただそれだけだ。


いつか聞こう。


そう思ったのだが、ここで別の考えが出てきた。


自分以外の時間を止めてしまうこと。


これが禁忌に触れなければ使えるはずだし、これができれば敵は俺の餌になる。


「む、さすがに無理か」


無理だった、風は尚も頬を撫で続けている。


無理なら無理で仕方が無いのだ、切れる手札でやりきるしかない。


もう一つの案で、自分にデメリットが無い方法。


収納空間の入り口を、俺の周囲に大きく展開して進む。


物理的な攻撃ならば、まず間違いなく当たることは無いだろう。


森の中を歩き進めるが、辺りは真っ暗だ。


探索は楽しいが、真っ暗な森の中は怖いのだ。


キノコのような物が見えたら収納し、木の実のような物が見えたら収納し


動物が見えたら収納し、手当たり次第に収納していく。


時空間魔法に相手との距離は関係ないのだ、俺が認識したら相手が終わる時。


リスクもなく、相手を屠る能力があるのは大変助かるのだが


それはフェアではないよな、などとも思ってしまう。


相手も必死に生きている命だ、それなりの礼儀をとるべきだと考えてしまうのだ。


この世界で生きていれば、そんな罪悪感もいずれは消えてしまう。


毎日が命のやり取りで回る世界なのだから当然のことだ。


だから、俺みたいに真夜中の森で考え事をしながらフラついていれば


ほら、きたぞ。


狼が襲ってくるが、自ら収納空間へと突っ込んでいく。


勢いのまま丸ごと入っていく個体がいれば、尻尾だけ出ている個体もいる。


彼等はみんな生きている。


時間が止まっているだけで、空間から出せばピンピンしているのだ。


結構な数を捕獲したし、そろそろ街に戻ろうか。


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