金平糖
さて、どうしたものか。
「なあポチ、どこか行きたい場所はあるか?」
伯爵領も結構な広さではあるが、正直に言えば少しがっかりしていた。
先ほどの街を見てしまったのだ。
いくら広大な領地を有していても、これだけ過酷な状況にある街を放置している時点で
俺の伯爵に対する関心は無くなってしまっていた。
「とりあえず拠点で次に向かう場所を考えようか」
ポチが考え込んでいたので拠点へ向かうことにした。
畑の世話をしながら考え、次はスィールに向かうことにした。
懐かしいな。
孤児たちは元気にやっているだろうか。
露店での商売も随分と儲かり、軍資金も十分にある。
今回はスィールでのんびりすることにしよう。
「よし、いくか!」
「御意!」
瞬間移動でさくっと移動し、中央の町へ到着だ。
あまり離れていなかったが随分と懐かしい気分だ。
「そう言えばポチは初めて来たんだよな。しばらく宿を取ってだらけようぜ」
ポチが尻尾を振り喜んでいる。
宿は以前と同じ所が空室だったので、同じ宿をとった。
宿をとった後は露店巡りをしながら時間をつぶす。
何人か知った顔に会い、挨拶をしてまわる事になったが
それもまた良いものだ。
「おや?貴方は…」
ふらふらと買い食いを楽しんでいると声をかけられた。
「ん?ああ!アローネさんじゃないですか!お久しぶりです」
「ええ、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「はい。ちょっと行商で他へ行っていたもので…。十分に稼いだので今度は観光に来ました」
「そういうことでしたか。王様も気にしていらっしゃいました。私から報告しておきましょう」
「王様が?」
何回も会ってるから心配してくれているのだろうか。
「ふむ…。アローネさん今から城へ戻りますか?」
「…?ええ、定時の巡回が終わったところなので今から戻るところです」
それならば丁度いい。
「でしたらこれを渡してもらえませんか?旅先でみつけた甘い食べ物です」
そう言って渡したのは金平糖がたっぷりと詰まった大きな瓶だ。
勿論、買ったのは取り寄せからだが
旅先で取り寄せから買ったから嘘は言っていない。
「これが食べ物…。まるで宝石みたいですね」
「綺麗ですよね、口の中で転がして食べると美味しいですよ」
俺は噛み砕くけどね。
「それじゃ、そろそろ散策に戻ります。暫くの間はフラフラしてるので、用があったらこの宿に来てください」
「ここですね、わかりました!」
簡易的に書いた地図を開き場所を教えて別れることとなった。




