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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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笑顔

「ただいまから販売を開始します! 入場後は、鍋の横にいる担当者の指示に従ってください」


料金を受け取り、パック寿司・牛ロース・瓶ビールを渡す。


子供にはリンゴジュースとコーラで、どちらかを選んでもらう。


パック寿司も、最初はかなり抵抗があったようで


俺に、「これは焼かないのか?」 と聞いてくるほどだった。


渡した物と同じ物を取り出し、俺が先に食べて見せると


集っていた人達も恐る恐る手をつけた。


一度食べてしまえば抵抗など無いようで、浸透するのはとても早かった。


映画も半ばのところで、冒険者ギルドの従業員の方達が見えた。


「いらっしゃいませ。 今日はゆっくり食べて行ってくださいね」


「はい、沢山食べます! これはどうやって食べればいいのですか?」


と、フィーラさんが質問してきたので


「これはそのままですね。 中の醤油やわさびを使うと美味しいですよ。 お肉の方は、あちらの方に聞いて食べてください」


一人一人に挨拶し、品物を手渡した後は数人ほどで入場の列は終わった。


人が途切れたのでキッチンカーを出して、〆用のうどんをどんどん茹でた。


茹で上がったうどんは氷水でしめてから、水をきって器に盛っていく。


「それはなんですか?」


「あ、フィーラさん。 楽しんでますか?」


「はい! とっても美味しいです!」


「あはは、それはよかった。 まだ食べられそうですか?」


「ええ、勿論です! お肉もですが、お野菜もとっても美味しくて…。 太らないか心配なくらいです」


「フィーラさんの体系ならまだまだ大丈夫ですよ。 映画が終わってからも追加の食べ物を出しますので、少し空けておいてくださいね」


「本当ですか!? それは皆に言わないと! 行ってきます!!」


酔っていたのか、フィーラさんはハイテンションで突撃して行った。


そして、映画も終わりに近付いた頃に男爵様達がやってきた。


「おお、店主よ。 今日も賑やかだな、いいことだ」


「男爵様、こんばんは。 どうぞこちらへ」


入場の制限も終わる頃だったのでゲートを片付けて、空いている鍋へと案内する。


「さ、食べてください。 まだまだありますから」


「うむ、頂こう」


そうこうしている内に映画も終わり


柵を撤去してから各鍋の横へ立ち寄り、ボウルに入ったうどんを追加と言って置いてまわった。


ふぅ、と汗をぬぐい


人で賑わう広場を見渡すと、そこは笑顔で溢れていた。


この街に着て、提供した物はそこそこあったが


やはり、異世界でもご馳走はご馳走なのだ。


明日はついに次の街へと向かう日だ。


しばしのお別れだが、なんだか寂しく感じてしまうのは


この街が本当に優しい街だったからだろう。


「ポチ、また来ような」


「はい! この街は大好きでござる!」


酒盛りの場をするりと抜けて、一人と一匹は宿へと帰った。


そして朝を迎えた俺達は、この街を出て行った。

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