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彼の夢は未だ覚めず  作者: すらいむれべるいち
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大勢

夕方の営業までにはまだ時間がある。


最後になるのだから、お世話になった人達に挨拶でもしていこうか。


と言っても、お世話になった人の殆どは冒険者ギルドに居るので


目的地は冒険者ギルドになるわけのだが。


扉を潜ると、ランドさんと目が合った。


この人はいつも見かけるけど、仕事はしっかりしているのだろうか?


「おう、兄ちゃんじゃないか! 店はいいのか?」


「いえ、今日は夜だけですね。 明日の朝に別の街に発ちますので、その挨拶回りをしているところなんです」


「「「えええええええ!?!?!?」」」


聞かれたので答えたら、思ったよりも大勢に聞かれていた様で驚かれてしまった。


「そうか、兄ちゃんも商人だしな。 次に行く街は決まっているのか?」


「はい、男爵様にお勧めを聞いたのでそちらを訪問しようかと思います。 行き先は…内緒です」


行き先を言おうとしたところで、ギルド内が静かになっていたので伏せることにした。


「内緒なら仕方がないな! お前らも残念だったな」


ランドさんが振り向いた先では、大勢の冒険者がこちらを見ていた。


「皆さんどうしたんです?」


「なんてことはないさ。 兄ちゃんの行く場所に着いていこうとしてたんだよ」


「なんでまた…」


「単純に美味い物が食べられなくなるからだな。 いや、助かったぜ。 兄ちゃんが行き先を言っていたら人手不足でこのギルドがパンクしちまうところだったぜ」


「そんな大げさな」


「大げさでもないんだがな…」


「そうですよ! せめてもう少し早く聞いていれば…」


いつの間にかフィーラさんが横に来ていた。


「フィーラさん、こんにちは。 お聞きの通り、明日の朝に発ちますのでご挨拶にお伺いしました」


「本当に行ってしまわれるのですか?」


「ええ、まあ。 昨日、少しばかり面倒な相手に絡まれてしまいましてね。 同じ所に居続けると、また同じ様なことにならないとも限らないので…」


もちろん、どこへ行くとしてもリスクは同じなのだが。


「あれか。 俺もみていたが、あれが本当であれば面倒だよな」


「男爵様に確認をとってもらったので間違いはないかと思います」


「そうか、それなら引き留められねえな」


「別に二度と来ないわけではないので、その内にまた会えますよ」


「なら、その前に卓さん稼いでおかないとな! おめーら! 暫くサボった分働くぞ!」


ランドがギルド員を引き連れて扉を開けたところで待ったをかける。


「ああ、ちょっと待ってください。 皆さん、今日も夕飯は広場で食べますか? 今日は少し豪勢にいこうかと思うんですけど…」


「そういうことか、冒険者は俺が連れて行くから大丈夫だ」


「有難う御座います。 それなら後は…」


と、フィーラさんへと振り返った。


「夕方の営業時間は冒険者さん達は来ないそうですよ? ギルドの皆さんは勿論来てくれますよね?」


少し強引ではあるが、違う形で働く者同士の触れ合いも必要なのだ。


ご飯は大勢で食べる方が美味しいしね。




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