~花束~
僕の個人的な感傷を小説にしました。
-僕は 何度でも
君との時を紡いでいく
あぁ それでもきっと僕達
すれ違うこともあるんだろうな-
普段はかけ流しにしている音楽を、無意識に噛み締めながら聞いていたことに気づいた。
ふと、窓の外に目をやる。先程までは小さな窓枠の中にびっしりとビルが立ち並んでいたが、それが少しずつ少なくなり、代わりに緑の占める割合が大きくなっていた。その変化で、幸せだった時間から日常に戻りつつあることをあらためて悟る。
彼女との距離が遠くなっていく。
茨城の田舎に住む僕と、福岡で生活する彼女。
いつか東京で会いましょう、と、二人で誓ったその日が、過去のものになっていく。
気まぐれな運命のおかげで出会えた僕達二人。もしかするとそれは、これから僕達が直面するであろう数々の困難の前触れだったのかもしれない。
それでも彼女は、この一緒に過ごした二日間でこの上ないくらいの幸せを提供してくれた。会えなかった時間を埋めてなお有り余るくらいの充実を僕に与えてくれた。
僕は先のことなどわからないから、軽々しくずっと愛し続けるよ、などと言うことはできない。待ち受けるかもしれない困難に対して、楽観的になることもできない。
でもか彼女は、二人でいれば幸せなんだということを、僕にしっかりと教えてくれた。それに僕は、今はその事実だけあれば十分だと思ってる。
-これから二人が
どうなるかなんてわからないから
ただひとつ、わかる事実を君に贈ろう
君が好きだ-
流れている歌詞が、心にそっと染みこんでいく。
その心地よさに微笑みながら、僕はそっと目を閉じた。