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完璧な遺言  作者: 虎兎
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完璧な遺言

独身を貫き、莫大な資産を築いたM氏は、死を前にして悩んでいた。彼には親族がおらず、かといって国に財産を没収されるのも癪だった。

「誰も見たことがないような、最高に有意義な金の使い道はないか」

彼は最新のAIに相談した。AIは数秒で「最も効率的で、人類に幸福をもたらす方法」を提案した。M氏はその案を気に入り、全財産を投じて特注の「全自動幸福散布ドローン」を数千台開発させ、自らの死後に起動するよう設定した。

数ヶ月後、M氏はこの世を去った。それと同時に、遺言通りドローンが一斉に街へ飛び出した。

ドローンの機能はシンプルだ。街ゆく人々の中から「今、最も不幸を感じている者」をセンサーで特定し、その頭上から現金を、あるいはその人が今一番欲しているものをピンポイントで投下するのだ。

街は歓喜に包まれた。泣いていた子供には最新の玩具が、空腹の男には温かい食事が空から降ってくる。まさに現代の奇跡だった。

しかし、一週間もすると奇妙な現象が起きた。人々は、より豪華な「お恵み」を空から引き出すために、競い合って「不幸なフリ」を始めたのだ。

豪華な服を脱ぎ捨ててボロをまとい、顔に泥を塗り、鏡の前でいかに自分が惨めかを練習する人々。街は、世界で最も裕福な「ホームレスだらけの街」へと変貌した。

皮肉なことに、誰よりも幸せを享受しているはずの彼らの顔から、本当の笑顔は消えていた。

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