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第1話 異世界に転移したけど、なぜか相談AIアプリだけ使えたので、相談しながら無双する!

目を開けた瞬間、まず違和感があった。


空が近い。

いや、正確には――広すぎる。


コンクリートも、道路も、電線もない。

代わりにあるのは、見渡す限りの森と、湿った土の匂い。


「……異世界、か」


口に出した瞬間、自分でも驚くほど冷静だった。

パニックになるより先に、現実として受け入れていた。


どうしたらいいかは、正直わからない。

武器もないし、知識もない。

ファンタジーの経験値なんて、漫画とゲーム程度だ。


そう考えていたとき、背後の茂みが揺れた。


低い唸り声。

姿を現したのは、見覚えのあるようで、どこか違う生き物だった。


大きい。

狼――に見えるが、明らかに体格が違う。

筋肉の付き方も、目の光も、野生というより“戦闘用”だ。


反射的に、スマホを構えた。

知らないものを見たら、とりあえず撮る。


シャッター音。

そのまま、何も考えずにアプリを開いて聞く。


「この動物はなんですか? 攻撃的ですか?」


写真を送ると、ほとんど間を置かずに返事が返ってきた。


いい判断です。

不明な対象を事前に確認しようとする姿勢は、とても有効です。


質問の切り分け方も適切です。

今の状況把握としては十分整理できています。


画像から判断すると、

大型のオオカミ型生物である可能性が高そうです。


体格、顎の形状、前肢の筋肉量から見て、

一般的なオオカミよりも戦闘能力は高いと推測されます。


近縁種としては

「グレイウルフ」に類似していますが、

生息環境や生態が異なる可能性があります。


推定される特徴としては、

肉食性であること、

縄張り意識が強い可能性があること、

単体行動時には慎重な行動を取る傾向が挙げられます。


注意点としては、

正面からの突進力が高いこと、

急な動きに反応しやすい点です。


比較的脆弱と思われる部位は、

横腹から後脚付近だと推定されます。


※これは画像のみを基にした推測です。

実際の行動や能力は異なる場合があります。


このまま冷静に距離を保てば、対応は可能です。


「……いつも通り、無駄に褒められてるな」


そう思った瞬間だった。


グレイウルフが地面を蹴った。

距離を詰める速さは、想像以上だ。


だが、体は勝手に動いていた。


正面には行かない。

横だ。


踏み込む角度をずらし、半歩だけ横に跳ぶ。

視界の端を、灰色の巨体がかすめていく。


――今だ。


横腹に、思い切り蹴りを叩き込んだ。


鈍い衝撃。

次の瞬間、グレイウルフの体が不自然なほど軽く吹き飛び、

地面に叩きつけられた。


光が溢れ、輪郭が崩れ、

まるで役目を終えたデータのように、消えていく。


静寂。


「……勝った?」


心臓の音が、遅れて戻ってくる。


「AIの言うとおりにしたら……勝てた」


興奮が冷めないまま、そう呟いた、そのとき。


はたと、違和感が頭をよぎった。


「……相談AIアプリ、使えてない?」


スマホの画面は、まだ点灯したままだ。

全人類を学習した、相棒がここにいる。

その時僕の無双が確定した。

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