表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

シン デレラ

作者: Aju

 その瞳を見てはいけない。


 その声を聞いてはならない。



「あの‥‥」

 伏目がちな瞳がわずかに涙をためてふっと上げられた時、辺境伯サーリャニコフは目を合わせてしまった。


 きゅん♡


 多くの貴族たちを破滅させてきたというその「かわいい」の魅力に、サーリャニコフもまた心臓を鷲掴みにされてしまった。


 夜のように黒い、潤んだ瞳。

 夜のように黒い、腰まであるさらっさらのストレートヘアー。

 陶器の人形のような肌。

 何かを訴えるように、少しだけ綻んだ唇。


「何か御用ですか、お嬢さま?」

 すでに蟻地獄のような罠にはまったサーリャニコフ。


「お城の‥‥舞踏会に、行きたかったのですが‥‥。わたしにはドレスも馬車もなく‥‥」

 質素な使用人のような服に、裸足。

「こんなわたしでは、入れてももらえませんよね。」

 諦めたような哀しげな笑顔を見せる。


 きゅん♡ きゅん♡


「なんの! 諦めるようなことはありませんよ。お嬢さまのような美しい方が舞踏会に出られなければ、そんな舞踏会は花の入れてない花瓶のようなものではありませんか。さあ、この馬車とそのカボチャを取り替えっこしましょう!」


「いいんですか?」

 少女は喜びと遠慮の入り混じったような儚げな笑顔で、辺境伯を見つめる。


 きゅん♡ きゅん♡


「そうだ! ドレスも準備しなければ。」

 サーリャニコフは御者に命じて、屋敷の中にドレス一式を取りに行かせた。


 ドレスに着替えた少女は、輝くような貴婦人へと変身した。


「おお! なんと美しい!」

 サーリャニコフは少女の前に跪いて、片手を差し出した。

「さあ。私と一緒に舞踏会に参りましょう。」


 少女は、はにかんだように頬を染めた。

「あ‥‥でも、わたし‥‥殿方の隣に座るのは初めてで‥‥」


 きゅん♡ きゅん♡


「あははは! そんなことでしたら、私が御者を務めましょう! あなたはお1人で乗っていれば、不肖私めがお城まで連れて行って差し上げますともっ!」


 お城に着くと、少女は1人で歩き出した。

 彼女がにっこり微笑むと、衛兵の全てが魂を奪われたようになってしまった。

 少女がお城の階段に足をかけた頃、サーリャニコフは御者台で我に返った。


 あれは‥‥。

 噂の魔性‥‥。いや、怪獣とさえ呼ばれた‥‥‥

 遠いニホンの漁師たちは、それを「デレラ」と呼んでいたとか。

 ↑(なんで漁師?)


 少女は階段を上がって行く。


 ダンダンダン ダンダンダン ダンダンダッダッダンダンダン ♪


 ガラスの靴はダイヤモンドのように輝き

 背中からドレスの裾にかけて青白い光が走ったように見えた。


 光は金色の粉となり、それを浴びた周りの男たちが魅せられたようにその後についてゆく。


 ダンダンダン ダンダンダン ダンダンダッダッダンダンダン ♪


 いけない!


 彼女を王子に会わせてはいけない!


 サーリャニコフは追いかけようとしたが、足に力が入らない。

 衛兵に伝えようと口を開いたが、出てきたのは言葉にはなっていない叫びだけだった。


「ギャオオオオオオオオオオォォォォォォーンス!」





        m(_ _)m




これ、著作権ダイジョーブかな? (・・;)

運営さん。ダメだったら、言ってください。(削除しますから)m(_ _;)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
気付くまで時間かかった! なのにBGMは当たってた!!
そうだったのか!(๑•̀ㅂ•́)و✧
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ