第4話 三度目の死
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『アクマ は タオれて しまった。
シイン は サンケツ に よる チッソクシ。
シーワード を エラんで フッカツ しよう!』
『テイカ・サイミン・イブキ』
…はぁ?
なんで…またここに来たんだ?
(また来ちゃった。
ここってアクマさんが言ってたゲームの世界?)
困惑している俺とカナちゃんの声を消すかのようにリズムがずれた音楽が暗闇の中で響く。
カナちゃん!
聞こえてるか!?
(次はどれを選ぼっかなぁ?)
………やっぱり。
どうやらここだと俺の声はカナちゃんに届かないようだ。
カナちゃんは俺の声が聞こえていない様子で3つの選択肢からどれを選ぼうか迷っている。
しかしどうしてここに来たんだ?
何か条件があると思うんだけど。
その鍵はDECにあるのは確定だ。
これで何も関係無かったら文句を言ってやる!
誰に文句を言うべきか謎だけど。
ゲームに何かあるか、それとも何者かが模倣しているのか。
絶対何かある、と思いたいなぁ。
今はカナちゃんとも話せないみたいだし、DECについて思い出しておくか。
(テイカってなんだっけ?
お姉さん達があれこれ上がるって言ってた気が…)
いや、違うくない?
テイカなら低下じゃないの?
カナちゃんが聞いたの定価の方じゃない?
なんだか、もどかしいなぁ。
ただ、カナちゃんが言ってる事が正解である可能性もあるんだよな。
『Dead End Count』通称DECは主人公が死ぬ度に強くなるゲームだ。
シリーズによってシステムに細かい違いは有るけれど死んだ時の流れは一緒だ。
死ぬと目の前で浮かんでいるように黒一色の背景に特徴のある文字とクルクル回るDJスカルが出てくる。
そしてシーワード、死んだ状況からランダムで選ばれるキーワードを選んで新たな能力を獲得して主人公は復活する。
ただ、シーワードを選ぶ時は慎重に考えないといけない。
まず、DECには決まった能力は無い。
毎回、主人公が死んでシーワードが決定する度に能力の内容は自動作成される。
だけど能力の内容を確認するにはシーワードを選んで復活してからしか分からない。
字から推測をするにしてもカタカナでしか表示されないから狙った能力が得られる確証も無い。
そのギャンブル性が面白くて俺はハマった。
(サイミンは…眠れるお薬だっけ?
ゆいちゃんが夜に打たれてたよね?)
それは睡眠薬なんじゃ…
サイミンは催眠じゃろ。
いや、似て…ないよな?
…ダメダメ。
カナちゃんと話せないから集中して考えなきゃ。
えっと…何を考えてたんだっけ?
そうだ。
DECは奥が深い死にゲー…いや待て。
そうだよ、この場面は主人公が死ぬと現れる。
つまり…俺は死んだって事になるのか?
それも今回を合わせて3度も?
そんな話ってあるのか?
…小さな女の子の身体に入り込んでいる時点で普通の話じゃなかったか。
俺って死んだのか。
人ってこうもあっさり死ぬものなのか。
突然過ぎて実感が湧かないな。
頭を打って死ぬとかベタ過ぎぃ!
………はぁ。
(イブキって確かお姉さん達が怒ってた先生かな?
小さな子に手を出して、にんしんさせたって。
それじゃ悪い事なんだね)
………は?
…っえ?
…ちょっと待って。
…マジで?
それは…確かに悪だ。
1度目はともかく、2度目はカナちゃんの身体に入っていた時だ。
そして2回共、カナちゃんがシーワードを選んだ後も意識が有った。
これがDECのシステムを模倣した何かだとしたら、シーワードを選ぶとカナちゃんの身体は生き返っているんじゃないだろうか。
なるほど。
そりゃあ医療従事者があんな反応をする訳だ。
医者である己が死亡判定を下した相手が蘇ったら驚くだろうさ。
医者の発狂やカナちゃんのお母さんや看護師が倒れたのは能力の影響だろう。
カナちゃんが選んだシーワードはサイセイとヘンカン。
俺やカナちゃんの様子から何故そんなシーワードが選ばれたのかは分からないけれど。
サイセイは…再生かな。
ヘンカンは…返還、かな?
医者の発狂やカナちゃんのお母さんや看護師達が倒れたのも能力の影響なのは確実だ。
ヘンカンは自信が無いけど再生ならば予想がつく。
傷が治るとかそんな感じだろう。
医者が発狂した様子からカナちゃんの身体に不自然な事態が起こっていた事は確実だ。
こんな事が世間に広まったらヤバい…よな?
人体実験とか考えたくない。
いや、既に病院に居るから医者や看護師に知られている訳なんだけど。
…記憶を消したりできる能力を獲得できないかな。
丁度、サイミンっていうシーワードが出てるし。
カナちゃん、サイミンを選んでくれ!
頼む!
(眠るのは…あまり好きじゃないから。
テイカを選びます!)
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「あぁ、そっちを選んだかぁ」
今回はちゃんと声が出た。
目を開けると金髪の巨体、カナちゃんのお父さんが手を握っていた。
既に泣いた後なのだろう。
とても赤く腫れた目と鼻、そして涙の跡が物語っていた。
(パパ!)
頭の中でカナちゃんの元気で嬉しそうな声が響いた。
しかし、俺が思い出したのは倒れた人達の姿とDECの能力の影響。
「離せよ、クソ!
あ…やべ、失敗した。
………えっと、すんません」
俺は叫んでその大きな手から手を抜こうとして気付いた。
お父さんは無言で涙をボロボロ流していた。
最初はしっかり握られていた手も弱々しく離れていった。
そして相当ショックを受けた様子でよろつきながら立ち上がると壁にあるボタンを押す姿は悲壮感が凄かった。
頭の中でも俺とお父さんのやりとりにカナちゃんの感情を表したかのような叫び声とも泣き声ともとれる声が響く。
俺はもう失言をしないように全力で両手で口を掴んで話さないようにした。
「おんおーいえんおーうあい」




