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デッド・エンド・カウント  作者: 美咲
第1章 病院生活から
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18/30

第18話 高カロリーシロップ薬

リハビリ中の急死騒動から3週間が経った。

あれから能力について色々な事が分かった。


まず、俺が突然死んだ事にパニックを起こしながらも家に連れ帰ったカナちゃんの両親に低栄養で死んだと伝えるとドーンさんがとてもショックを受けていた。

退院してから食べているご飯は全てドーンさんが作ってたからな。

責任を感じたのか泣きそうな顔で聞き取れない声で何かを言ってた。


だけど妙さんは凄かった。

席を立ち携帯を取り出したと思ったら数十分もしないうちに大量の段ボールが届いた。

中身は俺が病院で飲んでいた甘いシロップ薬の原液だった。


なんとこのシロップ薬、高齢者や摂食障害などの少量しか食べられない人達ように作られたものらしい。

医療用高カロリー栄養補助剤という代物らしく本来は希釈したものを適量飲むだけで成人男性が必要とする1日分のカロリーと栄養素を摂取できる効果があるようだ。


妙さんは病院に俺が食事を取れないからどうしたら良いかと相談してこのシロップ薬を取り寄せてもらったらしい。

なるほど、退院後は確かにこのシロップ薬を飲んではいなかった。

俺は子供だから希釈したものをさらに希釈して飲んでいたようだが、あれを飲んでから体の調子が良かったのも頷ける。

栄養…俺の場合はカロリーが足りなくなって死んだようだし、解決策として良い判断だと思う。


いきなり大量の段ボールが届いた事や電話の途中で買収とか聞こえたが気にしないようにしよう。

うん、金の力は偉大なのだ。

俺の元の体もバカ共から買い取って延命治療を施していると言った妙さんの総資産なんて気にしない。

…いつか返金できるようにしたいけれど。


今では朝起きて駆けつけ一杯と言わんばかりにシロップ薬を原液をコップ一杯飲んでいる。

舌や喉が死ぬ思いをするが、飲むようになってから同じ死を迎えていないから正解なのだろう。


また、【変換(ヘンカン)】には優先順位がある事が分かった。

まず、熱や電気など形がないエネルギー、次に液体、そして固体といった感じだ。

流石に気体はどうなのか分からなかったが調べようがないから仕方ない。

携帯の充電が故障と思えるほど早く切れる理由もこれだ。


あとは体外よりも体内の方が早いし体内の物に【変換(ヘンカン)】が発動していると物に触れていても目に見える変化がなかった。

ドーンさんが体を張って確認したが倒れる事もなかった。

恐ろしく体が冷えるが意識を失うほどではないらしい。

さらにどれも同じ速さで【変換(ヘンカン)】が発動する訳ではないらしい事も分かった。

軽い物が早く無くなり重い物は時間がかかる傾向にあった。


だから石でも口に入れておけば学校生活を安心して送れるだろう。

ぶくぶく厚着ダルマで動けなくなる事は無くなった。

その代わりに石を飴玉のように舐めてる小学生なんて怪談話みたいになってしまったけれど。


【過食(カショク)】については完全に宝の持ち腐れだ。

食べれる量は格段に多くなった。

それは認めよう。


ドーンさんが作った大鍋いっぱいのスープを難なく完食できたし、宅配ピザのLサイズなんて10枚食べてもまだいけそうだった。

うん、妙さんとドーンさんよりも食べれてる時点で物凄い効果を発揮していると言えるだろう。


でも…遅い。

食べる速度が遅過ぎる。

口は小さいし、顎はすぐ疲れるから休憩を挟まないといけない。

体型は食べても変わった様子は無かったが、【過食(カショク)】の効果なのか【変換(ヘンカン)】の効果なのかは分からずじまいだ。


もっと健康な体にならないと検証できない事が分かった。

うん、寝たきりだった子供にすぐに健啖家になれというのが無理な話なんだ。

食べるだけで疲労感がある時点で察するべし。


学校用の小物は揃ったし、専用の車椅子も届いた。

病院の車椅子よりも小型で軽く俺の腕の力だけでもスイスイ動くのは気に入った。

俺の行動範囲がぐんと広がったぜ。

色は妙さんの意向により目に痛いピンク一色になったが、そこには目を瞑ろう。

でもカナちゃんはそんなにピンクが好きでもなかったけれどな。

好みな色は無いらしい。


(学校、学校、学校!)


さて、今は俺達が通う特別支援学校に向かっている。

頭の中でカナちゃんの期待している声が響く。

昨日からずっとこうだ。

それだけ学校に憧れを抱いていた事は分かってはいる。

けれどうるさい。

文句が出ないように口を押さえているがそろそろ手が疲れてきたぞ。


これから学校生活を送る前に先生と面談をするのだ。


特別支援学校は調べて知ったが、障害児が通う学校らしい。


確か俺も小学校の頃に車椅子に乗った子達と交流する授業があったがあの時の学校の生徒になるのか。

あの時会った子は話す事はおろか動く事もままならなかったけれど、大丈夫だろうか。

俺はあの子とあまり関わろうとしなかった。

だって話せない子だったから。


周囲にそんな子ばっかりの学校で友達を作るなんて無理じゃないか?

カナちゃんには悪いけれど友達作りは諦めた方が良いかも。

コミュ症の俺が話せない子と友達になろうだなんて難易度ヘルモードかよ。


そんな不安を膨らませていると目的地である海中(うみなか)特別支援学校に着いた。

着いたらしいのだが…学校が見当たらない。

広い駐車場とバスしか見当たらないのだけど?

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