↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デッド・エンド・カウント  作者: 美咲
第1章 病院生活から
PR
16/30

第16話 娘の願いと筋肉計画

カナちゃんの両親との契約は成立した。

条件として提示されたカナちゃんの願いは、今の俺達には困難を極めるだろう。

それでも病院で何度もカナちゃんから聞かれていた話題だったからな。

予想はできていたとも。

その後の妙さんから打ち明けられた話には度肝を抜かれたけど。


俺からの要望で部屋に大量に置いてあったぬいぐるみを別の場所に移動してもらい、今は小さくて可愛らしい子供用のベッドに横になっている。

壁紙や天井など部屋全体がピンク色で統一されていた事に初めて気付いたけれど文句は言うまい。


今は灯りを消して、天井から吊り下がっている淡く光ってクルクル回っている物をぼうっと見上げながら今後の事を考える。


「なぁ、カナちゃん」


(なぁに、アクマさん)


「学校って面倒な場所なんだぜ?

 勉強や人間関係とか普通でも問題は良く起こる。

 そのうえ、俺達は特殊な状態だ。

 良くも悪くも学校じゃ目立つ。

 目立てば問題も起こりやすいのが基本さ。

 下手したらカナちゃんが嫌な気持ちになるかもだ。

 それでも…学校に行きたいのか?」


学校に行きたい。

それがカナちゃんの願いだった。

能力の事を考えれば集団に入るなんて避けるべき。

でも、やりたい事を我慢したまま消えるなんて俺には耐えられないし、俺よりも幼いカナちゃんにそれを強いるのは違うよな?


でも、夢の実態が常にキラキラしたものかと聞かれると違う事もあるのだ。

イジメとか、陰口とかさ。


(うん!

 行って友だちをいっぱい作りたい!)


友達を作る。

俺がやりたがらなかった事をカナちゃんが望んでいる。

身体を借りている分くらいは嫌な事に対する防波堤になるつもりだ。

ゲームで培った忍耐力が火を吹くぜ!


けれど…友達作りの助言なんて無理だ。

自慢じゃないが俺はコミュ障の部類に入る。

ゲームの話ならともかく…いや、ゲームになったら人の話なんて聞かないな。

とにかく、他人と接するなんて苦手なんだ。

そんな俺が小学生相手に友達として関われるか疑問が尽きない。

いや、簡潔に言うと無理だ。


「接するのは俺だけどな?

 正直、俺は人付き合いが苦手なんだけど…

 まぁ、いいさ。

 あの二人が協力してくれるんだ。

 これで計画がぐっと楽になった。

 明日も頑張ろうな、カナちゃん」


(うん!

 明日は買い物だもんね!)


「はぁ、ゲームなら喜んで行くんだけどな…

 それじゃ、おやすみ、カナちゃん」


(おやすみなさい、アクマさん!)


俺は勝手に動く口を塞ぎ、目を閉じた。

やはり本音が溢れる口とは厄介だ。

初めて病院から出て精神的に疲れたのか意識をすぐに手放した。


朝、起きて支度をする。

妙さんから渡されたリボンとフリルがふんだんに使われた長袖ワンピースに顔を引き攣らせつつ黙って着た。


妙さんとドーンさんは職場を共にしているらしく、来月までは有給休暇で家に居るらしい。

その間に事を進めるように決定した。


入学自体の手続きは既に完了しているようで特別支援学校だそうだ。

元々、カナちゃんの難病で普通の小学校の通学は厳しかったそうで医療的ケアが充実している所に入学していたらしい。

でも特別支援学校ってなんだっけ?

なんか聞いた事があるんだけど。


準備する一つは物だ。

ランドセルをはじめとした小物一式。

これは学校から配布されているリストに従って購入すれば良い。

今日の目的はこれ。

買い物さ。

二人はカナちゃんの希望を聞きながら揃えたいと思っていたようで手元にはないが一月の間に全てを購入する事は容易いだろう。


問題は服。

今の俺達は直接触れた相手を害してしまう。

故に厚着をする予定なんだが…

素肌が見えないように厚着すると俺が思うように動けるか分からないんだよな。

下手したら着膨れダルマで身動きが取れないかもしれない。


この身体は貧弱だ。

そしてもう一つの準備するもの。

そう、体力作りだ!


現状、数歩だけでも息がきれるし、支えが無きゃ数分も立てない座れない。

しかもこれは能力込みでの話。

低下(テイカ)を使うと一人で座っているのも厳しい。

難病の影響で消えてしまった筋肉を取り戻すべく、俺は運動をしなければならない。

これは入院していた病院にリハビリ施設がある為、そこをほぼ毎日利用する事になった。

疲れ知らずのこの肉体が唸るぜ!


リハビリはとてもきつい。

だけどこの肉体は回復が早いらしく想定よりも早く動けているらしい。

能力が回復に特化している事が影響しているのだろうけれど男子高校生の身体能力を知っているこっちとしては身動きが遅いしか分からず素直に喜べないけれど。


ちなみにドーンさんから漢字辞典と国語辞典を借りる事ができた。

これによって能力の詳細が分かった。


---------------

【再製(サイセイ)】

熱量を消費して身体を作り直す。

【変換(ヘンカン)】

万物を熱量を消費して吸収する。

【低下(テイカ)】 

能力の効果を一時的に下げる。

---------------


再製とは作りなおすこと。

多く、一度製品になったもの、または廃棄されたものを加工して別の製品を作り出すことをいう。

また、そのもの。


辞典にはそう書かれていた。


DEC(デック)は造語をあまり作らない。

再製(サイセイ)を辞典通りの能力だとすると、小さな怪我は直るけれど欠損などの大きな怪我は欠損した部位がないと直せないかもしれない。

つまり肉片や血など元となる材料がなければ発動しない能力だと言うことになる。

製品という部分を肉体や臓器と言い換えるとよりしっくりくる。


触れた相手を害してしまうのは、変換(ヘンカン)だけが悪さをしていた訳じゃないかも。

ある程度の基準があって俺達の肉体がそこまで達していないから他者(別)の肉体(製品)を奪うように動いているかもしれない。


つまり、基準に達した肉体になれば触れた相手を害してしまう恐れがなくなる可能性もある。

そうしたら、二人にカナちゃんと抱き合える事も可能になるし、その分、自殺の協力も幅が広がる。

だから体力作りは必須だ。

ふっ、筋肉は俺達を救うのさ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。