ゆめ
三題噺もどき―ごじゅうなな。
お題:野原・光・青空
だだっ広い野原に独り。
背の伸びた草が、僕の腰あたりまでを覆い、風に揺れていた。
「……」
(さっきまで、家にいたはずなんだけど?)
そんなことを思いながら、周囲に目を向ける。
一面緑に覆われているのだろうが、正直、あまり遠くまでは見えなかった。
光に囲まれているように、ある一定の範囲から先が、ぼんやりとしていた。
「…………あ、」
ふーと見上げた時、思わず声が漏れる。
空が、そこにある青空だけが、広く、どこまでも広く、続いていた。
野原の先のように光に侵されることもなく、その青さをどこまでも広げていた。
雲など一つもない、まっさらな空。
「……」
(……夢?)
今更ながら、そこまで意識が至る。
その時、声が聞こえた。
(あれは……?)
先程まで、なにも、誰もいなかった場所に2人の子供が仲良く遊んでいた。
多分、1人は幼い頃の僕。
案外わかるものだな、幼い頃の自分の姿って。
今とは違って、まだ可愛さがあったあの頃。
(あの子は……)
もう1人、空色の綺麗なワンピースを纏った女の子。
光の影になっていて、よく見えない。
「……」
(そうだ。僕はあれぐらいの時……あの子と……)
顔が思い出せない。
よく見ようと、近づくと、彼女は逃げるようにその場から離れる。
それと共に、幼い僕も駆けていく。
「まって……!」
それは、今の僕か、昔の僕か。
手を伸ばしても、届かない。
必死に追いかけるも、どれだけ走っても届かない。
「君は……?
!!!!
意識が無理やり引き戻される感覚。
悪夢でも見ていたのか、汗が酷い。
何かを追いかけて走ったように汗をかいている、喉も乾いている。
「……?」
ひた、と頬に触れると。
誰のものかも分からぬ涙が、流れていた。