秋場一平太
序章
ガタンゴトン、ガタンゴトン
人との距離が密着しているが、
人と人の距離感が遠い
一見静寂だが
各個自分の世界を作っている
By鈴木まひな
車内アナウンスが告げる
次は、青山一丁目~ 青山一丁目~
私は簡単なポエムを作り、一人満員電車の中で微笑んだ。
ゴロゴロゴロ、キャリーケースを左手で引きながら、右手には普段の仕事用のバックを肩に掛け朝の通勤ラッシュ前の銀座線の中で私は大きな溜息を付いていた。
明日から私の勤める美容院の社員旅行が始まるのだ。何時もの事ながら、オーナーに計画性・協調性はない。神に誓ってそれは無いと言って良いだろう。しかも出発は本日深夜,オーナーの車で移動する・・・その距離400km・・・たぶん、アイツ(オーナー)は寝させてくれない・・・出勤は6:15分20時に仕事が終わる。しかし閉店作業も入れれば22時を回る。17時間に及ぶ拘束時間である。
私はまた、電車に揺られながら大きな溜息を付いていた・・・私を乗せた銀座線はそれでも地下鉄の暗闇を進んでいく・・・
青山一丁目の駅から歩いて10分の閑静な街の一角にある見た目は白い壁で覆われたオシャレなマンションの1階に私の仕事場はある。
オシャレなビルは今年の春までの話だ・・・
今は白い壁がゴーヤの弦でお化け屋敷のようになっている。所々で秋の寒さにやられたのか茶色い葉が朽ちている。アイツ(オーナー)はゴーヤの件でビルのオーナーと揉めているらしい。性質が悪いのはオーナーの奥さんが熱狂的なアイツのファンであることでビルのオーナー(ご主人)は気難しい立ち位置を余儀なくされている。ビルオーナーは6階の一室で生活しており、よく顔を合わすのだがその度に止められなかった私の責任を感じてしまう。
うちの美容院は時間厳守である。指定の時間までに入店さえすれば何も言われないが、1秒過ぎれば、ぐちぐち言われた悔しい過去が思い出される。わざわざ購入した電波時計が出勤時間の厳しさを物語っているが、
『おう、まひちゃん。おはよう。今日はえらい荷物だね。』
会いたくない時に会ってしまうのが私の特技なのか、ビルオーナーが店の前を掃除していた。歳は50代半ばで髪は薄くなり始めている、紺のスラックスとポロシャツ姿で清掃している。3階部分よりマンションとなっており、管理人も務めている様で評判も良い、しかし、髪は頭部から薄くなってきており、48歳らしいが私には60歳くらいに見えてしまう。なんとも悲しい出来事である。名前が確か、横島さん、下の名前は知らない
『おはようございます。今日の夜から出張で3,4日は店をお休みするんです。なのでこのゴーヤ切っちゃていいですよ。私も味方ですから』
竹ぼうきを持った手がワラワラ震えだしたかと思った刹那ビルオーナーは私の右手を取り『ありがとう。家にも味方は居なくて・・・昔は空室も直ぐに埋まったのが、今は中々埋まらないでこまっているんですよぉ~、しかもアイツ目当ての客はうちの嫁が断っちゃうから性質が悪い・・・まひちゃんもがんばってな。応援してるから』
ビルオーナーとの会話をしたのち軽く会釈し私は店舗の扉を開けた。
『おそ~~~~~いわよ!まひ。あんた35秒遅刻じゃない。出勤は時間厳守!!良い事、時間厳守よ。』
ワイシャツは襟を立てて皮パンを着こなし、そして、口髭を蓄え濃い顔、とどめの一撃は顎が割れている。この美容院ビーナスチェンジのオーナー秋場一平太が右手を脇の下に回し左手は頭の後ろに回した変な格好で私の前に待ち構えていた。
『出勤の30分前ですですし、怒られる事じゃないと思うのですが・・・』言い終わる前に
『だまらっしゃい。今日は年に数回の社員研修の日よ。この研修によってインスピレーションを刺激しお客様の美を高めるのよ。』
うんちくが始まったので私は荷物を置き開店準備を始めだした。キャリーケースや大きな荷物をプライベートに運び込み今日のお客様のデータや準備を行った。その際も一平太の金切声は続いたが、全て無視して作業を行った。一通り準備が終わりmtgの時間になって一平太と朝食を取るのが日課になっている。朝食を作るのが一平太の仕事だ。伊達にオカマ(ゲイ)(良くわからない生物)をやっていないのか、調理技術は女子顔負けのプロ級である。
味噌汁は出汁が利いており、美味しいシジミの味噌汁である。
『この味噌汁優しい味ですね、何か隠し味でもあるんですか?』
納豆を混ぜながら一平太は
私の事より納豆に集中しながら・・・
『味の素よ。入れないとかないでしょ。』
初めてこちらを見て直ぐに納豆に集中し出した。こんなどうでもいい話をしたくて味噌汁を褒めたのではない。私は負けじと追撃を続けた
『あの~私、研修の場所聞いてないんですけど、どこに行くんですか?』
納豆をかき混ぜながら、こちらを見もせずに
一平太は続けた。
『あら、まひなは、初めてだっけ?』
〈ええ、初めてです。続けて言わせてもらえば、オープンから私以外に、アシスタント居たんですか?〉
納豆に空気が入るように、縦の運動に切り替えながら、糸を極限まで伸ばしながら
『今年の1月にまひなを拾ってから、2人でやってきたけど、そうねぇ一人だけいた時期もあったわねぇ~。』
〈どうしてやめたんですか〉
数カ月たって初めて聞いた話に興味がわいた事と常連のお客様にすらそんな話は聞いたことがない。
『女はミステリアスな部分は必要なのよ。まひなは女心が干上がってるのね~』
こいつはもうだめだ・・・もう突っ込まない。いつまで納豆かき混ぜてんだ・・・イライラした私は一人食器を下げ皿を洗った
遠くで一平太の声が聞こえる
『まひなぁ怒ると小皺がふえるわよ~』
何も聞こえない、むしろ今日一日無視をしようと心に誓った。
9時ご予約のお客様が30分前には店にやってきたのはその時だった。
『イッちゃん、元気だった?3年待ったわよ~~~。あら、食事中だった?。』
毛皮のコートを着こなし、大きく胸の開いた黒のドレスを着ている、外には運転手つきのベンツを止めている、60代前半くらいであろうか、指についているゴールドの指輪がその人を表している様であった。
今だに納豆をかき混ぜていた一平太は
『あら、淳ちゃん早いわねぇ~~し・か・し、今は食事中よ。しっかりした食事は美容には大事よ。良い男はその辺を感じ取るのよ。
ふふっ』今だ納豆をかき混ぜている一平太は常連様との会話に夢中だ、納豆に夢中と言ってもいい。
私は、コーヒーを淹れお客様に差し出した。
『淳ちゃん、まひなの淹れるコーヒーは格別よん。この才能だけはあるのよねぇ~』
相変わらず、このオカマは今朝の35秒の遅刻を根に持っているのか、ちくちく嫌味を言ってくる。本日一人目の客で菅原淳子さん、
私は本日の予約リストを思い出し菅原さんにコーヒーを差し出した。
『あらぁ~、これが噂のコーヒーね。確かに美味しいわ、イッちゃんの言うことはまちがいないわねぇ』
自慢のコーヒーを褒められると嬉しくなる。
しかし、最初の頃は飲んでくれないこともあったが、今ではみんな飲んでくれるようになった。しかし、皆一口だけ口に含み飲み切る人は一人もいない、これが大都会東京なのか、ブルジョア階級の一面を私は好きになれなかった。
一平太は納豆をかき混ぜながらドヤ顔を決め込んでいる。人差し指を淳子さんに突き付け片目を閉じている姿に私の殺意は更に跳ね上がる。
私の職場のビーナスチェンジは完全予約制の一日5人限定、今は3年予約待ちの状態なのである。今回の研修?などの時は予約の数を一日6人として休みを取る。さあ、戦のはじまりだ。お客はあれこれ注文を付けてくるがオカマは何も聞かない
ぎゃ~
うおぉ~
「こんなに切っちゃダメでしょ~」
シクシク
シクシク
泣いている、何時ものことだがこの職場にきてお客様が泣いているのは珍しい事では無いしかし、カットが終われば話は別になる。
「これが・・・あたしなの?」
『そうよ、じゅんちゃん、頑張ったわね。20代を取り戻したわよ』
「ええ、これなら不倫も出来てしまいそうよ。」
『確かに、不倫は良くなくてよ、でも聞かなかった事にしておくわ、ミステリアスこそ女の武器よね』
二人とも少女マンガの様に目を輝かせている。私はコーヒーを入れ、菅原様とオカマに差し出した。
「ありがとう。今なら、この不味いコーヒーも許せる心が私にはあるは・・・」
(え、まずい?)
私は思わず聞き返してしまった、不味い?オカマはおいしそうに飲んでいるのに・・・
『ひなちゃ~ん、気にしちゃダメよん』
オカマが何時に無い優しい言葉でフォローしている、
「こんな不味いコーヒーをドヤ顔で出され、自信満々の貴方を私は応援する。あなたは、やればできる子よ」
聖母のような優しい眼差しで、淳子さんは私を見てくる
しかし、私のコーヒーが不味いなんて・・
密かに将来は美容院を開いて、カット後に自慢のコーヒーをお客様に召し上がって頂く夢を全否定された気持は計り知れない。私は涙を堪える事で精いっぱいだった。
『言っちゃだめよ~淳ちゃん。黙ってるからおもしろいのに』
先ほどの悲しみは殺意に変わり、私の中にはどす黒い怒りが湧いてきた。先ほどの涙は人として最後に流す涙だったのかもしれない
一通り本日の業務を終えた私たちは、オカマの運転する車に乗り目的地の東北に向かう車内の中に居た。
隣でオカマがずっと喋って居るが私は心ここにあらず、眠い事ともあるが、コーヒーを不味いと言われたショックが居間だ私を落ち込ませていた。「ええ」「へえー」気のない返事を繰り返していた・・・
「あの~私のコーヒーて不味いんですか?」
『その事ぉ、不味いわよ。凄い不味い。しいて言えば、不味さの阻止限界点を突破してるわよ。』
ケタケタ笑いながら運転しているオカマに殺意が湧き、渾身の力を込めて、脇腹にコブシを突き立てた。
車はハンドルを取られ、左右に振れる、女子ならば悲鳴の一つも上げるだろうが、殺してやろうと放った一撃だったので、私は逆に不気味な笑いを浮かべた。
逆にオカマは苦悶の表情を浮かべながら
『あなた内の店の口コミ見た事ある?それにしても、いいパンチしてるじゃない?今のは効いたわよ』
ケタケタ笑いながら運転するオカマをよそに私は携帯で口コミを見た。
20代を取り戻せる素敵なお店
あの殺人コーヒーは完璧を誇る店の遭えての仕込みか?
殺人コーヒー(*^_^*)( ^^) _U~~
うけるそんなコーヒーあるんだ飲みてーー
オーナーの一平太です。まずいコーヒー呑みにいらしてね、しかし、まずい事はないしょよ、黙ってるから面白いんだしウフ。彼女のドヤ顔面白くてよ。by一平太より
あたしはたぶん生まれて初めてそのまま深い眠りに付いた。たぶん気絶したんだと思う
車内に差し込む日差しが眩しく私は眼を覚ました。
エプローグ完
(一平太アナザーストーリー1)
このドラ猫ちゃん何時まで寝てるのかしら
ドライブインに立ち寄った際に気づいてしまった。気付いてはならないものに
あ・た・し・が寝ずに運転してるのにこのドラ猫は幸せそうな顔して寝ている涎が垂れている・・・許せない・・・許せないのは何なのこの子、あたしの会話に対して寝ながら返事する事が出来るの?どんな才能なのすごいわ!いや感心しちゃダメ。あたしは騙されない
『ひなちゃーん』
「なんですか」
『朝食は何が食べたい?』
「何でも良いですよ~」
す、凄いわ・・・なんなの、なんなのよこのドラ猫は寝ながら会話が成り立つわ。
お、おもしろい。おもしろすぎる
ドライブインである物をどうしても欲しくなった・・・大概のものは手に入る、あたしにどうしても欲しくなったもの・・・油性ペンである。
ドライブインの売店で油性ペンを購入した私は車内に戻り、まひなの顔をド〇エモンに書き換えた事は、秘密にしておこう。
(一平太アナザーストーリー完)
第1章初めての社員旅行
まどろみの中で私は目を覚ました、おそろしい夢を見たのだろう。体は汗伴でおり呼吸も荒い、一平太が助手席のドアを開け、私が起きるのを待っているではないか、目覚めに一平太はきつい物がある、私は逃げられない現実に諦めが付いた。
『早く起きなさい、まひな姫。到着したわよ』
腕時計は10時を指しており、少なくとも6時間以上は寝て居た事になる。私は慌てて飛び起き車を降りた。
『荷物もすべて私が持ってアゲルわ、まひな姫は付いて来てね』
私はハイと元気に返事をし一平太の後を追った。車を降りて私は一帯の景色に心を震わせていた、明治ロマン・・・明治時代がどんな物かも分からないもののそう感じた。そんな気がした。寝ている間に私は千とまひなの物語にタイムスリップしてしまったのか、浴衣の宿泊客やチェックアウトを終えた客、私達の様に此れからチェックインする人が駐車場には多く、山の中でありながら、賑わいを見せている。県外からの大型バスも何台か駐車してあり、有名な温泉街の様だ。すれ違う旅行客に一平太は元気にあいさつをしている。皆笑顔で挨拶を返してくる。私も続いて挨拶をするが、私には硬い表情で挨拶をしてくる。人によっては、牛乳を吐き出す人まで居る。よっぽどオカマガ珍しいのだろうか・・・
「此処てぇ、何処なんですかぁ、みんなオーナー見て笑ってますよ」
『此処は大正ロマン漂う山形県は銀山温泉よ、私の故郷でもあるわ』
「えーー、私、明治ロマンだとおもってました。何と無くですが、しかも、オーナー山形出身なんですね。」
一平太はドヤ顔で私を見返す、(ぷっ)と吹いたように笑い、明治ロマンて何だよと突っ込みを入れてくる。
『あそこの旅館は外国の人が女将をやってる有名な旅館よ、私達が泊まる宿はもう少し先ね、』
歩く事10分人気も無くなって来たが、空気がおいしく感じる。東京では感じられない事が此処では新鮮に感じてしまう。一平太も隣で訳の分からない詩を口ずさんでいるから相当気分が良いのだろう。恥ずかしい詩を無視しこの環境を十分に満喫した。
木造の明治、イヤ、大正風の建物であろう旅館、門から除く庭はキチンと整備され鳥の鳴き声と清々しい空気で神秘さを出している。
「うちのゴーヤとは大違いですね」
私の嫌味に振り返るが、ニヤケタ笑顔で返してくる。次第に怪しくなってくる。コイツが優しい時は決まって何か企んでいる。そう云えば荷物もずっと持ってくれている事、私をまひな姫と呼ぶ時、何か企んでる。お化け屋敷じゃ無いでしょうねぇ・・・次第に私の警戒レベルが上がっていく。
門には大きく【青雲館】と書かれている。
門をくぐり、玄関を元気よく開け放ちオーナーが大声で言い放つ
「たのもう~ たのもう~」
この人、本当に恥ずかしい、嫌だ、一緒に居たくない。私はどうすれば良いか判らなく、下を向いたまま耐えていた。
《あら~一ちゃん、久しぶり、元気にしてた?》
若い張りのある声が聞こえてくる、私は声のした方を振り向いた、20代後半だろうか、美しい着物を着こなした女性がそこには居た、元気で笑顔がまぶしい、まさに美人女将といって良い。私も一平太の後ろから、顔を覗かせ挨拶を仕様とした、が・・・・その太陽の様な素敵な笑顔が見る見る曇りだし、オカマの方を見ながら、怒りの表情に変わって行く、恐ろしい怒鳴り声が神秘の宿を青雲館を包んでいく・・・
あまりの出来事に私は目を閉じ両耳を両手で抑えつけた、恐る恐るゆっくりと目を開けると、美人女将の右がオカマのミゾオチに突き刺さっている。90度のお辞儀をさせられたオカマ、そしてオカマの耳元で優しく氷の冷たさで囁く美人女将・・・
《いっちゃん、あんた、またこんな悪戯して、ちゃんと謝りなさい。この子が可哀そうだと思わないの?》
オーナーは口から血を吐き、少年の様な瞳で目を潤ませ反省している?美人女将は私の方を振り向きながら
優しくも、悲しい顔を覗かせて入口の大きい鏡を指さした。その後、この神秘の神聖な旅館に私の絶叫が木霊したのは言うまでもない。
私は今青雲館の自慢の露天風呂で日々の疲れを癒している。正確には顔の落書きを落としている。
山々の間から光が差し込み天空には青い空、季節外れの巨大な入道雲、清々しい風が気持ちよく、温泉特有の硫黄の匂いも相まって五感を癒してくれる。この温泉に浸かれば、日々のイライラも忘れられる。バカオーナーの悪戯も今に始まった事ではないのだから、十分に露天風呂を堪能した私の心には清々しさがあふれていた。
部屋では正座させられたオーナーが美人女将にお説教を受けていた。
私が入ってきたのに気が付いたのか美人女将が私の方を向き、先ほどまでの鬼の形相から優しい母親の様な眼差しで優しく、私の腕を取り語ってきた
(鈴木さんでした、大丈夫?」
「ええぇ、オーナーの悪戯は何時もの事ですし、露天風呂貸し切りにしてもらって、とても気持ちよかったです。只、今回は少しやりすぎでしたが、露天風呂が気持ち良すぎて忘れちゃいました。」
美人女将には気を計らって貰い露天風呂を貸し切りにしてもらっていた、確かに浴槽にドラエモンの落書きをした客が居ては、他の客がビックリする事も否めない。
(あら、意外とタフなんだね、)
(言ったでしょ、この子猫ちゃんは神経が図太いのよ)
美人女将は、殺意のこもった目でオーナーを見据える。その途端にニヤケタ笑いと、背筋を正すオカマの姿は滑稽だ。
(ま、いいでしょう。アンタは一時間そこで正座してなさい、鈴木さん良かったら旅館案内するわよ、いろいろコイツには悩み事も多いでしょうし、相談に乗っちゃうからね)
若女将と言うと少し堅苦しい人物を想像してしまうが、この人は何でも話せてしまうオーラがある、途中すれ違う常連さんも実にフレンドリ~に挨拶を交わす。
「なんか、いいですね、」
私は、思った事が口を出てしまったが、当の本人は何のことか判らない様子であった。たぶん、それが彼女の若女将の魅力なんだろう。
「若女将はオーナーと知り合いなんですか?)
私の質問に若女将は笑いながら答える
「若女将なんてやめてよー、もう37歳だし女子高生からは、おばあちゃん扱いされる齢よ。)
しかし、若女将はうれしかったのか、ニヤケタ笑顔が止まらない。
肝心の事を話さないまま、若女との館内案内は終了した。オーナーの悩みを聞いてくれる約束を忘れたまま、去り際もニヤケタ笑いは続いていた。よほど嬉しかったのだろう。
部屋の扉を開けるとオカマは凄まじスピードで正座をした。背筋はピンと張り、美しい正座の姿勢だ。生憎こちらに背を向けているので、私が入って来た事に気が付いて居ない
、しかし、今まで正座して居ない事は現状を見る限り明白である。座布団が2枚並べてあり、入った瞬間仰向けに寝っ転がって、まんじゅうを食べていた。極めつけにテレビが付いて居る・・・
後ろから見ても冷や汗が滝のように流れている。よほど若女将が怖いのだろう。そんな姿が面白く私も直立不動のまま、その後姿を眺めつづけた。
(なにしてんだぁ)
後ろから声がして私はびっくりして声の方を振り向いた。扉を開けたままにしていた私が悪いが、この人も人が楽しんでる時に、不意に声を掛けて来るとは人が悪い、
(その声は!坂本ね!)
オーナーは振り向き坂本と言う人物に目を輝かせている。確かにオーナーで無くとも惹かれてしまう二枚目のお兄さんがそこには居た
黒のスーツに身を包みながらも姿勢正しく、服の上からでも鍛えた体が判る。
(沙耶姉さんから、お前がいきなりやって来たって聞いたんだよ。お前、いつも突然すぎるぜ)
話を聞くと、この人は高校時代の親友で名を坂本浩也と言うらしい、ここ青雲館の7代目で若女将の双子の弟さんらしい。大体、社員旅行は半年前に私に伝えておきながら、予約しても居なかった事については、突っ込むのをやめた。
(今日は空いてるんでしょ、朝まで飲むわよ)
ニヤリとオーナーの口角が上がる。
(いや、別に良いけど、お前、そのオカマ口調いい加減辞めろよ。はずかしいから)
坂本さんは、爽やかに答えた。
(処でかわいい嬢ちゃん居るけど、お前の嫁なの?沙耶姉さんもお前が女の子連れて来たって喜んでたぜ)
(この捨て猫は私の下僕よ、なんてこと言うの、信じられない。)
この人たちは、私を素通りして、なんて事を言うのだろう。あまりにも次元がずれている為に、反論する気さえ起きない。まて、他人からは、そう見られるのであれば、不味い。
不味いと言うか、嫌だ。
(あの~蕁麻疹が出てしまうような会話辞めて下さい。私は只の従業員です。出来れば部屋をもう一つ取って頂ければ、私もうれしいです。)
坂本さんは、バツが悪そうな顔をこちらに向け
(ごめん、ごめん、コイツとは結婚しろってのが、挨拶みたいになってたもんで、何分今は、紅葉シーズンのお客で部屋が此処しか空いてないんだよ。もしあれだったら、沙耶姉さんと一緒の部屋で寝てくれ、俺コイツと朝まで飲むと思うから。)
そう言って坂本さんは、さわやかな笑顔から白い歯を覗かせこちらを振り向く、一瞬ドッキッとしてしまう。
(き~まひな。坂本は男と男の友情には人一倍熱い男よ。しかし、男と女の約束は直ぐに破る男でもあるのよ。気をつけなさい。)
オーナーは何処に行っても煩い金切声を挙げているが、言っている事が本当なら、女性としてはケダモノ以外の何でもない、
(ケダモノ・・・・)
私は、思った事を口ずさんでしまった、
(若いころは色々あったが、今は嫁の為に生きている。だから、心配ないよ。)
笑いながら言うその仕草が、確かに天性の魅力を表していた。
結局私は、また、流されてしまい。沙耶さんと同じ部屋に泊まる事になった。
何時間たっただろう・・・
この人たちはいつまで飲んでいるの?昼過ぎから、ひたすら部屋で飲んでいる。最初のビールが空いたあたりから酔っ払いモードで飲んでいる。坂本さんは今日は臨時休業に入ったらしく、飲み続けている。オカマは普段しない、政治の話や今後の夢を語っている。私は全然興味の無い話をひたすらに流しながら聞いていた。何度か中居さんが、ビールや肴を持って来たが、その都度、若女将が相当に相当怒っている事を伝える度に彼らのお酒が進んで行く。
(沙耶ちゃん怖くて酒が飲めるか~)
(姉が怖くて酒は飲めねぇ~秋場、この酒飲んで見ろ、中々手に入らない、幻の酒だ)
この後、私は若女将の部屋で寝る事になって居るのだが、貴方達は私の気持ちとか、まるで考えない、私は合図地を打つのも疲れ果てて来た時、部屋をノックする音が聞こえ、ガチャリと扉が開いた。
(ずいぶん飲んでるねぇ~浩君、一ちゃん?)
私服姿の若女将の姿が其処にはあった、私服のラフな格好に成ると若々しさが増すようだ、昼とのギャップか実に若く見える、とても37歳には誰も見えないだろう。それにしても、さっきまでの威勢の良さは何処に行ったのだろう、二人とも石のようにグラスを持ったままで固まったまま、動こうとしない。
若女将が私の横に座りグラスを弟さんの前に差し出す。
(注げ)
低く重低音な声を発する。空気が張り詰めるのが判る。しかし、二人は身動き一つせず、金縛りに掛かった様に動かない、この空間で動ける者は若女将ただ一人の様な感覚が辺りを包む、
(注げつったのが判んねぇんだがぁ?)
二人の体が大きく跳ね上がった。弟さんが震える手でビールを注ぐ、そのビールを一気に喉に流し込む若女将
(くぅー、しみるわぁ。アンタら私が仕事してる時に大層な身分ね。何か言う事ある?)
静寂が訪れる。私もこの空気は胃が痛くなってきた。そんな中
先にオカマが口を開く、
(わたくしは、今宵、此処青雲館に社員旅行に参りました。可愛い従業員と親睦を深め、今後起こりうる試練を乗り越えるチームワークを築く為にまいりました。しかし、坂本がこれを邪魔し私にあろうことか、酒を飲ませたのであります。私は沙耶ちゃんに悪いと何度も何度も進言しましたが、力及ばず此処に至った次第でございます。)
裏切った・・・・、このオカマ賺さず裏切った。
しかも、オカマ口調が無くなっている。
弟さんは放恣状態だ、親友の一瞬の裏切りによるショックだろう。
(よく言えました。一ちゃん・・・・)
その刹那、若女将の伝説の左がオカマを吹き飛ばす;;;; あぼぼぼぼぁ~と変な悲鳴を上げながらオカマは端まで吹っ飛んだ。
(一緒に飲んでたのが一ちゃんで浩君良かったね)
その笑顔に弟さんは無言で頷く。
(でも、浩君庇う為に一ちゃんは、こんな事言い出したのだとしたら、凄いよね)
女将は私を見て優しく微笑んできた。
(云いえ、絶対自分だけ助かろうとしたんだと思います。)
その後は3人で楽しくお酒を飲んだが、私が若女将の部屋に行くまでオカマは全く動かなかった。
一平太アナザーストーリー2
六本木通りと青山通りを結ぶ、骨董通りから一つ路地裏にはいる、ビルとビルの間で一人の髪の長い女性がサングラスを掛け、蛍の燈火の様な明かりに照らされた電子タバコの光に照らされている
(遅かったな)
女性は一平太を見ると低い声で語りかけて来た。俺も胸ポケットから煙草を取り出し火を付ける。ゆっくりと煙を上空に吐き出し、空を見上げる。その後、俺は女性を正面に見据え問いかけた
(寒いな、用件はなんだ?)
女性は、大きく電子タバコを吸いこみ、煙を俺に吹きかけて来た。
肩に掛けたバックから、一枚の写真を俺に差し出す。
(アシスタントで雇いなさい)
足を肩幅に開き、腕を組んで此方を睨みつけている。俺は、片手で写真を見ながら、煙草を一つ大きく吸い込み、写真に吹きかけながら考えた・・・
女性は尚も威圧的な姿勢のまま俺を見据えている。しょうがない、腹を括った
(OKだ)唇を曲げ両手を肩の高さで広げる仕草で表現した。
その際に写真の裏に書いてある名前と住所が目に入った。
鈴木真陽菜
住所○○・・・・・
第2章 過去
(紅に染まる~青雲館~~月山望む神秘の旅館~ぜひ一度お越しください~)
沙耶さんが社内のスピーカーを使ってウグイス嬢を助手席で行い。オカマは運転しながら窓から身を乗り出して、手を振って選挙運動の真似をしながら声を張っている。
ボケとツッコミを繰り返しながら青雲館のマイクロバスは右へ左へと蛇行している。
マイクロバスの真ん中位の席に私と浩さんが座っている、浩さんはこんな状態でも、恐怖心が無いのだろうか、愛犬のパグを抱きしめて遊んでいる・・・
私は狭い田んぼ道で何時田んぼにだいぶするか判らない状況に震えていた。
そんな、私を見かねてか愛犬に夢中だった浩さんが私に声を掛けて来た。
「仲いいだろ・・・あの二人の夫婦漫才・・・
実は、あの二人は婚約して居たんだよ・・・」
(へぇ~なるほど・・・・へっ、こ、婚約。婚約ですか、あのオカマとあの美人女将が!)
浩さんは、愛犬を膝の上に乗せ、愛犬の頭を優しく撫でながら、遠い目をして語りだした。愛犬は撫でられるのが、嫌なのか指に何度も噛みつこうとしているが、気にしていない様子で・・・そして、前の席では選挙の漫才をいまだにしている中で・・・
「あれは、あいつが十九歳の時だった、俺も沙耶姉も大学に進学し、奴は沙耶姉と結婚する為にマグロ漁船に乗った、1年の旅だったが、出向して1週間で、奴は高波に攫われて一人だけ遭難した。」
だんだん嘘くさくなる話に私も冷静さを少しずつ取り戻していく。浩さんの愛犬は今だ、骨をしゃぶるが如く、指に噛みついていた。
それでも気にしないそぶりで、さらに遠い視線で語りだした・・・
「すぐに捜索隊が結成されたが、1カ月、2カ月見つからなかった。奴の死亡は認められ、沙耶姉は失意のどん底に居た、しかし、奴は無人島に漂着し、自給自足で1年を過ごしていた。」
私は思わず嘘ですよねと笑いながら言ったが、浩さんは更に遥か遠い眼差しで語り始めた、愛犬に噛まれた指から血が滲んでいた。
「当時TVで無人島生活番組が人気でね、その中で、撮影中に発見されたんだ。それはもう、奇跡の生還でよくTVにも出てたんだよ・・・
発見された時の最初の一声は沙耶ちゃんだったんだ。」
嘘くさいけど何だか泣ける話に成って来ていた。
浩さんは愛犬に噛まれながら大量の血を流している。されど、遠く、遥か、彼方を見つめながらまた、語りだした。
「奴が見つかって、めでたし、めでたしとはいかなかった、沙耶姉は落ち込んでて失意のどん底に居た・・・そんな時沙耶姉はやられたんだ、3年男子に・・・」
(まさか、強姦とかそういう事ですか)
私は声荒げて浩さんを問いただした。
遠くを見つめながら語っていた浩さんは私を見つめ返しゆっくりと語りだした。
「大学4年生は就活で忙しい、かといって、1年、2年は精神的に幼い、3年男子、3ダンが一番女遊びに走る。落ち込んでいた沙耶姉は優しさに触れ奴を忘れる為に直ぐに付き合ってしまった。奴が帰って来た時は沙耶姉は他の男の物だったのさ・・・」
なんて事だ、このオカマはそんな過去を持っていたのか、私は悲しくて涙が出てきていた
沙耶さんの気持ちも女性として良くわかる、
沙耶さんが悪いわけではない。あのオカマが遭難したのが一番悪い。浩さんは血だらけの指に気が付かないのか、また、遠くを見て語りだした。
「奴は漢だった。惚れた女の幸せを願ってこそ漢と言い、何も言わず世界を旅した。沙耶姉は結局、就職活動で忙しくなった男にはフラれた・・・、個人的に俺がそいつには落とし前を付けた。」
此方に向かって白い歯を光らせドヤ顔決める浩さん・・・貴方にとって、そこが言いたい事ですか?とツッコミたくなった。
「そして、5年後、旅から帰って来た時には
奴はオカマになってた一平太と名乗るオカマに。」
浩さんは豪快に笑いながらそう言って前の座席で夫婦漫才を続ける二人を温かい目で見ている。
これは、本当の事なのか、嘘なのか、余計判らなくなる。私は前方の二人と隣の浩さんを何度も何度も見返した。
浩さんは、私の方を見返して真剣な眼差しでゆっくりと答えた。
「うそぴょ~ん」
私の左コブシが浩さんのミゾオチに深くめり込む、愛犬のジョセフが此方を威嚇しているが私の睨みで大人しくなる。
「そろそろ着くわよ~」
オカマが到着を伝える。
浩さんが、呼吸が出来なくなり苦しんでいるが、私は心配しない。コーヒーの一件以来、冷酷で冷徹な私が誕生したようだ。また、私のピュアな部分が黒く成って行く様だ。
私たちを乗せたマイクロバズが目的地に到着したのはそんな時だった。
一平太アナザーストーリー3
ティートゥー
ティートゥー
ソファーの横で携帯の着信音が俺を安息の眠りから呼び戻す。
「もひもひ・・・」
ほぼ睡眠の中で俺は電話を取り答えた。
「@#!‘#!」
ほぼ怒鳴り声だ、俺は携帯を耳元から離し、怒りが収まるまで待った。
10分後・・・・
まだ、電話の主は怒鳴り散らしている。
俺はまた、睡魔が襲って来たので至福の二度寝の誘惑に負けて夢の中へ沈んでいく・・・
「ぐわっ」
悪夢にうなされ目を覚ます、慌てて携帯をみた。通話は切れており、着信から45分経っていた。通話時間は35分、35分も何をしゃべって居たんだろう・・・そんな事を考えていたら、悪夢の内容を忘れてしまっていた。
俺をここまで、苦しめた悪夢はなんだったんだろう・・・俺はすっかり、電話があったことなど忘れシャワーを浴び身支度を整えた。
カーテンを開けると昼の日差しが眩しい、キャンプ用に購入したコーヒー機器でコーヒーを淹れ、煙草を吸いながら新聞に目を通した。
「ピーーー
ピーーーー」
家の玄関のチャイムが鳴っている。至福の時間を邪魔された俺は、乱暴に扉を開け放った
「こんな時間に誰よ!」
扉を開けると、サングラスをした黒服が3人立っていた。
「鈴木室長から連絡があったと思いますが、
今すぐ我々と同行お願い致します。」
黒服の男は、淡々と用件だけを述べた、そして、直ぐに事の事態を把握した俺は薄ら笑いを浮かべて咥えた,
煙草がポロリと落ちた・・・
七つ星機関
コン、ココン、ココンとガラス扉をノックする音がする。ガラス張りの部屋でありながら、ノックは人それそぞれ決められている。陽斗捜査官である事をノックを聞きながら認識した私は、捜査資料から目を離さずに、小声で「入れ」と言いながら人差し指を動かし入って来いとジェスチャーをした。
「引継ぎの件ですが、各国に潜伏のエージェントには連絡が付きました、しかし、しかし今回の室長解任は、納得できません。」
資料から目を離して陽斗捜査官を見上げる、悔しさでコブシを握り締め、天井を見上げている。
「ピンチをチャンスに変えるのが、千年ババァ」私は、陰で千年ババァと呼ばれて居ることをネタに軽口を叩いて見せた、陽斗捜査官は、びっくりした様子で目を見開き、こちらを見返してくる。
「自分はその様なことは思っておりません。」
一途な目で見返してくる、部下と云えどやはり、真面目で純粋な部下は可愛いものだ、しかし、得てしてその様な人物は、現場に出れば早死にする。その為、現場担当とせず情報官として10年勤務させていたが、自らの努力で捜査官の資格を取得した。しかし、私は彼を現場にはまだ、出せずに居たのだ。
「何やら、表が騒がしい様だが」
私は目を外の方に向け訪ねた、
陽斗捜査官は確認してみますと扉を向けて確認に向かおうとした、その動きと同時に館内放送が鳴り響く、
「新室長の木崎だ、全員中央センターに集合する様に、全員だ」
放送を聞くと同時に全員集まれる分けないだろうとボヤキながら、扉を開け下層の木崎に向かって吠えている。24時間体制で交代をしながら稼働している現場でトイレですら交代無くして席を離れる事は出来ない。
それでも、全員集合しろと木崎の声が室長室まで響いてくる。私も重い腰を上げ下層に向かう、途中で吠える陽斗捜査官をなだめながら、
中央センターは巨大な液晶と両脇には各国の状況をリアルタイムで表示する小型液晶が並び、中央液晶の前には立体ホログラム装置を有する、その周りに上級情報官のディスクが並びその後方に数十名のディスクが配置されている、室長室はガラス張りに成っており、二階より全体を見渡す事ができる。正直何も無ければ広いのだろうが、その場所に56名の人間が集合していると流石にせまい。
液晶の前で木崎が私を前に来るように目で合図を送っている。私はヤレヤレと態度に出して木崎の指示に従った。
「今回、本日付けで此処の室長になった木崎だ、今までの独立機関では無く、今後は内閣直属機関として国家の情報機関として行動する。これまでの様な政治家を脅迫して独自の判断や操作はせずに、国の意向に従う機関として行動してもらう。独自の行動で先月殉職者16名を出した忌まわしい事件を教訓としてほしい。鈴木室長一言お願いします。いや、鈴木女史お願いします。」
嫌味は昔からだ、自尊心が高く自分が一番賢いと考える井の中の蛙タイプ、政治家の連中からしたら、一番扱いやすいタイプの人間でそこそこ優秀である為に可愛がられる、
「先月の事件の責任を取り、私は本日を持って退任する。副室長の小田の指示に従い、邁進してほしい。くれぐれも、与党の政治家が選挙当選の為の手先の機関に成り下がらぬように」
木崎は顔面が赤く湯を沸かせるのではないかと思う程に激高している。この程度で感情を露わにするとは、この場にいる全員が木崎に対して冷たい視線を浴びせている。私の育てた百戦錬磨の集団は木崎には使いこなせないだろう、しかし、小田には悪いことをした、これから木崎の嫌味の的にされるだろうが彼の人たらしの才に期待するとしよう。だか、此のままでは、海外の潜入する捜査官も危険になる前に木崎を立ておこう
「木崎君すまなかった。私なりの冗談だ、先月の事件の責任は総て私にある。全員木崎君を中心に精進を期待する。以上だ。」
全員が私に敬礼をしているが、木崎だけは君とは何だ、君とは・・・小さい声でボソボソ言いながら此方を睨み返している。私は視線を交わし軽く会釈しその場を去った。
木崎は煙草を吸いながら聞いていた数十人の職員に対し禁煙だと怒鳴り散らしている。
裏から小田を通して七つ星機関を操るか、全員ヘッドハンティングして新たな私設機関を作るか、何もかも忘れて趣味のパッチワークをしながらのんびり過ごすか・・・死んでいった仲間の事を考える度に私に趣味の生活ができる事は無いだろう、死んで逝った仲間の意思を私は継がなければいけない、死んで逝った仲間達の為にも・・・・
七つ星機関
戦前に創立。元北斗機関日本独自の情報機関戦後に在っても、その存在を隠し暗躍する。
その存在は国民は知らされて居らず。首相のみ就任と同時に知らされる。
資金は税金を投入せず、独自に投資等で活動資金を調達。ダミー会社も数十社存在し資産は年間数千億を稼ぎ出す。
過去状況を公開しようとした物はスキャンダル等で退陣に追い込まれる。
海外巨大麻薬カルテル「ハッチソナイト」の日本市場開拓時、湾岸で戦闘が勃発、殉職者16名を出しマスコミにリークされてしまう。
ハッチソナイト
麻薬「エイト」最上質で格安の麻薬、値段は煙草より安く世界中で急速に拡散を広げる。
海外巨大麻薬組織、世界第5位の警備会社決して表には出る事は無く、常に末端組織が行動を起こす。
都市伝説として語られる程度で存在は確認出来ない。国レベルの軍事力を持つと言うが総ては推測の域を出ない。
構成員も首謀者も分からない
世界に出回るコカインのハッチソナイトを製造流通させている以外詳細は不明