2話 望まぬ転生
結論から言おう。
僕が転生したのは地球ではなかった。
これは窓の外に見える月が真っ青だったのを見た瞬間にわかった。
あぁ、すずが、浩介が、池田さんが、死んでしまったと言うのに僕はこんなところで何をしているのだろう。
両親も、幼なじみも、すべてを失った僕をこんなところに連れてきてどうしようと言うのだろう。
もう、僕にできることなど何もないのに。
何かをしようと思うことなどないのに。
次々に浮かんできては心を食い散らかしていく暗い感情から逃げたくて、頭を抱え込み丸まろうとする。
だが、僕の体は手と足がピクッとしただけで動く事は無かった。この体はとても不便だ。自分で思った通りの動きをすることができない。寝返りさえも打てないのだ。
「&%$&#$%&#&%$%#&!」
ベットで隣に寝転んでいる女性、おそらくこの世界での生みの親だろう、彼女が僕を見て歓声を上げている。大方、さっき僕がピクッとしたのを見ていたのだろう。こっちは不自由な体に苦労しているというのにそんな気も知らずに、そればかりかそれを可愛いとさえ思っているようだ。
「やめろ!」そう叫ぼうとして実際出た言葉は、
「ぁうっ!」という唸り声だった。
「&%%$&$&%#&!」
そして彼女は再び歓声をあげる。
うんざりだった。
体の自由を奪って、言葉もわからない異世界に縛り付けて、まるで監獄のようだと思う。
僕の罪はなんだろう。何が僕を檻に閉じ込めているのか。
幼なじみを死なせたことか。
すずの気持ちに全く気づかなかったことだろうか。
二人の幼なじみををずっと僕に縛り付けて、甘えていたことだろうか。
両親を死なせてしまったことだろうか。
父さんと母さんを裏切って、一人生き残ってしまったことだろうか。
あぁ、もう嫌だ。死んでしまいたい。
これ以上生きることになんの意味があるんだ。
殺してくれ。
僕はもう、生きることが、できない。
そして僕は暗い感情に飲み込まれるように、意識を手放した。




