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7話

いきなり飛ばす。

あれから3年が経った。


今の俺は6歳だ。


一応5歳の時に、帝国中の貴族の5歳児を集めてお披露目会的な事をする。


あまり数が多い訳でも無いし、今後長い付き合いになる同い年の子たちと顔を合わせる事が目的なのだろう。


あわよくば、友人を作ったり早ければ婚約と言った話にもなってくる。


まあ実際は親にあそこの家は敵だから仲良くするなとか、この家は昔から仲がいいから云々と言った話を聞かされており既に子供達の間で派閥みたいな物が出来上がっていた。


それに加え貴族の暗黙の了解があり、自分より上の貴族に自分から話しに行くのは駄目と言ったものがある。


つまりは同じ爵位の令嬢・令息達が仲良くなりやすい傾向にあるという事だ。


要は何が言いたいかというと皇族は1つしかないから自分から行かねばならないという事だ。


だが実際にそんな事をしてみろ。一瞬で派閥が組み上がる。恐ろしい事この上ない。


しかし、かと言って俺がぼっちになるかと言われるとそうでも無い。


主役は子供達だが、子供達だけで来ている訳ではなく付き添いとして次期当主や当主がこの場にいる。


脇で大人同士話し合いをしているが自分の子が問題を起こした時に直ぐに対処出来る様になっているのだ。


そしてその当主達が俺の所に挨拶に来る。いくら皇子であっても現職の当主からの挨拶を拒める程偉くはない。


貴族の当主は俺の前で問題行動や発言をすると皇帝に届いてしまうし、俺は俺で貴族の当主達に嫌われてしまうと後々やりにくくなるのでお互い気を使い挨拶は直ぐに済む。


だが、挨拶をしに来る時に子供を引き連れて来て、紹介をして来る。皇子の友人や婚約者と言った立場を狙っているであろうことが透けて見える。


皇子の友人になれば活躍する機会も増えるだろうしひいては家の為になる。


皇子の婚約者になり、結婚まで漕ぎつければ俺は降下する事になるので皇家の血が入った貴族家として箔付け出来る。


男の子の反応は普通であったが、女の子の反応が尋常ではなかった。というのもルックスがやばいのだ。


先祖返りだからなのか、エルフの血が入っているからなのか、皇族だからなのかはよく分からんがとても整った顔をしている。


自分で言うのもなんだがサラサラの金髪に碧色の目をした超イケメンなのだ。


俺だって初めて鏡を見た時はとても驚いたさ。


前世の俺は不細工でもイケメンでもないフツメンだった。だが目は寝不足で隈が出来て肌はボロボロ、手入れする暇のない髪もボサボサで無精髭を生やしたアラフォーのオッサンだったのだ。


唯一良かったのは太って無かったくらいだろうか。


まあ忙し過ぎてろくに飯も食えず太れなかったの方が正解だが。


だからこそ初めて鏡を見た時はびっくりしたんだ。


お肌はプルプル(子供だから当たり前)、目の下に隈はない(子供の目に隈があったら逆に凄い)、透き通るような白い肌(城から出たことない)、髭も生えていない(生えてたらおかしい)、それで金髪碧眼のイケメンだったのだ。


驚くなという方が無理がある。


まあそもそもこの世界は美形が多い。それに太っている人もほとんど居ない。


美形が多い理由はよく分からんが、太っていると直ぐに死ぬからとても少ない。


日本の様に食料に溢れているという訳でも無いので平民は太っている人など居ない。


ひと握りのデブは商人か貴族位なものだ。


まあ結局の所何が言いたかったかというと、6歳の皇家13男はぼっちであるという事だ。友人なんて居ない。黒い部分を察知出来てしまうので避けてしまうのだ。


婚約者は言わずもがな。


まあどうせ友人になったところで寿命が違い過ぎるから先に死なれるだけだろうと達観している部分もある。


その代わり人付き合いに時間を取られなかった分修行は捗ったと言える。


5歳から色々な教師を付けて貰ったというのもあるが。


教師達からの評判はいい。授業をサボタージュしたりしないし、物覚えも早い。そして何より身分を振りかざさないのがいいらしい。


言葉の問題は転生時の記憶の引き継ぎで問題無かった。文字が読めるという事は書く事も直ぐに出来るようになった。


地理や歴史も前世が文系だった俺にとっては得意分野で、苦手な理系もそもそも科学が発展してないから俺の持つなんちゃって知識でも天才級、数学は数学ではなく、算数といった感じの難易度だ。四則計算が出来れば教えることなどほぼないのだから。


四則計算に関しては、そろばんをやっていた時期があったので素早く正確な暗算で教師を驚かせた。


ただ、国単位の食料や税の計算が出来るようにしないと駄目なのでとんでもなく桁が多かった。


電卓の有難味、ひいては文明の利器の凄さを改めて思い知った。


魔法の教えに関しては素晴らしく成長が早いと言える。


エルフの先祖返りだからだろう。隠しているので教師からは優秀と思われている程度だが、魔力の扱いや量に関しては教師を超えている。魔法はあまり力をいれていないので未だ聖魔法のみだ。


武術に関しては、体力作りを中心にやっている。武器はとりあえず剣で素振りをしている程度だ。


3歳の頃に比べると成長したがそれでも120cm位だ。大剣だと俺よりデカいし、普通の剣でも胸位まである。


なので子供用の木剣で型に慣れるための素振りをするだけ。ハッキリ言ってつまらん。


最初は木剣でも修学旅行の謎テンションでお土産に木刀を買ってしまう男子中学生並にテンションは上がっていたのだが、今ではテンションの上がりようもない、ついでに言うとエルフ系だからか向いてない。


一応スキルは生えたが、生えるまでに掛かった時間が魔法系とは比べようのないくらい遅かった。


因みに俺の武術の教師は老骨の騎士だ。昔は猪突猛進タイプだったらしいが今では考えて戦う事も出来るらしい。


ここまで生き抜いてきただけあって直感的にやっては行けない行動が分かったりするらしくかなり強い。多分獣人系の人なのだろう。


説明も分かりやすい理論展開が出来るらしく、伊達に年取ってないなと思った。


年老いた今は守り主体の騎士になっているらしく自分の身を守る必要があり、前で戦うことの無い皇族にぴったりの剣であった為指南役になれたのだとか。


優秀な人だ。


反対に魔法の教師は宮廷魔法士団の1人なのだが、どうやら阿呆である模様。


魔法は威力に価値があると言ってはばからない。確かに威力に価値はあるが、いっぱい撃てば魔法の威力は上がると思っているらしい。


実際それも外れでは無い。沢山魔力を込めて魔法を撃てば魔力路が広がり威力も上がるが、それでは効率が悪い事この上ない。


魔法として魔力を体外に出してしまえばいつか枯渇するので枯渇している間は魔力を使えない。魔力操作をろくに鍛えていないので魔力の無駄が多い。


そうなると魔力の少ない者は撃てる回数が少なく、魔力の多い者は撃てる回数も多くなると言うことになり、魔法の素養は生まれた時の魔力の量で大体決まると言うのがこの世界の常識らしい。


俺はエルフの先祖返りとして産まれたので魔力はかなり多いから優秀という事になっているが、魔力が少なくてもある程度鍛える事は出来るし魔力路の太さが魔法の威力に直結する。


魔力路が太ければ太いほど一度に流せる魔力量が多くなり威力が上がる。


そして魔力路を鍛える為に必要なのが魔力操作なのだ。


この事は誰にも教わっていない。それなのに何故分かるのか?


それは世界一優秀な魔力感知様のおかげなのだ。


俺の魔力感知は他人が魔法を使う時も正確に相手の魔力の流れが見える。


それで見た所によると既存の練習法は間違っている事が解った訳だ。


因みに今の俺のステータスはこんな感じ


サルファ皇家13男シリウス・サルファ 6歳


種族:人間【先祖返り・エルフ】


スキル

剣術Lv1

聖魔法Lv2

魔力操作Lv3

魔力感知

鑑定

収納



まあ一見そんなに伸びてないじゃんと思う人も多かろう。だがステータスに現れない所はかなり伸びている。


俺がここ数年で1番伸ばしたのは体力だ。特に走力を徹底的に伸ばした。


走るスピードも距離も地球では考えられない位だ。


伸ばした理由は簡単。死にたくないから。


どうやって伸ばしたか?そんなのは簡単だ。走りながら聖魔法で回復してたに決まってる。それで体力はついた。


走るスピードを上げる為には聖魔法でバフをかけたりもした。


その結果100メートル走をすれば日本の代表といい勝負出来るだろうし、フルマラソンでも好成績を残せるだろう体力を得た。6歳児が。


魔力で身体能力を強化すれば更に早く走る事も可能だ。


自分で言うのもなんだが城の人達からはいつも走ってる変人という認定を受けてしまった。


全く遺憾である。

また飛ばす。

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