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三ヶ日へ

 通っているジムが休みの日は大抵公共のトレーニング施設を利用するのでありますが、この日は前日の夜3時までコンピュータ相手に将棋をしていたことが祟りましてか、目が覚めた時点で既に全てのトレーニング施設がオープンした後……。勿論途中から入ることは出来るのではありますが、

(……結構混んでいまして……。)

オープンから1時間を過ぎてしまいますと、なかなか思うようには……。

と言う状況でありましたので、その日はジムでのトレーニングは諦めまして午前中は自宅でダンベルなどを使いまして一通り刺激を与えることにしました。

で。午後。折角時間もありますし、有酸素運動に使う足も残っている。ならば長い距離を走ってみよう。長い距離となればペース配分を気を付けることになるから。となりまして、どこか適当な場所は無いものか?と地図を拡げましたところ

(……三ヶ日に行ってみようか?)

私の暮らします豊橋から三ヶ日を公共機関で目指すとなりますと、まず豊橋駅から東海道線を東に進みまして新所原駅で降り、そこから分岐します天竜浜名湖鉄道で向かうのが一般的な筋なのでありますが、それですと有酸素運動にはなりませんので。一工夫。豊橋駅からは路面電車が走っています。運動公園前もしくは赤岩口まで。そこで電車を降りた後、北へ向かって走り姫街道に合流。そこから東へ進みますと三ヶ日に辿り着くことが出来る。そこから天竜浜名湖鉄道で新所原。東海道線で豊橋へと戻ってくれば運動にもなりますし、鉄分も補給することが出来る。一石二鳥とはこの事だな。と午後3時過ぎでしたか。運動公園前を出発し、姫街道との合流地点であります和田辻を目指すのでありました。


 走り始めてから調べておくべきであったことが2つあることに気付きました。1つは天竜浜名湖鉄道の時刻表。天竜浜名湖鉄道は元は国鉄の二俣線。民営化の流れの中でJRには受け継がれなかったローカル線の中のローカル線でありますので、当然の如く利用者が多いわけではない。と言うことは本数も限られています。

とは言え、第三セクターの鉄道会社はどこも出来る範囲内で出来る最大の努力をされていますので、

(……飯田線の県境よりは本数はあるでしょう……。)

時間も夕方に向かう。学校帰りの生徒を乗せる時間帯でありますので

(時間1から2本はあるだろうな。と……。)

そうなれば20から30分待てば次の列車はやって来るだろう……。

と言うのが1つ。

 で。もう1つは何か?と言いますと

(三ヶ日までの距離……)

であります。

(いづれは辿り着くことでしょう……。)

と思いながらテクテクテク北へ向かって進んで行くのでありました。

で。姫街道との合流地点であります和田辻に辿り着きます。

この和田辻が実は重要なポイントでありまして、何の重要地点なのか?と言いますと

(ここから先、バスの本数が激減します。)

走るのを辞めるのもここでありますし、戻るだけの足が残っているのもこの和田辻までであります。

三ヶ日までの距離を示す看板はありません。ここまでの所要時間は30分。

(……どうする?)

バスに乗るにも自分の足で戻るにも有酸素運動の時間としては短い……。特に今日はピッチを緩めにしている。

日が沈むまでにはまだ十分過ぎる時間もある。体力的にも問題は無い。

……ならば。と針路を東にとり、愛知と静岡との県境であります本坂トンネルを目指すことにしました。


 和田辻を東に姫街道を進んで行きますと一本道。峠へと向かう道なのではありますが、愛知県側のほうが標高が高いこともありましてか気になるような勾配も無く、20分程進んだところで嵩山の小学校に差し掛かるのでありました。で。ここが2つ目のポイント。

(ここから先、三ヶ日駅まで公共交通機関はありません。)

正確には本坂トンネルの入り口付近までバス停はありますが。トンネルを潜ってしまいますと進むしかない上、トンネルを潜った後は三ヶ日駅まで下り坂。戻ろうとしたら登らなければならない。で。その三ヶ日駅までの距離を私は知らない……。でもまぁここまで来たら。この後は下り。と言うことがわかっていますので。とトンネルに足を延ばすことにしました。1.4キロのトンネル。幸い歩道が確保され。しかもガードレールで守られているトンネルでありますので。クルマに迷惑を掛けることなく、しかもトンネル内も下り基調でありましたので特に苦しむことなくトンネルを通過し、あとは三ヶ日までスラロームを降りていくだけ。

……となったところで。


(……強烈な便意。)

(朝、硬かったんだよな……。)

でも

(……ここで来るのか……。)

の状況で分かっていることが1つありまして。それは何か?と言いますと

この先、トイレがあるのは

(……三ヶ日の街中のみ。)

と言う事であります。

で。ここから戻る。上り道を。とした場合、最も近いトイレは先ほど潜りました本坂トンネルの向こう側。愛知県側の県境になります。何度も言いますが三ヶ日駅までの距離を私は知りません。さっき来た道を登ってトイレに向かうか?気持ちの良いスラロームの下り道をシュプールを描きながら降りていくか?の選択に迫られることになりました。で。私の結論は

(三ヶ日駅まで行こう。)

なぜなら戻ったら、そこで走ることは辞めにすることになると思います。その段階で走り始めてから1時間が経過しています。で。トイレのある場所の最寄りのバス停の終バスの時刻がわからない。

で。今調べてみましたところ嵩山から豊橋へと向かうバスの最終は

(午後3時22分……。)

(歩くしかない……。)

和田辻を曲がった段階で既に『バスで戻る』と言う選択肢が消滅したことを

(……今知りました……。)

(三ヶ日へ向かうと言う選択肢は間違ってなかったのでありましたが……。)

便意との格闘は続くのでありまして。途中、結構しっかりした神社がありました。

(……トイレがあるような感じなのではありますが。)

期待して階段上って

(……無かった時。)

とか

(……施錠されていた時。)

もう立ち直れないですよね……。似たような感じの寺もあるのでありますが、そこは

(……明らかに住居……。)

独立した厠は望めそうにない……。

ところどころ奇麗な時計が目に入るのでありますが

(……トイレは無い……。)

ただ救いなのが

(道路は程よい下り坂であり、途中から歩道も整備されている。)

(これで便意が無かったら最高なんだけどな……。)

結果。便意が来てから30分走りまして、三ヶ日の街に無事。入ることが出来ました。で。

農協の施設にあります

(トイレのマークは愛知も静岡も同じだろうから。たぶんあそこ!!)

と、出ない程度に、周りに悟られない程度のスピードでトイレに入り、大きなところも空いており。尊厳を保った状態で納めるべきものを収めるべきところに修めることが出来、三ヶ日駅へと歩を進めるのでありました。そこで

(……4分前に列車が発車したことを知るのでありました。)

つまり

(便をしなければ4分前の列車に乗ることが出来ていたのであります。)

ただ

(一心不乱に駅に辿り着き、今まさに発車しようとしている列車を目の前にした私が、便意を残したまま乗り込むことが出来たのか?と言いますと……。)

もちろんその段階では、三ヶ日から新所原までの所要時間を私は知りません。

(スッキリ出来たから善し。)

と次の列車まであと何分かを見ましたところ

(……40分後……。)

まぁ急ぐ旅ではありませんし、40分経てば次の列車が来ることがわかりましたので、先程立ち寄りました農協の施設の中にありますスーパーに。久しぶりに行ってみようか?と。あそこは農協が運営しているスーパーだから。その地域の特色でありますフルーツのコーナーは勿論のこと。惣菜から主食に至るまでの全てを名産でありますみかんとウナギで埋め尽くされているに違いない。と。期待に胸を膨らませながら入り口に目を見やりましたところ

(……4年前にキーテナントが変わってまして……。)

岐阜のスーパーが。豊橋にもある。しかもその上のスポーツ店によく足を運ぶため、よく買い物をしている……。そのスーパーが三ヶ日にも。

……と言うことは、

(普段から手にしている品揃えが……。良いこと何ですけれども。)

(……そこで40分は……。)

と店を出まして、再び三ヶ日駅に戻りまして時刻表と地図を見ましたところ

(……1つ新所原よりの『奥浜名湖』の駅に行ってみようか?と……。)

それ程距離が離れているわけでもなさそうですし……。で。ジョギングを始めまして、

(浜名湖畔は景色良いですね……。)

と思いながら5分程走りましたところ

『奥浜名湖駅はこっち』

と言った手作りの看板を見つけました。もしこれが無かったらそのまま次の尾奈の駅に向かうことになっていたかも?通りから少し中に奥浜名湖の駅がありまして。次の列車まで10分少々でありましたので、ここまで。と決め、駅に着いたのは良いのではありましたが。

(……何もやることが無い。)

下に自販機がありましたので、新所原までの運賃410円を作るべくドリンクを購入。駅に戻るも空き缶を入れる場所が無いため、もう一度下へ下り

(……不審者と思われているのだろうな……。)

と思いながら駅で待ち。先に来た三ヶ日駅の列車から降りた人が、不審者にしか見えない私を確認に戻って来るなどしている内に

(……時刻表通りにちゃんと来ますね。)

新所原行きの列車が到着。無事。中に入ることが出来たのでありました。

その天浜線に乗っての感想は?と言いますと、

(椅子の座り心地が良いです。)

油断したら寝てしまうぐらい快適な空間でありました。どれくらい快適であったのか?と言いますと新所原の駅に到着し、天浜線の駅舎を出た瞬間。

(外って、こんなに寒いの!?)

と感じるぐらい天浜線の車中は快適でありました。

と言うより、JRの新所原駅は寒いです。北海道の駅ですと列車別の改札。まだの人は暖かいところで。となっているのでありますが、JRの新所原駅はトイレ以外。風を遮ることの出来る場所が無いことがわかりました。天浜線のほうの新所原駅はガラス戸で風を防ぐことの出来る構造になっているのでありますが、JRの新所原駅は北と南が跨線橋で繋がっていて、その跨線橋の上に改札口がある造りになっていることが災いしましてか

(何処に居ても寒い……。)

ずっと外に居たら気にならないのでありますが

(天浜線の列車が暖かったこともありましてか……。)

(ちょっと体調崩すかも?2時間近く走った直後には。)

と思いながら次の東海道線の列車が来るまでの15分が

(長かったですね……。)

で、私は豊橋駅の1つ手前にあります二川の駅で降りました。何故か?

答え。

クルマを運動公園に停めているため。豊橋駅まで行っても二川で降りてもそこから運動公園までの距離が変わらないから。豊橋駅まで行けばバスや路面電車ありますが、

(少しでも早く帰りたいので。)

二川駅から5キロ。

(ノルマ!!)

と思いながら家路への手段であるクルマへと向かうのでありました。あとで調べて分かったことが2つあります。

1つは自分の足で走った距離はトータルで25キロ。筋トレの効果を高める有酸素運動としても申し分のない距離を走ることが出来たかな?と自負しております。

と言うのが1つ。

もう1つは何か?

と言いますと豊橋駅から本坂トンネル経由で三ヶ日駅までの距離と、運動公園前から三ヶ日駅までの距離が

(……変わらない……。)

(……二川からのジョギングが余分だったな……。)

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