第9話 幸福
私はすぐに詩織の母親に家から追い出されてしまった。
その後、電車に乗り、内地に戻った。
電車のゲートを出ると、白い服を着た人たちにすぐに囲まれてしまった。
ああ、私はこれから矯正施設に行くのか。
そんなことを考えていた。
私は矯正施設に入れられた。
毎日、カウンセリングと薬物治療を受けた。
カウンセラーは言う。
「あなたのせいではなかったんですよ」
いや、私のせいだ。これは私の罪だ。
私は毎日、詩織の恐怖の顔や、彼女が犯されている姿が思い浮かんだ。
毎日、胸が苦しかった。
薬もカウンセリングも効果はなかった。
けれど、あの男が言っていた通りにした。表面的に順応したのだ。
明るく、何の問題もないように毎日振る舞った。
すると1年経った頃に私は矯正施設を出ることができた。
高校にも復学した。
私はすぐに詩織に連絡を取ろうとした。けれど、連絡は取れなかった。
埒が明かないので、父に頼み、詩織の様子を見てきてもらった。
そして、詩織が自殺したことを知った。
詩織はあの日から1ヶ月ほど経った頃、自分の部屋で自ら首を吊って死んだそうだ。
もう2度と詩織と会うことはできなくなった。
そして、私の罪は二度と許されることはなくなった。
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私は60階建てのビルの屋上にいる。
今日は7月7日。七夕。
織姫と彦星が1年で唯一出会える日。
ベガとアルタイル。
私と詩織。
あの日からもう7年も経ってしまった。
私は高校を卒業して、大学に入り、大企業に就職した。
彼女の分まで頑張って生きようと、そう思ったのだ。
けど、私の罪は消えることはなかった。
だから、今日、詩織に会いに行く。
彼女は私のことを覚えていてくれるだろうか。
彼女は私のことを許してくれるだろうか。
7年ぶりだもんね。色んなことを話してあげなくちゃ。
それで、喜んでくれたらいいな。
ごめんね、詩織。
今行くからね。
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