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プロローグ

俺は今にしてあの頃を振り返ると思うことがある。


よく考えれば俺と彼女が再び出会うきっかけはあの青春を送る高校生たちには有り触れた出来事から始まったと言えるだろう。


人によれば何気ないそれこそ笑い話にすらできるかもしれない。


そんな事件とも呼べない代物から始まった。


_________________________________________________


季節は夏。


高校に入学してから月日も幾ばくか過ぎ去り、そろそろ高校初の長期休暇に突入するかと思われる時期。


運動部と言った休み中に大会が待っている部活は祭り直前の様な活気に溢れているが帰宅部に所属している俺にとっては全くと言っていいほどその熱気に充てられずむしろ冷めてしまう感じもする。


あれだ、周りが盛り上がれば上がるほど、逆に自身が冷静になっていくとかそんな感じなのだ。


ただ、そんな俺も今ばかりは極度の緊張感で体をガチガチに固めてしまっている。


時刻は放課後、場所は校舎裏。


ここまで言えばわかる人が大半だと思うが、一応言っておこう。


俺は今、今までで初めての大イベントを決行しようとしていた。


そう、告白である。


今まで、恋をしてもここまで至ることはなかったのだが、まぁ色々と耐性や心の成長というか整理がついてくるようになったのだ。


そのうえ、今は休み直前ということもあり一種の告白ブームににた何かが発生していたのだ。


俺もこの流れに乗るようにして朝の早い時間に相手の机の中に呼び出しの手紙を入れておいたのだ。


バクバクと乱れに乱れまくっている心臓を押さえつけるのに満身していると遠くからこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。


押さえつけていた心臓の音が急上昇するのを自覚しながらじっと相手が来るのを待つ。


すると、幾ばくかの後後者の陰から一人の女性がこちらへと姿を現す。


間違いなく件の相手だ。


無意識に唾をのみ込んでから、少々まごつきながらも俺はゆっくりと口を開く。


「きゅ、急に呼び出したりなんかしてごめんね」


「んんん。今日は特に用事があったわけじゃないから気にしなくてもいいよ」


どうやら、不自然な話し方にはなっていないようだ。


自分では思ったよりもいつも道理に喋れていることに内心で安堵する。


もし、こんな段階で失敗なんかしてしまったらそれこそ目も当てられないというものだ。


「そ、そう。ならよかった」


「黒峰君にはときどき仕事を手伝ってくれたりしてもらってるしこれくらいどうってことはないよ」


「あれは、別にそういうつもりでしているわけじゃないんだけどな」


「ふふ、もちろんそれくらいは私もわかっているつもりだよ。でも、それとこれとは話が違うでしょ?いつもありがとうございます」


「いえいえ、大したことではありませんので」


なんだか、話の方向が全く違うところに言っているような気がするんだけど。


どうやって話を戻せばいいんだろう......


いや、もうこのまま話が終わってもいいかな。うん、わざわざこの関係を壊してまでするような話でもなかった気が


「それで、用事ってなんのことなのかな?」


そんな俺の現実逃避気味な思考は彼女のその言葉でバッサリと切り裂かれてしまった。


折角、和らいでいた気持ちが急速に凍り付き、慌てて乾いてしまった唇を潤す。


不思議そうにこちらを見つめる彼女をできるだけ意識の外に出してゆっくりと深呼吸を繰り返す。


段々と鎮まるのを感じていくのと同時に再び彼女を意識の内へと入れていく。


そうして、一つの区切りを自身の中で至ったのを確かに感じた俺は頭に浮かんできたその言葉を記した。


「------------------------」


部活に励む少年少女達の歓声が響き、緑生い茂る木の葉が風に揺れた音が流れる。


そんな夏のひと時のことだった。

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